宇宙人は恋をする!

山碕田鶴

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3章 未知とのセッショク

19.セッショク(4/9)

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「いやあ、熱がなくて良かったでし」

 当たり前でしょうっ。
 夕食の後、銀太郎とお母さんはテレビの前にいた。録画しておいた蓮君のドラマの復習会だ。

「葵は一緒に観なくていいの?」
「宿題があるから、また今度にする」

 となりに蓮君がいたら、ドラマに集中できないでしょ。
 銀太郎はドラマで日本語を習得中らしい。なんだかすっかり仲良し親子だ。
 パパもリビングにいるけれど、こちらは日本がほこるスーパーミステリー雑誌「月刊ウー」に没頭中だ。
 横にはノートパソコンが置いてあって、時々画面を確認しながら何か入力している。休みを取ったのに、しかも時間外で仕事なんて、大人は大変だ。
 そういえば、UFOオタクのパパは私に持ちネタを披露したことがない。
 それこそ洗脳されるくらいに色々教え込まれていてもおかしくないと思うのだけれど。

「ねえ、パパ。今日、宇宙人バッジを持っている人、発見したよ」
「え⁉︎」

 ものすごく驚いている。そんなに激レアなのか。

「どこ、で見たの?」
「学校で同じクラスの子。藤井君っていうんだけど、銀太郎のバッジを見て、どうしても銀太郎と会いたいって頼まれたの。パパも会いたい?」

 目が点になるって、こういう顔なんだろう。
 そんなにびっくりした?  中学生だったからかな。
 銀太郎は昨日からバッジのことを知っていたみたいだけれど、パパには話さなかったらしい。

「パパは遠慮しておくよ。銀太郎が会うのなら、どんな感じだったか後で教えてもらおうかな。ほら、パパがUFOオタクって、葵ちゃんが変な目で見られたら困るから」
「……パパ、UFO愛が足りなくない?」
「そ、そんなことないよ⁉︎  パパは子どもの頃からUFOと宇宙人を探し続けてきたんだから。今は、銀太郎がウチに来て気が抜けたというか燃えつき症候群状態なだけで」

 ああ、ちょっとわかるかも。
 私も蓮君が目の前に現れて、もちろん中身は銀太郎なのだけれど、画面の向こうの本物の蓮君に意識が向かないというか、フクザツな心境なわけで。

「……ごめんなさい。推しへの愛を疑うなんて、まちがっていました」
「わあ、葵ちゃんが謝ることじゃないんだよ。ホント、そんなんじゃないから」

 パパは開いた両手をブンブンふって、あわてて否定する。
 動きが相変わらず子どもっぽい。
 あれ?  昔はそんなこと気にならなかったのにな。

「葵ちゃんは、いつのまにかこんなに大きくなったんだねえ」

 パパがうれしそうに笑った。
 久しぶりに家族がそろったせいか、くすぐったいみたいに変な感じだ。
 でも、悪くない。銀太郎がウチに来たおかげかな。
 パパもお母さんも楽しそうだし、私も……まあ、それなりに、ね。
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