明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。

四季

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2話「結婚式予定だった日には」

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「でも……そちらの女性、そんなに大切なのですね」
「だ! か! ら! 間違いだ! ったく、不細工女はそうやってすぐに勘違いするから嫌なんだ」
「勘違い? そうとは思えません、だって」

 そう言ってから、私は先ほどの録画を再生する。

『ああ。あいつ、気づいていないからな。だから大丈夫。……でもごめんな、結婚してしばらくは色々あるからお前に会えなくなるけど』

 徐々に青ざめていくのは、オードレインだけではなかった。彼の相手である女性もまた青白い顔になっていっていた。どうやら一応やらかしている自覚はあったみたいだ。

『だけど、だけど……これだけは信じて。俺が愛しているのはお前一人だけだから。婚約者だって、妻だって、あいつは俺の愛する人じゃない』

 しかし――何度聞いても酷い発言だ。

 心ないにもほどがある。

「お、お前! そんなもの撮りやがって! 許さねぇ! 卑怯者!」
「結婚前日に他の女性と遊んでいる人の方が卑怯と思いますよ」

 正直もう彼を想うことはできない。
 今日までは大切にしたいと思っていたけれど。
 もう彼へ感情は冷めきってしまった。

「私、貴方との婚約は破棄します」
「な!? 何だと!? ふざけるな! 明日結婚式だぞ!?」
「式は予定通り行います。ただし、内容は別のものとします。明日は皆さんの前で貴方の行為を紹介することにでもしましょう」

 今さら彼と共に行くことを選ぶことはできない。

「貴方は来なくても結構です――どうか、そちらの女性とお幸せに」

 私は婚約破棄の手続きを開始する。

 そして、翌日の結婚式予定の時間には、皆に昨日のオードレインと女性がいちゃつく映像を披露した。

「……何これ? 酷いわね」

 参加者は内容の変更に驚いていた。

 こちらとしても申し訳なくは思う。
 祝福しようと来てくれているのに。

 でも仕方がないのだ、彼が裏切ったから。

「あの人の息子さん、他の女にも手を出してたなんて……まったく、どんな教育をしたらこんなどうしようもない人に育つのかしら」
「なんだこれ最悪だな」
「ごみ」
「いるよなこういう男、ばれても気づかないんだよな」
「下半身動物かよ」

 映像を見せられた人たちは皆『オードレインは汚いものである』というような顔をしていて、オードレインの親戚らは顔を真っ赤にして震えていた。

 無理もないか――こんな恥ずかしい映像を流されては。

 でもこれも仕方のないこと。
 彼がきちんとしていればそもそもこんなことをしなくて良かった。
 原因を作った彼が問題なのだ。

 そうして、結婚式予定の日は終わった。
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