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3話
しおりを挟む「今はリアの良さが分かる! だから好きになれそうな気がする!」
「そんなこと、どうでもいいことです」
「へ……? なん、で……?」
「だって私、貴方ともう二度と関わる気ありませんから」
「何てこと言うんだ! 婚約してた仲だろ!? 何てことを言う! 酷すぎる!」
「何を言っても無駄ですよ、心は変わりません」
「やり直そう! 大丈夫、きっと、何とかなるさ。今なら上手くいくはず! アリーサももういないし!」
彼はどこまでも愚かだった。
「二度と私の前に現れないで。……さようなら、アールゼレー」
――その後アールゼレーは実家で両親と共に暮らしていたようだが、いつも夕方には外に一人で出て何やらぶつぶつ言っていたそうだ。
アールゼレーの家の近所の人たちが話していた噂によれば。
彼は「もう絶対無理だ結婚なんて無理誰も相手してくれないでもそれは周りが悪いんだ周りが優しくなく見る目がないせいだ」とか「自分に非はないだって自分はずっとやりたいようにやって真っ直ぐに生きてきただから何一つあやまちなんかおかしていない責める周りが全部悪いあいつらが俺に理不尽なことを言ってきてるんだ」とか言っているらしい。
何だかとても怖そうな感じだとか。
まぁ……しかし自業自得だろう。
すべては彼が選んできた道。
その果てに孤独しかなくてもそれは自らの責任だ。
婚約者がいる身でアリーサに惚れ手を出した――そもそものはじまりはそこにあって、それは彼が自ら起こしたこと。誰かがそうさせたわけではないし、他の誰のせいでもない。それゆえ、すべての不幸の原因を作ったのは彼自身なのだ。
ちなみに私はというと、来月とある青年と会う予定だ。
将来を見据えて、まずは一度会ってみる――今のところそういう話になっている。
楽しい未来があったらいいなぁ。
夢はどこまでも膨らむ。
◆終わり◆
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