宇宙人は恋をする!

山碕田鶴

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6章 幼年期のオワリ

94.オワリ(40/43)

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 広場はしんと静まりかえっている。私たちの他にも観光客はまばらにいるけれど、誰も何も話さない。
 みんなぼうぜんと空を見上げていた。
 少ししてあちこちからUFOという単語が聞こえ始めると、その後はもう大さわぎだった。
 私、宇宙人のUFOを見ちゃったんだ。
 あれが銀太郎も乗っているUFOなんだね。
 なぜだかそう思って銀太郎を見ると、もう見えないはずのUFOを見送るように、銀太郎はいつまでも遠い先をながめていた。
 地球防衛隊のエースパイロット……。
 本当に、いたんだね。
 もちろん信じていたけれど、今はっきりと実感した。
 銀太郎は、地球を守ってくれている宇宙人なんだ。
 少し離れたところに立っている藤井君も、じっと動かずいつまでもUFOが消えた先を見つめていた。
 いつの日か、藤井君も宇宙へ帰るんだね。
 誰にも知られず、地球を守るパイロットとして銀太郎のように……。

「……って、パパ⁉︎」

 藤井君のとなりに立っているパパもまた、空を見上げたまま動かなかった。
 号泣している。
 ポロポロと涙をこぼしながら、うれしそうに、子どもみたいに笑っていた。
 そうだよ、パパの願いがかなったんだ。
 私までうれしくて、パパと同じくらい笑顔になっていた。

「銀太郎……」

 銀太郎がUFOを呼んでくれたんだよね?
 私の視線に気づいた銀太郎は、小さく首を横にふった。

「アオイ様の言うとおり、フジークン、運がイイでしね」
「……そう、だね」
「どれだけ強く願っても、願いがかなうとは限らないでし。でも、強く願った思いは届くのでし。願う世界の門はたたけましよ。その先は運とタイミング。運命の門番たまたまそこにいたら門は開きまし」
「本当だよ! 藤井君はものすごく運がいいんだね。ありがとう。君のおかげでUFOが見られたんだ!」

 パパは藤井君に握手を求めて強引に両手をつかむと、おでこに当てておがんでしまった。
 藤井君、困っている。
 でも、やっぱり笑っている。



 駐車場に戻ってから、藤井君はもう一度家に電話してこれから帰ることを伝えた。パパも電話をかわってお家の人にごあいさつをする。
 私と銀太郎は車の中から二人を見ていた。

「パパ、ずっと笑顔だよね」
「ケイちゃんはいつも笑っていまし」
「そうだけど……今まで本気で笑っていないこともあったんだなあって。UFOを見た時のあの笑顔こそが本物なんだなあって」
「ケイちゃん、大変な時も笑っていたら楽しくなる言っていまし。楽しくなるよう笑いまし」
「ふーん。オトナって大変なんだね。あ、銀太郎は? やっぱり大変な時も笑っているの?」
「想像してごらんなのでし。ワレワレ銀色のツルツル。泣いても笑っても見た目一緒」
「あ……」

 そうでした。

「あれ? 川上さん変な顔、じゃなくて、ビミョウな顔しているけど、どうかしたの?」

 車のドアを開けた藤井君は心配そうに私を見た。
 銀太郎は助手席で笑い転げている。

「家に帰るまでが遠足だって、思っていたところ!」
「あ、そうだよね」

 藤井君は素直にうなずいた。







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