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2話「訪れた転機が招く」
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国王が派遣した者が家へやって来たのである。
「ここにローズマリー様の娘さんがいるとの話で参ったのだが……いないのか?」
物置と屋敷は少々離れているけれど、遣いが来ていることにはすぐに気づいた。遣いの者の声がやたらと大きかったからだ。
「残念ですが、そのような娘はおりません」
物置の陰から屋敷の方を見る。
どうやら義母が対応しているようだ。
「では、もし見つかれば教えてくれたまえ。発見した者には報奨金を渡すこととなっているので」
「お、お待ちください!」
「……何か?」
「じ、実は、心当たりがあります」
「心当たり?」
「夫の前妻との間の子がいるのです、あちらの物置に」
怪訝な顔をする遣いの者。
「物置に? なぜそのようなところに」
「彼女は心を病んでいるのです、それで静かなあちらに住んで療養しているのです」
「なるほど。では、彼女に会わせてもらえるだろうか?」
「は、はい。すぐに。連れて参ります」
私は義母に呼ばれた。
「すぐに来なさい!」
「は、はい」
こうして私は遣いの前に出ることとなり。
「そっくりだ……! まさに、ローズマリー様そのもの……!」
「え」
「ぜひ共に来てほしいのです!」
遣いの者と共に城へ行くこととなった。
あの闇から抜け出せる。
それだけで嬉しくて。
だから知らない人についていくことだって怖くはなかった。
「ここにローズマリー様の娘さんがいるとの話で参ったのだが……いないのか?」
物置と屋敷は少々離れているけれど、遣いが来ていることにはすぐに気づいた。遣いの者の声がやたらと大きかったからだ。
「残念ですが、そのような娘はおりません」
物置の陰から屋敷の方を見る。
どうやら義母が対応しているようだ。
「では、もし見つかれば教えてくれたまえ。発見した者には報奨金を渡すこととなっているので」
「お、お待ちください!」
「……何か?」
「じ、実は、心当たりがあります」
「心当たり?」
「夫の前妻との間の子がいるのです、あちらの物置に」
怪訝な顔をする遣いの者。
「物置に? なぜそのようなところに」
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