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第二十章 過去、そして現在
身代わり
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「お見事でした」
エレノアさんがパチパチパチと拍手しながらも近寄る。
「あの……、円盤は?」
石版は綺麗なままですぐに起動しそうだった。
「心配ないですよ。三日間は……ご覧の通り、円盤はかなり頑丈なのでちょっとした魔法だと破壊出来ないんです」
「ちょっとした魔法……」
私は、エレノアさんが描いた魔法陣を見る。かなり複雑そうな魔法陣で魔力も強め。最強クラスの中級魔法だろう。
それをちょっとしたで済ませるエレノアさんが大物過ぎる。
「破壊したとしても、悪魔がいるので悪魔対策をゼロからしないといけないんですけどね」
エレノアさんは円盤を持ち上げ、誇りを軽く払う。私を見ると微笑んだ。
「……流石、あの二人の娘さんだけあるわね。良いも見れました」
「あの二人……。エレノアさん、あなたは」
以前、クロエ様が言っていたことを思い出した。
エレノアさんは私の本当の両親が造り上げた人工的な精霊なのだと。
「精霊、なのですか?」
オブラートに包まずに単刀直入で聞いてしまった。
エレノアさんは唇に手を当て目を逸らし、首を傾げる。
その仕草はワザと分からないふりをしているようにも見える。
今は聞くなって事かもしれない……。
そう思い、訂正しようとしたらエレノアさんが口を開いた。
「私は、闇属性の暴走を抑えるために用意された器でした。それだけじゃなく、悪魔が闇に惹かれるのもあり、ソフィア様、あなたに近づかせないようにと私が造られました。その意味……分かりますか」
「私の……身代わり?」
エレノアさんは微笑むだけで何も言わない。
そうだと言っているようで胸が痛む。どうしたものかと悩んでいると、私の足に擦り寄ってきた生き物がいた。
驚いて軽く悲鳴を上げ、その生き物を見ると猫だったことに安堵した。
そういえば地下にいなかったんだっけ。
私は、猫の顎を撫でると喉を鳴らして気持ちよさそうにしているので和む。
って、そんなことしてる場合じゃないのに。エレノアさんを見る。
「あの……」
「身代わり、なんです。でも不公平ですよね、何故私が身代わりなのでしょう?」
エレノアさんに頬を撫でられ、ゾクッとした。冷たかったのもあるが、何よりも目が笑っていなかったからだ。
「ソフィア様が……いえ、なんでもありません」
今、言いかけた事って……。いや、多分、言語化してはいけない気がする。
エレノアさんも言わずにいるんだから。
私は話を逸らす。
「た、助かりました。エレノアさん、ありがとうございます」
「良いのですよ」
「足止め、上手くいって良かった……。運動苦手だから、走ってる途中で転びそうだなって思ったんですが、転ばずに何とかなりました」
「えぇ。本当に素晴らしいです」
エレノアさんが私に触れていた手を放した。
アルくんは警戒していないということは、エレノアさんに敵意はないということになる。
だけど、話を逸らした瞬間……一瞬だけ冷ややかな目で見てきた。すぐに笑っていたけど。
怖いと思ってしまった。早くこの場から離れたいとも。
「あ、あの。待ち合わせしている方がいるんでした。失礼しますね……、壊した所は弁償しますので」
立ち上がりながら言うと、エレノアさんは首を横に振った。
「弁償代は要りません。また、来てくださいね」
私はエレノアさんに軽くお辞儀をした後、急いで塔を出た。
ずっと抱きかかえてるアルくんは心配そうに私の顔を見上げていた。
エレノアさんがパチパチパチと拍手しながらも近寄る。
「あの……、円盤は?」
石版は綺麗なままですぐに起動しそうだった。
「心配ないですよ。三日間は……ご覧の通り、円盤はかなり頑丈なのでちょっとした魔法だと破壊出来ないんです」
「ちょっとした魔法……」
私は、エレノアさんが描いた魔法陣を見る。かなり複雑そうな魔法陣で魔力も強め。最強クラスの中級魔法だろう。
それをちょっとしたで済ませるエレノアさんが大物過ぎる。
「破壊したとしても、悪魔がいるので悪魔対策をゼロからしないといけないんですけどね」
エレノアさんは円盤を持ち上げ、誇りを軽く払う。私を見ると微笑んだ。
「……流石、あの二人の娘さんだけあるわね。良いも見れました」
「あの二人……。エレノアさん、あなたは」
以前、クロエ様が言っていたことを思い出した。
エレノアさんは私の本当の両親が造り上げた人工的な精霊なのだと。
「精霊、なのですか?」
オブラートに包まずに単刀直入で聞いてしまった。
エレノアさんは唇に手を当て目を逸らし、首を傾げる。
その仕草はワザと分からないふりをしているようにも見える。
今は聞くなって事かもしれない……。
そう思い、訂正しようとしたらエレノアさんが口を開いた。
「私は、闇属性の暴走を抑えるために用意された器でした。それだけじゃなく、悪魔が闇に惹かれるのもあり、ソフィア様、あなたに近づかせないようにと私が造られました。その意味……分かりますか」
「私の……身代わり?」
エレノアさんは微笑むだけで何も言わない。
そうだと言っているようで胸が痛む。どうしたものかと悩んでいると、私の足に擦り寄ってきた生き物がいた。
驚いて軽く悲鳴を上げ、その生き物を見ると猫だったことに安堵した。
そういえば地下にいなかったんだっけ。
私は、猫の顎を撫でると喉を鳴らして気持ちよさそうにしているので和む。
って、そんなことしてる場合じゃないのに。エレノアさんを見る。
「あの……」
「身代わり、なんです。でも不公平ですよね、何故私が身代わりなのでしょう?」
エレノアさんに頬を撫でられ、ゾクッとした。冷たかったのもあるが、何よりも目が笑っていなかったからだ。
「ソフィア様が……いえ、なんでもありません」
今、言いかけた事って……。いや、多分、言語化してはいけない気がする。
エレノアさんも言わずにいるんだから。
私は話を逸らす。
「た、助かりました。エレノアさん、ありがとうございます」
「良いのですよ」
「足止め、上手くいって良かった……。運動苦手だから、走ってる途中で転びそうだなって思ったんですが、転ばずに何とかなりました」
「えぇ。本当に素晴らしいです」
エレノアさんが私に触れていた手を放した。
アルくんは警戒していないということは、エレノアさんに敵意はないということになる。
だけど、話を逸らした瞬間……一瞬だけ冷ややかな目で見てきた。すぐに笑っていたけど。
怖いと思ってしまった。早くこの場から離れたいとも。
「あ、あの。待ち合わせしている方がいるんでした。失礼しますね……、壊した所は弁償しますので」
立ち上がりながら言うと、エレノアさんは首を横に振った。
「弁償代は要りません。また、来てくださいね」
私はエレノアさんに軽くお辞儀をした後、急いで塔を出た。
ずっと抱きかかえてるアルくんは心配そうに私の顔を見上げていた。
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