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1話
しおりを挟む私には婚約者がいた。
名前はオーガン・デ・デルフィスト・コトレットという。
彼はそこそこ資産のある家の子息であった。
彼との婚約が決まった時、両親は大層喜んでくれた――しかしそんな風にして築かれた幸福を、祝福もろとも叩き潰す者が現れた。
――妹ミレである。
ミレは昔から私のものを欲しがる。
そしてそれは今回も例外ではなくて。
彼女はやはりオーガンのことも欲しがっていた。
「オーガン様、わたし、ミレと申す者なのですが……」
「確か彼女の妹さんだね。何だい?」
「実はオーガン様に……姉のことで、ご相談がありまして」
ミレは裏でこっそりとオーガンに接近。
「お姉さんのことで? いいよ」
「ありがとうございます……! わたし、たくさん考えてきたのですが、これを相談できるのは貴方しかいないと思いましたので……嬉しいです」
相談などというありふれた手段を使って彼との距離を縮めた――しかもそこで私の悪口を吹き込んでいたようで。
「お前、妹さんを虐めていたそうじゃないか」
「え」
「最低だな」
「ええ!? 知りません、そのような話。心当たりがまったくありません」
「無自覚虐めか。ならなおさら酷いな。悪女――否、悪魔だな。信じられないほどの極悪さと愚かさだ」
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