小助くんの小さなぼうけん

ケンタシノリ

文字の大きさ
321 / 347
小助くんと冬の新しい出会い

雪女の家と小助くん

しおりを挟む
 小助は、雪おにがきえた後も雪女のそばからはなれようとはしません。雪女のほうも、小助のようすが気になってしかたがありません。

「ぼうや、もうそろそろ帰らないと」
「ずっといっちょ(いっしょ)! ずっといっちょ!」
「ふふふ、しょうがないわね。それじゃあ、あたしがくらすところへつれて行こうかな」
「わ~い! わ~い!」

 大よろこびの小助のすがたに、雪女もやさしそうな顔つきで見つめています。こうして、小助は雪女といっしょに雪のふかいところをすすむことになりました。

「小助くん、どこまで行くのかしら」

 お母さん犬は、小助のようすを見ようとワン太とともに後ろからついて行きます。うすぐらい空からは、白い雪がずっとふりつづいています。

 そんな中であっても、小助ははらがけ1まいで雪道を元気いっぱいにふみしめています。小助は、雪の中へすっぽりと足がはまっても気にすることはありません。

「ぼうやの足あとはかわいいね」
「あちあと(足あと)! あちあと!」

 足がはまったところには、小助の足あとがくっきりとのこっています。小助は、自分の足あとをじっと見ながら大はしゃぎしています。

 やがて、小助たちの目の先に1つの小さな家があらわれました。その家のやねは、たくさんの雪におおわれています。

「わあ~っ! 雪の家だ! 雪の家だ!」

 雪女がくらすこの家には、いろりのようなあたたかいところはありません。家の中へ入っても、外からつめたい風がつぎつぎと入ってきます。でも、小助はどんなにさむくてもまったくへいきです。

「こ、こわいよう……」
「ワン太くん、そんなにこわがらなくても……」

 ワン太は、家の中がくらいのがこわいのでお母さん犬のそばから動こうとはしません。そんな時、雪女のまわりがほのかに明るくなりました。

 よく見ると、雪女のそばには青いひとだまがうかんでいます。ひとだまがへやの中をとび回るのを見て、ワン太はすぐにお母さん犬の後ろにかくれてこわがっています。

 そんな中、小助は雪女の目の前でいつもの元気な声でさっきと同じようにおねだりをしています。
「おっぱい! おっぱい! おっぱい!」
「ふふふ、しょうがないわね。こっちへおいで」

 雪女はほのかな明かりにかこまれながら、小助を自分のりょう手でやさしくだき上げています。すると、小助はかわいい顔つきで雪女のおっぱいをのみはじめました。

「ぼうやも、いっぱいのんで大きくなるといいね」

 人間が雪女に会えるのは、雪がふりつもった冬の間だけです。それでも、小助はお母さんのようなやさしさを見せる雪女のことをすっかり気に入っています。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

左左左右右左左  ~いらないモノ、売ります~

菱沼あゆ
児童書・童話
 菜乃たちの通う中学校にはあるウワサがあった。 『しとしとと雨が降る十三日の金曜日。  旧校舎の地下にヒミツの購買部があらわれる』  大富豪で負けた菜乃は、ひとりで旧校舎の地下に下りるはめになるが――。

宇宙人は恋をする!

山碕田鶴
児童書・童話
【第2回きずな児童書大賞/奨励賞を受賞しました。ありがとうございました。】 私が呼んでいると勘違いして現れて、部屋でアイスを食べている宇宙人・銀太郎(仮名)。 全身銀色でツルツルなのがキモチワルイ。どうせなら、大大大好きなアイドルの滝川蓮君そっくりだったら良かったのに。……え? 変身できるの? 中学一年生・川上葵とナゾの宇宙人との、家族ぐるみのおつきあい。これは、国家機密です⁉ (表紙絵:山碕田鶴/人物色塗りして下さった「ごんざぶろ」様に感謝)

ぼくのだいじなヒーラー

もちっぱち
絵本
台所でお母さんと喧嘩した。 遊んでほしくて駄々をこねただけなのに 怖い顔で怒っていたお母さん。 そんな時、不思議な空間に包まれてふわりと気持ちが軽くなった。 癒される謎の生き物に会えたゆうくんは楽しくなった。 お子様向けの作品です ひらがな表記です。 ぜひ読んでみてください。 イラスト:ChatGPT(OpenAI)生成

【奨励賞】おとぎの店の白雪姫

ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】 母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。 ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし! そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。 小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり! 他のサイトにも掲載しています。 表紙イラストは今市阿寒様です。 絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

処理中です...