宇宙人は恋をする!

山碕田鶴

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7章(終章) 美しいホシ

98.ホシ(1/9)

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浴衣ゆかた?」
「どう? 葵に似合いそうだなあって冬のバーゲンセールの時につい買っちゃったのよね。ちゃんと葵の好みを聞けばよかったよね?」

 お母さんが夏祭りの前に浴衣を出してくれた。近くの神社でお店も出るから、これから銀太郎と二人で遊びに行くことになっている。
 デート……なのかな、一応。
 家出した藤井君を迎えに「万貫まんがんの森」へ行ってから数日が過ぎていた。
 銀太郎はまだうちにいる。
 私の夏休みが終わる前に帰ってしまうのは確実だけれど、それがいつなのか、パパも銀太郎も何も言わない。
 お迎えのUFOの都合みたいだから、ある日突然お知らせが来るのだろうな。

「ありがとう。すごくかわいくて好きな感じ! 特にこのアサガオ……がら……」

 アサガオがアサガオを着るのか。
 黒に近い紺色の生地に、うす青色のあざやかなアサガオが広がる。
 「UFOふれあう館」で藤井君に会えた時に見たパネル写真を思い出した。
 真っ暗な宇宙に浮かぶ、青く光る星。
 このアサガオは、雲の白や陸の茶色が混じったあの地球の色に似ている。

「わあ……」

 銀太郎はそれだけ言った。
 それだけしか言わなかった。
 お母さんに着せてもらって、わざわざくるりと一回転して見せたのに、反応うすいなあ。
 カワイイとかキレイとか似合っているとか、そんな言葉を宇宙人に期待するのがまちがっているのかな。
 そもそも、宇宙人基準のカワイイってなんだろう?
 神社に向かって歩く間もモヤモヤと考えた。
 あ、ダメだ。せっかく二人でお出かけ中なのに。
 夏祭りデートなんて、もう青春のビッグイベントでしょう⁉︎ もっとドキドキでキュンキュンじゃないと!
 横にいる銀太郎を見ると、楽しそうに笑っている。
 うわ、ずっと見られていたかも。考えながら変な顔していたかもっ。

「アオイ様はウツクシイでしね。いつでもテカテカ輝いていて、ぼわんと温かいのでし。ワタシどこにいてもアオイ様わかる。心の声大きいから、人がいっぱいでもアオイ様目立ちまし」
「……」

 頭の中の独り言、聞こえていたのかな。
 私の浴衣姿は無視なのに、内面はほめちぎってくれるんだ。見た目にほめる要素がないのか、銀色ツルツルの価値観では外見なんてどうでもいいのか……。
 わからないときは都合よく受け取ればいいんだよね?
 ほめ言葉がナナメ上に聞こえるのは、銀太郎が母国語で話していないからということにしよう。地球人として育っているのだから、母国語はあのポレポーレのはずだし。じゃあ宇宙人語は……テレパシーかな?



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