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7章(終章) 美しいホシ
106.ホシ(9/9)《完》
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「夏休みは、ずーっと夏期講習なんだよねえ。塾のクーラー効き過ぎでさ、体が冷えちゃうから長そでマストなの。そういうの、なんかSDGsに反していない?」
「ひな子、それ去年も聞いたー。それで学年一位で、それが推し活で、『かめかめ』グッズゲットしまくっているって」
学校の行き帰りは、私と美央とひな子のおしゃべりタイムだ。
小学校から親友の私と美央がひな子と知り合いになってちょうど一年。なぜか三人ですっかり意気投合して、いつも推し活話で盛り上がっている。
私は国民的アイドル滝川蓮君推しだけれど、二人はお笑い芸人コンビ「かめやまかめだ」の大ファンだ。
「この三人なら、あたし絶対ツッコミ担当だと思うんだけど、うーん、トリオで漫才ってムリだよねえ。やっぱりコントかあ」
「美央が芸人めざすのは勝手だけど、葵と二人でやってよねー」
「私じゃなくてひな子と組みなよ。めざせ『かめかめ』じゃないの? あ、ひな子は確実に高学歴芸人枠だよね。学生時代の超優秀伝説とかあったりしてさ」
「あー……それがさあ、最近模試で負け続きなんだよね。一位取らないと『かめかめ』グッズ買ってもらえないから、もう死活問題なわけ」
「え、と、それって……藤井君?」
「そう! なんか去年の夏休みが終わったころからヤル気出しちゃってさあ、トップ独走許せないっての!」
藤井君はあれからずいぶんと落ち着いて、急に大人びて見えるようになった。定期テストはだいたい学年一位で、ひな子とバチバチの首位争いに突入している。
どうやら藤井君は、成績が良かったらおじいさんの荒井さんと一緒にUFO観測に行けるようになったらしい。
藤井君レベルの「成績が良い」はテストで一位以外にありえないから、この先ひな子と推し活をかけた戦いが続くわけで、藤井君にとっても死活問題で……うわあ、怖い。
一方、のんきな私は相変わらずお母さんと一緒に蓮君の推し活を楽しんでいる。
「蓮君のサマーコンサート、何着ようっかなー」
「葵、すぐに腕をふり回しちゃうから楽な服の方がいいよ? オンライン生配信で家の中なんだし」
「うーん、気分はリアル会場なんだけどなあ」
「そういえば、今日パパ帰って来るみたいよ? 葵が学校に行っている間に電話があったの」
「そうなんだ。あれ? 何ヶ月ぶり?」
「半年……くらい?」
パパは相変わらず家にいないことが多い。急に出張になるし、どこにいるのかいつ帰って来るのか全くわからないし、それをお母さんが尋ねることもしない。
うちではそれが当たり前で、それでもずっと仲良しだ。
どれだけ久しぶりに会っても、昨日の続きみたいな安定感がある。不思議だよね。
さてさて。
「今日も元気でした!」
一日の終わりに、夜空に向かって報告するのがいつのまにか習慣になっている。
何となく、聞こえている気がするから。
最近は夜も暑くて窓は開けないけれど、私の心の声は大音量らしいから、ガラス越しでもまあ届くよね?
手抜きかな。へへっ。
でも、それでも、仲良しでいられる自信があるのは何でだろう。
ちょっと思い出して考えただけで、心がポカポカする。
変なのっ。
「葵ちゃん、ただいまーっ。パパですよー!」
あ、パパが帰って来た。
部屋の中にいてこんなにはっきり聞こえるってことは、ご近所にも聞こえちゃっているんじゃないの?
「葵ちゃーん、おみやげもあるんだよー?」
うわあ、恥ずかしいでしょうっ、もうパパってば。
「はあいっ、今行くから!」
ドアを開けると、もうパパが目の前にいた。
「おかえりなさい」
「ただいま。ほらあ、おみやげ!」
「おみやげ?」
あ……。
銀色の……ツルツル!!!?
