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しおりを挟む「ですが、結婚などという冗談をいきなり投げかけるのは問題かと思われます」
「え!? 冗談!?」
「はい。だってそうでしょう? 一国との王子ともあろう方が私のような平民にそのようなことを仰っていては……」
「本気ですよ!?」
「……やめてください、そういう冗談、本当に」
――そう、私には苦い思い出がある。
かつて私には婚約者がいた。
その人は皆から憧れられたような美男子だった。
つり合わない、とか、女のレベルが低すぎ、とか、散々悪口を言われていたけれど、それでも彼となら共に歩めると思っていた――なんせその時が来るまでは彼は優しくしてくれていたし関係も良好といった感じであったから。
だが、ある日のこと、彼に突然呼び出されて。
『ごめん、農民と結婚とかやっぱ無理だわ、やめる』
そんなことを言われ、婚約破棄されてしまった。
すべてを壊された。
そんな気がして。
それから男性という生き物を信じられなくなり、また、婚約だとか結婚だとかといった話を聞くことも不快なようになってしまった。
「――そのようなことがあったのですか」
気づけば私は目の前の彼エルフィンに一連の流れについて話してしまっていて。
「申し訳ないです、個人のことを長々と」
「いえ。でしたら……軽い気持ちで言うべきではありませんでしたね、結婚など。配慮が足らず失礼しました」
こうして王子エルフィンとの関係が始まってゆく。
道の先にあるものなんて分からない。
どんな明日が待っているかさえも。
ただ、それでも私は歩んでゆく。
エルフィンと手を取り合いながら。
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