小助くんの小さなぼうけん

ケンタシノリ

文字の大きさ
261 / 347
山おくの秋は楽しいきせつ

赤いりゅうがたすけてくれたよ!

しおりを挟む
 山おくは、いつもとちがってどんよりとうすぐらい雲におおわれています。そんな中であっても、小助はワン太とともに元気よく森の中へ向かってかけ足で走ろうとしています。

 しかし、森のほうへ行こうとしても小助たちはなかなかすすむことができません。なぜなら、すさまじい風が小助たちのほうへふきつけているからです。

「うんしょ! うんしょ!」
「と、とばされそう……」

 こうする間にも、空からは強い雨がきゅうにふり出してきました。小助たちは、はげしい雨と風にまけないように前へ向かおうとします。

「うぐぐぐぐっ、うぐぐぐぐぐぐぐっ……」
「すすまないよう……。わっ! わあああ~っ!」

 小助とワン太は、すさまじい風にまきこまれると空のほうへ向かっていっしょにとばされてしまいました。ものすごい風にふきとばされた小助たちは、見うごきできないまま森の大きな木の上をこえていきます。

 ワン太は、自分がどうなるのかしんぱいになってきました。その気もちは、小助のほうにもつたわっています。

「こちゅけくん(小助くん)……」
「大じょうぶ! 大じょうぶ!」

 小助は、えがおを見せながらワン太をやさしくだきしめています。

 はげしい風にとばされた小助たちの先には、大きななみが立っている大きな池が見えてきました。そのまま池の中へたたきつけられると、小助とワン太は水中のふかいところへしずんでいきます。

 すると、池のそこからやってきた赤いりゅうが小助たちに近づいてきました。けれども、赤いりゅうはいつものように小助へおそいかかったりすることはありません。

「あのチビ、子犬といっしょだぞ。どうしたんだ」

 赤いりゅうは、いつもとちがって大きな池がなみ立っていることに気づきました。すぐに小助たちをせなかにのせると、大きなりゅうは一気に池の中からとび出しました。

 空をうかんでいる赤いりゅうですが、目の前からはすさまじい風が雨とともにふきつけてきます。そんな中であっても、赤いりゅうは小助たちを池の入り口までつれて行こうとしています。

「わあ~っ! おっきなりゅうだ! おっきなりゅうだ!」
「そこのチビ、おれのれなかにつかまっていないと風にふきとばされるぞ」

 小助は、ワン太をだきながら大きなりゅうからおちないようにしっかりとつかまっています。赤いりゅうのほうも、風にふきとばされないように池の近くのじめんへ向かってすすんでいます。

「さあ、池のそばへついたぞ」

 赤いりゅうのことばを耳にすると、小助たちはそろってりゅうのせなかからおりることにしました。空をながめると、うすぐらい雲の切れ間から青空が見えてきました。

 さっきまでふきつけていた風のほうも、いつの間にかおさまってきました。小助とワン太は、自分たちをたすけてくれた赤いりゅうにかんしゃしようと大きな声を上げています。

「おっきなりゅう! ありがとう!」
「そうかそうか。まあ、すさまじい風がふいている時に外へ出るのは気をつけることだな」

 赤いりゅうは、小助たちにちゅういするとすぐに池のほうをもどろうとします。すると、小助はりゅうの頭にとびつくとかわいい声で何か言おうとしています。

「またあちょぼう(あそぼう)! またあちょぼう!」
「おいおい! おれはおまえとあそぶとやくそくしたわけではないぞ!」

 小助のおねだりに、赤いりゅうは早くここからもどりたいと頭の中で考えていたその時のことです。

「プッ、プッ、プウウウウウウウウウウウウウウ~ッ」
「ぐえっ、おならがくさてたまらない……」
「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」

 赤いりゅうは、小助のでっかいおならこうげきをみごとに食らってしまいました。小助の元気いっぱいのえがおに、大きなりゅうはむっつりした顔つきでだまりこんでいます。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

【奨励賞】おとぎの店の白雪姫

ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】 母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。 ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし! そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。 小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり! 他のサイトにも掲載しています。 表紙イラストは今市阿寒様です。 絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。

宇宙人は恋をする!

山碕田鶴
児童書・童話
【第2回きずな児童書大賞/奨励賞を受賞しました。ありがとうございました。】 私が呼んでいると勘違いして現れて、部屋でアイスを食べている宇宙人・銀太郎(仮名)。 全身銀色でツルツルなのがキモチワルイ。どうせなら、大大大好きなアイドルの滝川蓮君そっくりだったら良かったのに。……え? 変身できるの? 中学一年生・川上葵とナゾの宇宙人との、家族ぐるみのおつきあい。これは、国家機密です⁉ (表紙絵:山碕田鶴/人物色塗りして下さった「ごんざぶろ」様に感謝)

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~

丹斗大巴
児童書・童話
 幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。  異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)とアイテムを生みだした! 彼らのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅するほのぼの異世界珍道中。  便利な「しおり」機能を使って読み進めることをお勧めします。さらに「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です! レーティング指定の描写はありませんが、万が一気になる方は、目次※マークをさけてご覧ください。

左左左右右左左  ~いらないモノ、売ります~

菱沼あゆ
児童書・童話
 菜乃たちの通う中学校にはあるウワサがあった。 『しとしとと雨が降る十三日の金曜日。  旧校舎の地下にヒミツの購買部があらわれる』  大富豪で負けた菜乃は、ひとりで旧校舎の地下に下りるはめになるが――。

ぼくのだいじなヒーラー

もちっぱち
絵本
台所でお母さんと喧嘩した。 遊んでほしくて駄々をこねただけなのに 怖い顔で怒っていたお母さん。 そんな時、不思議な空間に包まれてふわりと気持ちが軽くなった。 癒される謎の生き物に会えたゆうくんは楽しくなった。 お子様向けの作品です ひらがな表記です。 ぜひ読んでみてください。 イラスト:ChatGPT(OpenAI)生成

処理中です...