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3話
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「神の加護を受けていると言われているのは、貴女ですよね」
宿泊所で暮らし始め数日が経ったある日、宿泊所の一階にある食堂で、一人の青年から声をかけられた。
年齢は二十代くらいだろうか。やや肥え気味だが丸みを帯びた顔が愛らしい雰囲気を放っている。また、丸い顔面についた二つの目はぱっちりしていて、まるで天使のよう。世で美男子と言われるような顔立ちではないけれど、顔全体から愛らしい雰囲気が溢れ出ている。
「え……あ、はい。そう言われていました」
「お名前は?」
「フルレイヌ・アンドラです」
「良かった……! やはりそうでしたか。実は僕、貴女を探していました」
天使の赤子のような彼は、私の名を聞くと、純粋な笑みを面に浮かべた。
「実は、僕、隣国の王子なのです。ここではあまり大きな声では言えませんが……」
彼はそう打ち明けた。
すぐには信じられなかったけれど。
「よければ、我が国へ来てくださいませんか」
「え……」
「失礼なことを申し上げている自覚はあります。が、それでもお願いしたいのです。どうかお願いします」
その時すぐには頷けなかったけれど、数日待ってもらっているうちに私の心は決まった。
彼の国へ行こう、と。
初めて声をかけてもらった日から数日が経った日の朝、私は彼と改めて対面する。
「決めました。そちらの国へ行きます」
「本当ですか……! ありがとうございます、嬉しいです」
私は私の人生を歩みたい。だからもう振り返りはしない。決められた道を歩いてきた過去に囚われる必要などない。見つめるのは未来だけだ。
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