宇宙人は恋をする!

山碕田鶴

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6章 幼年期のオワリ

85.オワリ(31/43)

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「あれ? もっとゆっくりしてくればよかったのに。せっかくのデートでしょう」

 車に戻ると、運転席のシートを倒して寝ていたパパが私たちを不思議そうに見上げた。
 パパがどこまで本気なのかわからないけれど、私と銀太郎が二人で話す時間を作ろうとしてくれたことは確からしい。

「もう話すことないからっ」
「……でし」

 元々銀太郎が催眠術なんかを使うから悪いのでしょう? なんでしょんぼりしているのよ。
 うつむきながらもチラリとこちらを見た銀太郎と目が合った。
 おおっ、反省している感じ。よしよし。
 ……なんてね。
 ちゃんと目を見ることができて安心したせいか、つい気が大きくなっている自分も反省しないといけないね。

「では、『万貫まんがんの森』へ出発するよ。さてさて、今日こそUFOが見られるかなあ」
「えっ、パパってUFO見たことないの?」
「ない」
「ええええっ⁉︎ なんで? 宇宙人相手にお仕事しているのにおかしくない?」
「パパはUFOにはノータッチだよ。旅行の手続きでUFOの手配はしても、宇宙人と一緒に移動するのは軍人だから。アテンドだって、現地でお迎えお見送り。遊びに行く先でUFOは使わないよ。まあ、色々と軍事機密もあるからね」

 こんなに宇宙人とお友だちなのに?
 アイドルに会えそうで絶対に会えないコンサートスタッフみたいなもの?
 助手席の銀太郎が、何度も私をチラ見してくる。
 さっきまでとは大ちがいなんですけど。恥ずかしいなあ、もう。
 目が合ったら、うれしそうに前を向いた。
 そうだよ、銀太郎は初めて会った時からそんなふうだったよね。いつもいつも私を見ていた。
 でもそれは、私が銀太郎にとって観葉植物で特別なアサガオだからで。
 特別なアサガオじゃない特別ってあるのかな。できれば対等な関係とか?
 宇宙人と地球人とでは、ムリなのかな……。



 「万貫の森」は、里山の中にあってさらに一段ポコッとふくらんだ小さな山だった。
 新幹線も停車する県庁所在地の駅からバスで三十分くらいのところにあって、小学生の時に行った林間学校よりも山奥な感じがする。
 でも、人はいっぱいいる。
 人気の観光スポットらしく、パパみたいなUFOオタクだけが来るわけではないらしい。
 この自然公園に「UFOふれあう館」もある。
 あやしい雰囲気がただよっているのは、宇宙人がいっぱいいるせいかな。
 山頂まで行く途中の階段や通路のわきに宇宙人がうじゃうじゃいる。石像だけれど。
 お地蔵さんと間違えられているのか、首に赤い布が巻かれているものもある。
 ちょっとというか、かなり怖い。夜なら肝試きもだめしができそうだよ、これ。もう完全にホラーだもの。
 銀色のグレイ銀太郎がゆるキャラ並みにかわいく思えてきた。

「わあ、いっぱいいまし。面白いでしねえ」

 他人事みたいに笑っているけれど、銀太郎はこれでいいのかな。
 当事者だから、怒る権利はあると思うよ?

「アオイ様、表現の自由は保証されなければならないのでし」

 銀太郎が文句を言わないならそれでいいけど。
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