理不尽に追放された神の加護を持つ娘、隣国で幸せになる

四季

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2話

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「君の悪行はもはや隠せるものではない! 婚約破棄としよう!」

 彼は高らかに告げる。

 正直、こちらとしてもそれでいい。否、それがいい。自由の身に戻ることができるなら、こちらとしても好都合だ。

「分かりました」

 婚約破棄、受け入れよう。

「……え。良いのかい?」
「はい。私も別にここにいたくているわけではありません」
「ふん、随分気が強いね」
「私は望んで今の地位に就いたわけではありませんので」

 愛とか何とか言っていればいい。私だって、その方が幸せだ。決められた道を歩かされるより、婚約破棄してさっさとここから去る方が、きっと有意義な人生が待っているはず。

「さようなら、王子様」


 ◆


 私は王子との婚約を解消し、晴れて自由の身となった。

 とはいえ、行くあてがあるわけではない。目指す場所も帰る場所も特別ありはしないのだ。私に残されたのは、神の加護を持つ娘、という役立つかどうかはっきりしないような称号のみ。私に残されたものは、それ以外には何もない。

 城を出る際に持たされた少しのお金で、近場の宿泊所に取り敢えず宿泊。

 一人だし、所持金もあまりないし、これからへの不安はかなり大きい。もしかしたら、生まれてから一番不安な時かもしれない。頼れるものが何もないという事実が余計に不安を掻き立ててくる。

 暗闇を手探りで歩くような感覚のまま、私は夜を過ごした。

 決して明るい人生ではなかった。多くの人々に温かく迎えてもらってきたわけでもない。それでも、これほどの孤独を、私は今まで知らなかったのだ——今になってそう気づいた。

 この世には、これほどの孤独感というものが存在しているのか。
 そして、それは、こんなにも胸を押し潰そうとしてくるものなのか。

「……これからどうしよう」

 もう何にも縛られない。好きでもない人の妻にならされることもない。理想の姿を演じることも、もうしなくて済む。孤独感を抱えていなくてはならない代わりに、多くの自由を手にすることができる。

 闇の中から光を見つけ出すことはできるのだろうか。

 いや、できるできないではなく、しなくてはならない。

 今はまだ暗闇の中にいる。けれどもここで倒れているわけにはいかない。ようやく縛りから解放されたのだ、光を探すべく飛び立とう。確かな行き先なんてなくても、突き進まなくては。
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