乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月

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第二十章 過去、そして現在

敵意があるとは考えにくいとは思いましたが……【クロエ視点】

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「『クリムゾン メイジ』のヒロインのクロエ様は……どうなったのでしょう?」

 と、数時間前にソフィア様が問い掛けてきたので曖昧に「どうなんでしょうね」と答えてしまった。

 ソフィア様が言いたいのはこうだろう。

 乙女ゲームの『クリムゾン  メイジ』の本来のヒロインの人格はどこにあるか。

 どうしてその発想になるのかは検討がつく。悪役令嬢のを見ちゃえばな。

 まさか、心が離れていたなんて誰も思わないだろう。

 悪役令嬢は呪いによって肉体から魂が離れたようなものだけど……ヒロインの場合はどうなんだ……?

 今まで気にかけた事が無かった。

 何故俺は、乙女ゲームのヒロインに転生したんだ?
 そこに意味があるのならば……。

 ソフィア様を助ける為に転生したと思っていたが、もしかしたら別の理由で転生した可能性も無くはない。

「すみません。ソフィア様、遅く……あれ?」

 用事を済ませ、ソフィア様と待ち合わせしている教室に来ると、誰一人として居なかった。かわりに置き手紙みたいなのが机に置いてある。

 手紙の内容を見ると、カミューリャ塔に行くと書いてあった。

 あの人の所か……。なら、大丈夫か。

 ソフィア様には危害を加えないだろうとは思うが、念の為に俺も行くことにしよう。

 渡り廊下に差し掛かった時、ソフィア様が顔面蒼白で駆け寄ってきた。

 詳しくは知らないが、何かがあったのだろうが……意味深な事を言っていた。

『恨みがあるのでは?』と、何故そんな思考に?

 とは思うものの、ソフィア様を宥める。

 事情はソフィア様が落ち着いてから詳しく聞いた方が良さそうだ。

 テンパってるようで、上手く伝えることが出来ないだろうから。

 ソフィア様が背を向けて歩き出したのを見送った後、息を吐く。

「隠れて見てるとは、悪趣味ですね。そんなに気になるんですか?」
「あら。気配を上手く隠せたと思うのに……見つかってしまったわ」

 物陰に隠れていた人物は姿を現した。わざとらしく頬に手を添えてとぼける。

「エレノアさん、一体、ソフィア様に何を吹き込んだんです?」
「吹き込んだなんて……人聞きが悪い。ただ、もうこれ以上、深追いしないように忠告の意を込めただけです」
「ソフィア様はそうは思ってなかったみたいですよ」
「そうみたいです」
「……敵意があるとは考えにくいとは思ってましたが、ソフィア様と関わってどうするおつもりで」
「クロエ様貴方もソフィア様も、不思議な雰囲気で興味深いんですよ」
「俺を避けてた貴女が唐突に話しかけてくるのも気になるのですけどね」
「……悪魔が動き出しまして、お力添えをと」
「随分と都合が良いことで」

 呆れてため息をすると、エレノアさんは首を傾げた。

 まるで、当然だと言わんばかりだ。俺の言ってることが理解してないんだろう。

 仕方がない。悪魔を野放しにすると大変なことになる。

「わかりましたよ。力を貸します。ですが、その前に……その格好、目立つので何とかなりません?」

 俺は自分の額に手を添えて呆れた。何せエレノアさんの格好が、ホラー映画に出てきそうな程かなりのホラーだったのだ。

 全身血塗れの顔なんて殴られたように腫れている。特殊なメイクか魔法なんだろうけど。

「そうかしら。可愛いと思いますのに。クロエ様は何もわかってないのですね。この良さを」

 分かりたくない! と、内心思ったがグッと堪える。

 俺は、これでもかというほどの爽やかな笑顔を作ったのだった。


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