乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月

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第二十章 過去、そして現在

守られるのが悪い訳じゃない

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 驚いた。扉を破壊するって……え、この円盤って封印する為にあるのよね。

 攻撃力高いって……、有り得ない。

 結界で守られたけど、結界にぶつかった衝撃は震度四になってそうなぐらい、結界や地面、周りまでも揺れた。

 幸いなことに壁が崩れなかっただけマシなんだけども。

 揺れによって立ってられなくなり、尻もちをつきながらも青ざめ、エレノアさんを見ると、強引に腕を引っ張られた。

「死にたいんですか!!? 外に出ますよ」
「は、はい」

 放心している私に声をかけて走り出す。

 背後から異様な殺気を感じるが、振り向いてしまったら……動けなくなりそうだったので、前を見て走る。

 破壊音や壁が崩れたり、地下ではありえない突風が吹いている。

 後ろが気になる! そう思うけど、見てはいけないと気持ちを強く持った。

「な、なんなんですか!!!? なんであんなに攻撃力高いんですか!!!」

 涙目になりながらも前にいるエレノアさんに問いかける。

 エレノアさんは、ニコッと微笑んで、

「そうですね。開発者は攻撃力高いのってかっこいいから、封印=攻撃力高めにしよう! と頭のおかしな人が開発したのがあの封印なのよね。流石に一度暴れたらなかなか収まらないからという理由で魔法がそこそこ使えるものに見張らせようと考えたんですけどね……あはは、迷惑な話ですよね」

 いや、そんな笑って……。

「そんな危険な考えをする人の開発に反対意見はなかったんですか?」
「反対なんて出来なかったみたいです」

 エレノアさんはふふっと不敵な笑みを浮かべている。これはもしかしなくても開発者はエレノアさんなのでは?

 なんて、思ってしまったが聞くのが怖いのでスルーすることにした。

 地下を向け、外までもう少しの所で、外に通じる扉の前に円盤が浮いていた。

「ソフィア様。あなたの実力は知らないのですが、一瞬だけ、隙を作ってほしいのです。危険なのは承知なのですが……」
「わ、私は……」

 戸惑っていると、円盤が私を捉え、攻撃を仕掛けてくる。

 黄色に輝いた円光が一直線に私目掛けて飛んでくる。すかさずアルくんが結界を張り、守る。だが、その攻撃はあまりにも高くて結界にヒビが入った。

 その時に思った。

 ーー私は死を恐れるあまり、自然と周りに頼ってるのだと。

 今だって、アルくんが守ってくれるのだと慢心している自分がいる。

 守られるのが悪い訳じゃない。守られたって良いのだと、思ってるけど……。

 感情は複雑なもので、守られるだけが全てじゃない。守る立場で在りたいと思ってしまう。

 以前の私には分からなかったけど……、そういう強さも必要なんだと今では思う。

 守られ、そして……守る側に……それが『私』なんだと思うから。

「やります」
「感謝します。では、よろしくお願いしますね」
「はい!」

 エレノアさんは距離を取り、床に何かを描き始めた。

 私は私で、目の前の石版の攻撃に集中した。

 攻撃を交わしつつ、様子を伺う。

 闇は効果ないだろう。私の闇属性に反応して、悪魔と認識しているのだろうから。

 だったらどうしよう。

 思考を必死に巡らせる。考えろ。考えるんだ……じゃないと、殺られる。

 私は何かを思いついて、ピタリと動くのを止める。

 その隙を逃すまいと円盤が光を放つ。一直線に向かってくる光の線。

 私は床に手を翳した。

「……っ」

 魔力を床に集中した。私に円光が直撃する前に円盤が浮いている床がひび割れて黒い線が円盤を捕らえた。

 アルくんが円盤の攻撃から私を守る。

 また、光を出させないようにと闇で包み込むと、円盤は動きを止め、闇を飲み込もうと吸い込む。

 ーーその刹那。

 光の槍が円盤目掛けて飛び、貫く。

 キーンっと、嫌な音が響き、地鳴りもあり、立ってられなくてその場にしゃがみ込んだ。

 円盤は大人しくなり、床に落ちる。

 光の槍は粉子になって消えていき、円盤を包み込んでいた闇も消えていた。

 貫いた場所は修復を開始していた。

「はぁ……」

 円盤からは何の反応も無いことが分かったら、途端に疲れが出て深いため息をした。

 ーー良かった。

 そんな言葉が浮かんだ。

 闇が効かない。更に悪魔を封印する円盤。私の闇属性に反応し、暴走しているならば……闇属性の魔法を使えば取り込むのでは?

 そうなれば、一瞬の隙が出来るはず。

 そう思ったから、行動したら……上手くいって本当に良かった。

 私は心配そうに顔を覗き込むアルくんを抱き上げる。

「守ってくれてありがとう」

 その声は震えていて、手も震えている。

 きっと全身が震えてるだろう。そのぐらい、怖かったのだ。

 こんな事、アレン様やクロエ様には絶対に言えないなと思った。間違いなく怒られるのを想像して背筋が震えた。

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