宇宙人は恋をする!

山碕田鶴

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6章 幼年期のオワリ

70.オワリ(16/43)

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 パパと銀太郎はしばらくお互いを見合っていた。

「あー、荒井さん? 捜索願は待って下さい。それから、一度電話を切りますね。銀太郎と作戦会議をしますから。この後どうしたらいいのか話し合って、すぐにお返事します。少々お待ち下さい」
『はい……』

 消え入りそうな声だ。

「ああ、荒井さん? 銀太郎は怒っていませんよ。宇宙人側から見る限り、問題は発生していないようです。荒井さんの娘さん家族にちょっと大変なことが起きたという認識ですね」
『そうですか……わかりました。ご連絡お待ちしています』

 少しほっとしたような声になって、荒井さんの方から電話は切れた。

「あはは。銀太郎は怒っていないことにしちゃった」

 パパはいたずらっ子みたいな笑顔で肩をすくめた。

「怒っていないでし。アライサンの仕事順調になるなら、オールグリーン。モンダイナシでし」

 銀太郎、実は怒っている?

「荒井さんは孫が家出したことを心配する以上に、お預かりした大事な宇宙人に何かあったらどうしようと恐れているんじゃないかな。地球人愛護協会の人たちはそんなに怖いのかな。さて、銀太郎。この後どうする?」
「どうもしないでしよ。マゴがいつか帰って来るの、アライサン待つだけ」
「いつか⁉︎」

 思わず口出ししてしまった。
 いくら宇宙人の子だといっても、家出状態でどこに行ったのかもわからないのでしょう?
 なんでそんなに落ち着いていられるの?

「……ひょっとして、パパはその子の行き先に心当たりがあるの? 銀太郎はその子がどこに行ったのか実は知っているんじゃないの? 本当に探しに行かなくていいの?」

 パパが困った顔で私を見ている。

「自分から出ていったマゴに助けは必要ないでし」

 答えたのは銀太郎の方だ。

「でも、荒井さんやその子のお母さんを助けてあげなくていいの? 心配しているのでしょう? 困ってパパに電話してきたのでしょう?」
「アオイ様はいつでも親切でしね」

 銀太郎はパパの方を向いたままボソッとつぶやいた。
 それ、イヤミで言っているの?
 ふきげんそうな銀太郎の肩をパパがポンポンとたたいてなだめる。

「葵ちゃん。宇宙人なら何でもできると思っていない?」
「え⁉︎」
「確かにまあ、何でも見えるし何でもできちゃうんだけれどね。でも、それですぐに頼られても困るでしょう。しかも、荒井さんの孫は今はまだフツウに地球人だよ。地球人家族の問題に宇宙人が干渉すべきではないんだ。いくら銀太郎が地球人の味方でも、葵ちゃんは困っている人を見たらすぐに銀太郎に助けてあげてってお願いする?」
「あ……」

 ネコ好きの人に捨てネコを全て拾えと言う、あのたとえといっしょだ。
 私、また銀太郎に迷惑なことを言ってしまったんだ……。
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