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6章 幼年期のオワリ
84.オワリ(30/43)
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牛が見えなくなっても、銀太郎は柵の向こうを見続けていた。
「……アオイ様も遠かったらよかったのでし。アオイ様の記憶消したくない。ワタシ知っていてほしい。でも、サヨナラ悲しい。ワタシずっと悩みまし」
「えっ⁉︎ 私の記憶を消すつもりだったの?」
「そうしたら心残さず帰れまし。でも、それだと村の人にしたのと同じ」
銀太郎もサヨナラが悲しいの? 帰ってしまう日のことを考えて、さびしくなっていたの?
もしそうだったとしても……。
「そこ、悩むところ⁉︎ 他人の記憶を勝手に消すなんて、そんなのダメに決まっているでしょう! 銀太郎はどうだか知らないけれど、今までの全部が私にとっては大切な時間だったの。せっかくの思い出は私のものなのだから消したりしないでよ⁉︎」
「アオイ様はサヨナラ平気でしか」
「平気なわけないでしょう! さびしいの! サヨナラする前からすごくさびしいの! でも私、さびしくても思い出して、思い出して、いつかきっといい思い出にするから。大事な宝物にするから! あとでさびしくなるから最初から仲良くしないとか、ありえないから!」
「……」
銀太郎がうつむいた。変な顔になっている。
え、何?
なにか図星?
「……」
「あーーっ!! 銀太郎、催眠術だ! 絶対何かやったでしょう? 『銀太郎が好きになある』って。私が銀太郎の目を見られないのって、やっぱり銀太郎のせいじゃないの⁉︎」
今だって、こんなに近くで怒っているのに。こんなに目の前にいるのに。
なんで胸の宇宙人バッジに話しかけなきゃいけないのよ!
こんなのイヤだ!
こんなのおかしい。
こんなの……
ぽふっ。
銀太郎にハグされた瞬間、頭の中から言葉が消えた。
時間が止まったみたいに、周りの音も聞こえなくなった。
銀太郎がいるだけ。
全部、銀太郎になる。
銀太郎があふれて、息ができない。
「……アオイ様とサヨナラさびしい。でも、記憶を消したらもっとさびしいのわかっていまし。だから、いつサヨナラしても平気なよう、アオイ様遠ざけた。おまじないで目を合わせられなくしたのでし。遠くなったら自然にサヨナラできまし」
「銀太郎……」
わからない。
銀太郎がわからない。
いつも前向きでうっとうしいくらいにポジティブ思考の、メンタル最強宇宙人じゃなかったの?
なんでそんなに後ろ向きでグダグダなのよ⁉︎
「とにかく今すぐ催眠術を解いて! 私を元に戻して!」
「あ……ハイでし」
銀太郎の人さし指が目の前に伸びてきて、クルクルと回った。
「あなたは、銀太郎がキライになある」
もうっ、その呪文がややこしいんだってば!
チョンッ。
鼻の頭を軽くつつかれたとたん、バリアのように反発していた見えない力が消えた。
「えっ」
目の前に銀太郎の顔が見える。
真剣に見つめてくる目は泣き出しそうなほどに思いつめた感じで、今度は引き合う磁石のように私を離さない。
目をそらさず私だけを見続けて……
銀太郎……。
って、ぎゃーっ、ムリムリムリ!!
見られないっ心臓止まるっ息できないっ!
「離れて離して近寄らないでっ!」
思わず銀太郎をつき飛ばした。
「アオイ様? おまじない消えまし。なんで目を合わせられないでしか? 変でしね。もう一回やってみましか」
「いいっ、いらないっ! やらなくていいから。目、合わせなくていいからーっ!」
「それムジュンしていまし」
銀太郎は首をかしげているけれど、目を見つめ合うなんてムリだから。
「自分で目を合わせないのはいいのっ」
恥ずかし過ぎるのーーーーっ!!
「……アオイ様も遠かったらよかったのでし。アオイ様の記憶消したくない。ワタシ知っていてほしい。でも、サヨナラ悲しい。ワタシずっと悩みまし」
「えっ⁉︎ 私の記憶を消すつもりだったの?」
「そうしたら心残さず帰れまし。でも、それだと村の人にしたのと同じ」
銀太郎もサヨナラが悲しいの? 帰ってしまう日のことを考えて、さびしくなっていたの?
もしそうだったとしても……。
「そこ、悩むところ⁉︎ 他人の記憶を勝手に消すなんて、そんなのダメに決まっているでしょう! 銀太郎はどうだか知らないけれど、今までの全部が私にとっては大切な時間だったの。せっかくの思い出は私のものなのだから消したりしないでよ⁉︎」
「アオイ様はサヨナラ平気でしか」
「平気なわけないでしょう! さびしいの! サヨナラする前からすごくさびしいの! でも私、さびしくても思い出して、思い出して、いつかきっといい思い出にするから。大事な宝物にするから! あとでさびしくなるから最初から仲良くしないとか、ありえないから!」
「……」
銀太郎がうつむいた。変な顔になっている。
え、何?
なにか図星?
「……」
「あーーっ!! 銀太郎、催眠術だ! 絶対何かやったでしょう? 『銀太郎が好きになある』って。私が銀太郎の目を見られないのって、やっぱり銀太郎のせいじゃないの⁉︎」
今だって、こんなに近くで怒っているのに。こんなに目の前にいるのに。
なんで胸の宇宙人バッジに話しかけなきゃいけないのよ!
こんなのイヤだ!
こんなのおかしい。
こんなの……
ぽふっ。
銀太郎にハグされた瞬間、頭の中から言葉が消えた。
時間が止まったみたいに、周りの音も聞こえなくなった。
銀太郎がいるだけ。
全部、銀太郎になる。
銀太郎があふれて、息ができない。
「……アオイ様とサヨナラさびしい。でも、記憶を消したらもっとさびしいのわかっていまし。だから、いつサヨナラしても平気なよう、アオイ様遠ざけた。おまじないで目を合わせられなくしたのでし。遠くなったら自然にサヨナラできまし」
「銀太郎……」
わからない。
銀太郎がわからない。
いつも前向きでうっとうしいくらいにポジティブ思考の、メンタル最強宇宙人じゃなかったの?
なんでそんなに後ろ向きでグダグダなのよ⁉︎
「とにかく今すぐ催眠術を解いて! 私を元に戻して!」
「あ……ハイでし」
銀太郎の人さし指が目の前に伸びてきて、クルクルと回った。
「あなたは、銀太郎がキライになある」
もうっ、その呪文がややこしいんだってば!
チョンッ。
鼻の頭を軽くつつかれたとたん、バリアのように反発していた見えない力が消えた。
「えっ」
目の前に銀太郎の顔が見える。
真剣に見つめてくる目は泣き出しそうなほどに思いつめた感じで、今度は引き合う磁石のように私を離さない。
目をそらさず私だけを見続けて……
銀太郎……。
って、ぎゃーっ、ムリムリムリ!!
見られないっ心臓止まるっ息できないっ!
「離れて離して近寄らないでっ!」
思わず銀太郎をつき飛ばした。
「アオイ様? おまじない消えまし。なんで目を合わせられないでしか? 変でしね。もう一回やってみましか」
「いいっ、いらないっ! やらなくていいから。目、合わせなくていいからーっ!」
「それムジュンしていまし」
銀太郎は首をかしげているけれど、目を見つめ合うなんてムリだから。
「自分で目を合わせないのはいいのっ」
恥ずかし過ぎるのーーーーっ!!
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