〈完〉
※この物語はフィクションです。
「ひな子、それ去年も聞いたー。それで学年一位で、それが推し活で、『かめかめ』グッズゲットしまくっているって」
学校の行き帰りは、私と美央とひな子のおしゃべりタイムだ。
小学校から親友の私と美央がひな子と知り合いになってちょうど一年。なぜか三人ですっかり意気投合して、いつも推し活話で盛り上がっている。
私は国民的アイドル滝川蓮君推しだけれど、二人はお笑い芸人コンビ「かめやまかめだ」の大ファンだ。
「この三人なら、あたし絶対ツッコミ担当だと思うんだけど、うーん、トリオで漫才ってムリだよねえ。やっぱりコントかあ」
「美央が芸人めざすのは勝手だけど、葵と二人でやってよねー」
「私じゃなくてひな子と組みなよ。めざせ『かめかめ』じゃないの? あ、ひな子は確実に高学歴芸人枠だよね。学生時代の超優秀伝説とかあったりしてさ」
「あー……それがさあ、最近模試で負け続きなんだよね。一位取らないと『かめかめ』グッズ買ってもらえないから、もう死活問題なわけ」
「え、と、それって……藤井君?」
「そう! なんか去年の夏休みが終わったころからヤル気出しちゃってさあ、トップ独走許せないっての!」
藤井君はあれからずいぶんと落ち着いて、急に大人びて見えるようになった。定期テストはだいたい学年一位で、ひな子とバチバチの首位争いに突入している。
どうやら藤井君は、成績が良かったらおじいさんの荒井さんと一緒にUFO観測に行けるようになったらしい。
藤井君レベルの「成績が良い」はテストで一位以外にありえないから、この先ひな子と推し活をかけた戦いが続くわけで、藤井君にとっても死活問題で……うわあ、怖い。
一方、のんきな私は相変わらずお母さんと一緒に蓮君の推し活を楽しんでいる。
「蓮君のサマーコンサート、何着ようっかなー」
「葵、すぐに腕をふり回しちゃうから楽な服の方がいいよ? オンライン生配信で家の中なんだし」
「うーん、気分はリアル会場なんだけどなあ」
「そういえば、今日パパ帰って来るみたいよ? 葵が学校に行っている間に電話があったの」
「そうなんだ。あれ? 何ヶ月ぶり?」
「半年……くらい?」
パパは相変わらず家にいないことが多い。急に出張になるし、どこにいるのかいつ帰って来るのか全くわからないし、それをお母さんが尋ねることもしない。
うちではそれが当たり前で、それでもずっと仲良しだ。
どれだけ久しぶりに会っても、昨日の続きみたいな安定感がある。不思議だよね。
さてさて。
「今日も元気でした!」
一日の終わりに、夜空に向かって報告するのがいつのまにか習慣になっている。
何となく、聞こえている気がするから。
最近は夜も暑くて窓は開けないけれど、私の心の声は大音量らしいから、ガラス越しでもまあ届くよね?
手抜きかな。へへっ。
でも、それでも、仲良しでいられる自信があるのは何でだろう。
ちょっと思い出して考えただけで、心がポカポカする。
変なのっ。
「葵ちゃん、ただいまーっ。パパですよー!」
あ、パパが帰って来た。
部屋の中にいてこんなにはっきり聞こえるってことは、ご近所にも聞こえちゃっているんじゃないの?
「葵ちゃーん、おみやげもあるんだよー?」
うわあ、恥ずかしいでしょうっ、もうパパってば。
「はあいっ、今行くから!」
ドアを開けると、もうパパが目の前にいた。
「おかえりなさい」
「ただいま。ほらあ、おみやげ!」
「おみやげ?」
あ……。
銀色の……ツルツル!!!?
〈完〉
※この物語はフィクションです。
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ありがとうございます!
ハイ、頑張ります。「ぱにゃにゃんだー」のかけ声で、いくらでも頑張れそうです!
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