この国において非常に珍しいとされている銀髪を持って生まれた私はあまり大切にされず育ってきたのですが……?

四季

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3話

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 ◆


 あの日、反復横跳び中に声をかけてもらった日から、今日でちょうど三年になる。

「結婚一周年おめでとーっ!」

 あの日出会った彼オブリと私は今夫婦になっている。

「ありがとうオブリ」
「この日のために準備してきていたんだ」

 あの後判明したことだが、オブリはこの国の王子だった。

 だからどこかで見たことがあるような気がしたのだろう。

 つまり私は王子の妻となったのだ。

 驚かれるだろうか? 王子と結婚なんて。いや、きっとそうだろう。驚かれて当然だろう、自分でもそう思う。嘘みたい? 夢でもみているかのよう? そうなのだ。でもこれは現実なのだ。

「これからも僕の良きパートナーとして歩んでくれると嬉しいな」
「ええもちろん! こちらこそよろしくね」
「また一緒に反復横跳びしよう。いつまでも、末永く……君と一緒に跳び続けたいよ」
「それは私も。同じ気持ちよ」

 最近は毎朝オブリと一緒に反復横跳びをしている。だがその行動を咎める者は城内にはいない。城内で働いている人たちは皆慣れているようで、私たちが好きなように跳ねていても温かく見守ってくれている。

「反復横跳びを一緒にできる女性と巡り会えて結婚できたなんて……今でも夢みたいだよ、嘘みたいだ」
「でも現実よ」
「そうだよね。ふふ、嬉しいな。僕を選んでくれて本当にありがとう」
「それはこちらのせりふだわ」

 ちなみに元婚約者はというと。

 あの後いろんな女性に声をかけて回るもほとんどまともには相手にされず、散々痛い目に遭いながらようやく手に入れた好意的な女性もその目的は彼の資産を搾取することであったようで――結局本当の愛は手に入れられなかったみたいだ。

 で、今は一文無しで町を彷徨っているような状態になってしまっているのだとか。

 だがまぁ私には関係のないことだし。
 彼がそうなったのは外の誰のせいでもない彼自身のせいだから、気の毒にと言って差し上げる義理もないのだ。

 精々好きなように生きてください。

 ――そうとしか言えないし思えない。


◆終わり◆
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