貴方が望むなら死んであげる。でも、後に何があっても、後悔しないで。

四季

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貴方が望むなら死んであげる。でも、後に何があっても、後悔しないで。

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 私は人の本心を読むことができる。
 だから婚約者が私に「死んでほしい」と思っていることも知っている。

 彼には本命の女がいる。でも私が婚約者。だがそれも仕方ない、婚約は親同士が決めたことだから。本命の女がいるにもかかわらず別の女と婚約させられるというのは気の毒に思うけれど「死んでほしい」はさすがに酷いだろう。

「やぁ、おはよう。今日も元気かい?」
(あーだる。この女さっさと消えてくれねーかな。そしたらあの子ともっと会えるのになー)

 彼はいつもこんな調子だ。

「あ、はい。元気です。そちらは?」

 彼は私に一切情を抱いていない。

「んー? 僕? 元気だよ」
(会話長引かせてくるのうぜー。しかもいっつも内容くだらねぇしー。できれば死んでほしいなー)

 この日、私はふと思い立って、崖から飛び降りた。
 そのまま死亡した。

 だが、亡くなった後、少しばかり面白いものを見ることができた。

 婚約者が突然亡くなったという騒ぎによって、相手の女が『彼に婚約者がいたこと』を知ることになったのだ。

 相手の女はどうもそのことを知らなかったようだ。
 彼のことは独り身と思っていたようだった。

 そして彼は女に振られた。

 その一件ですっかり弱ってしまった彼は体調を崩す。一日中寝ているような日も増え、段々自室から出られないようになっていく。そのうちに親と喧嘩になった。部屋から引きずり出され、さらに、家から追い出されて。彼はろくに何も持たないまま、あちこちを彷徨うこととなった。


◆終わり◆
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