宇宙人は恋をする!

山碕田鶴

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5章 星からのキカン

41.キカン(7/20)

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 隕石に体当たりするUFOの映像を何度も思い出しながら、帰り道をひとり歩いた。
 私は今までなんにも知らずに、守られてきたんだな。
 でもそれって、銀太郎だけじゃなくて、きっといろんな地球人に守られているんだ。
 消防の人も電線工事の人も自衛隊の人も……私が直接会ってお世話になったことはないけれど、きっとつながっている。毎日困らず生きているのは、知らないところで困らないようにしてくれる人がいるからなんだ。
 なあんて世の中の遠くまでちょっと見えた気になっていたら、遠くから本当に見守られていた。
 銀太郎だ。
 また、迎えに来たんだ。
 こんなに遠くからでもわかるイケメンなんてそうそういない。もちろん見た目が蓮君だからなのだけれど、あの優しい目と雰囲気までが蓮君のコピーなのか、私にはわからない。
 いつからいたのかな。
 ああ、笑っている。手をふっている。
 銀太郎が原因で色々不安なのに、銀太郎を見たら安心した。
 変なの。

「アオイさまーーーーっ」

 わっ、走って来た。
 思いきり呼んでいるけれど、この前よりはひかえ目だ。

「おっ帰りなさいましー」

 銀太郎が、走った勢いのまましがみついてくる。
 むぎゅってするのも、ちょっとひかえ目だ。
 お久しぶりでしー学校どうでしたー暑かったでしねー今日は一人でお帰りでしかーご飯カレー言ってましたでしよーワタシにはスタンダードのチョコアイスでしー。
 いくらでも言葉が出てくるんだね。
 むぎゅむぎゅしながら次々と話しかけてきて、何度か顔をのぞき込んで笑いかけてくる。
 変な宇宙人。

「ちょっと銀太郎っ。日本はこんなにいきなり当たり前に誰でもハグしたりしないんだよ!」

 銀太郎は私にくっついたまま頭にほおずりしてくる。

「スリスリもしないのっ。離れて!」
「ハイでし」

 そう言いながら、全然離れてくれないんだけど?

「銀太郎ってば。聞こえた?   ねえ」
「ハイでし。よーく聞こえていまし」
「だったら離れて……」

 見上げようとする前に、銀太郎が指先で優しくまぶたにふれてくる。
 私は目を閉じさせられてしまった。

「ちゃんと離れましよ。アオイ様、晴れたらすぐに離れましから。アオイ様は、しばし雨やどりでし」

 雨、やどり……。
 もっとぎゅっとされて、周りがすべて銀太郎になる。
 頭の中まで、全部銀太郎になる。

「やだっ、私なんで泣いているの?」
「大丈夫でしよ。アオイ様、にわか雨でしね。すぐやむから、心配ゴムヨウ大丈夫」

 銀太郎のせいで大変で、銀太郎のことで不安で、銀太郎のおかげで安心して……。
 銀太郎の顔を見たら気がゆるんだのかもしれない。
 大丈夫、大丈夫。
 銀太郎はずっとささやいている。
 ああ、もうっ。そんなふうに優し過ぎるから、全然落ち着いた気持ちになれないんだけどっ!
 私は悲しいのではなくて、きっと疲れているから泣いているんだ。
 泣いたらスッキリして元気になれる気がする。ダメダメだった気分が少しは晴れる気がする。
 だから心配しないでよ。こんなに優しくしなくて平気なんだよ?
 私を大事にしてくれる気持ちがあふれるほどに伝わってくる。
 こんなにされたら、また息ができなくなる。
 なんにもしないで……ただ、私がぎゅっとしがみつくのを黙って放っておいてくれたらそれでいいのに。銀太郎は絶対に私の気が済むまでつきあってくれるでしょう?
 そうして銀太郎から離れたら、またちゃんと笑えるようになるから。
 ほんの少しだけさびしくなる予感が、のどの奥をちりちりさせる。
 なんだろう、この変な感じは。
 でも大丈夫。そのまま飲み込んでしまうから、大丈夫。
 雨やどりしたら、きっと大丈夫……。
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