宇宙人は恋をする!

山碕田鶴

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6章 幼年期のオワリ

58.オワリ(4/43)

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「それじゃ、ね。たまに遊ぼうよ。連絡するから」
「まったねー」

 美央とひな子と別れて一人になったとたん、藤井君のひかえめな笑顔を思い出した。
 藤井君が気になる。元気がなさそうで心配になる。
 銀太郎に会いたがっていた。ぜったい何か悩んでいたよね。
 ああ、本当にひな子の言うとおりだ。私は藤井君のことをたびたび考えてしまっている。
 でも、それってちがうんだよ。

 あ……。

 心臓がトクンとした。
 そうだよ。藤井君のことは、大丈夫かなあって、そういう意味で気になっている。
 今、はっきりとわかってしまった。

「アッオーイ、さまあーーーー」

 銀太郎だ。またお迎えに来てくれたんだ。
 遠くからでもわかるイケメンがうれしそうに手をふりながら近づいて来る。
 いつだって優しい笑顔で、楽しそうで……。
 わっ、走った。

「アオイ様ー! 会いたかったでしーっ」

 ぽふっと全身を包まれた瞬間、胸の奥がキュッと痛くなった。
 銀太郎の姿を見つけた瞬間にトクンとしたよりも、もっと全部が痛い。

「あれ? 強過ぎまし? しつれーしました。お会いできてうれしくて、勢いつき過ぎましね」

 もうっ、恥ずかしいから変なところ気づかないでよ。

「……大丈夫。でも、くっついたら暑苦しい」
「わあ、これまたしつれーしまし。日本、ハグしない言っていましから、これマナー違反でしね」

 銀太郎は大げさに腕を広げて私から離れた。
 そう。ぎゅってされたら心臓が痛くなる。だからくっつかないで。
 そうして離れたら、また胸がキュッってなった。あ、やだな。また気づかれそう。

「ははは。アオイ様、暑過ぎてアイスみたいに溶けそうでし。ささっと帰るでしね」
「うん……」

 今度はなにも訊かずに、歩き出した。
 ホッとして、それなのにちょっとモヤッとする。
 私、きっと暑さにやられちゃったんだ。家に着いたらすぐに水分補給しよう……。
 二人で並んで歩くうちに、銀太郎が横からぐいぐい私に近づいてきた。

「なに? 銀太郎の腕、私の肩に当たっちゃってるよ?」
「これハグじゃないでし。くっついたら暑苦しい言いましけど、これならセーフでし? アオイ様溶けずにくっつくの、ワレながらナイスアイデアなのでし」
「え?」
「ダメでしか? 家までちょっとでしから。えーと……あれ? アオイ様これも暑過ぎ⁉︎   日本語でユデダコ言いましか。これは大変、真っ赤でしよ!」

 あーーーーっもう、ヤダ。
 銀太郎のバカバカバカバカっ。恥ずかし過ぎる。
 こんなドキドキのシチュエーションなのに、なんでロマンチックにならないのよっ⁉︎
 ユデダコ気づかないでよっ。
 気づかないふりしてよっ!
 ってか、ユデダコ言うなーーーー!!

「……アオイ様暑くてごきげんナナメ九十度でし? あたっ」
「あ、ごめん。足ふんだ。……九十度ってなに?」
「ナススベナシのこと、天を仰ぐ言いまし。それでし。あたっ」
「わ、ごめん。またふんだ。九十度はナナメって言わないでしょ」
「ああそうでしたったたっ」
「ごめん、また……」

 それでもくっついて歩き続けるから、私は何度も銀太郎の足をふみ、銀太郎は私の足をふまないようヨタヨタよろけながら足を出し、二人でうつむいたまま汗だくになって家に帰り着いた時には心臓のドキドキが完全に運動のせいになっていた。
 なにしているんだろう、私たち。
 玄関でチラリと見た銀太郎は、やっぱり楽しそうに笑っていた。
 バカだな、私たち。
 変な思い出が増えちゃったよ、銀太郎。
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