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しおりを挟むその日、畑仕事に打ち込んでいたところ。
「君! とても美しいね! 惚れてしまったよ!」
通りすがりの何となく良い出の人らしい身形の青年からそんな風に声をかけられて。
「間違いない、君は僕の運命の人だ! 結婚してください!」
「え……ええと、あの、そういうのは結構なので」
意外なことを言われたけれど冷静に返す。
「えええ!?」
すると青年は大層驚いていた。
どうしてそんなに驚く?
初対面なのだし拒まれることを前提に声をかけたのでは?
「と、取り敢えず、自己紹介だけでも……」
話を聞きながらも手は動かし続ける。
なぜなら畑仕事の一番の敵は手をとめることだからだ。
「僕はエルフィン・ラ・オーギュラトス、この国の王子です。エルフィンと呼んでいただければ嬉しいです」
名乗られて。
「お、王子!?」
今度はこちらが驚く番だった。
どうして王子なんかがこんな田舎に。
そう思っていたら。
「実は今日は視察で、この町を訪ねてきていたのです」
先に彼の口から説明があった。
「そうだったのですか……」
「そこで貴女をお見かけして」
「ああそうだったのですね」
「ええと……その、運命の人だ、と……ああ少し照れてきました」
もちろん手は動かし続ける。
「急に声をかけてしまい失礼しました……」
「いえ、こちらこそ、怪しんでしまいすみませんでした」
ただ、徐々に状況が分かってきたため、彼への警戒心は薄れてゆきつつある。
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