さようなら、あなたとはもうお別れです

四季

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前編

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 私は十八の誕生日に親から告げられたアセインという青年と婚約した。

 親から聞いた話によると、彼は数ヶ月前偶然見かけた私に一目惚れしたらしい。そのことをアセインから相談された彼の父親が、私の親に話をして、この婚約が決まったらしい。

 素敵な彼とならきっと幸せになれる。
 そう夢みていた。

 幸せになれると思った。迷いなく、そう信じていたのだ。暗い未来なんて存在しないと本気で思っていた。いや、そもそも、そんなことは少しも考えてみなかったのである。

 そんな風にして幕開けたアセインとの婚約者生活。

 最初はとても楽しかった。

 私は婚約と同時に彼の実家へ移り住んだのだが、アセインはいつも熱心に構ってくれて。申し訳なく感じるくらい、彼は私に親切だった。いつも笑顔で接してくれるし、怒ったりしないし、美味しいものや好みにぴったりなものを贈ってもくれる。また、私が何か言うと頷きながら聞いてくれて、私の希望がある時はそれを受け入れてくれた。

 私は次第に彼のことが好きになっていった。

 しかし、婚約から三ヶ月ほどが経った頃、異変が起こり始める。

 アセインの中の何かが変わったことを私はすぐに察した。けれども、何が変わったのかが分からなくて。ただ、本当のところを尋ねてみるのも怖くて、どうしても尋ねられなかった。私には勇気がなかったのだ。

 そんなことをしているうちに、彼の変化はより一層大きくなっていった。

 まず、私と関わる時の表情に大きな変化が現れた。というのも、以前のように優しい笑みを向けてくれなくなったのである。前は近くにいる時にはいつも優しげに笑ってくれていた。けれども今は、それがなくなってしまった。

 そして、行動パターンにも変化が。

 以前の彼はよく私に会いに来てくれていた。こちらから何か言わずとも、寄ってきて、言葉をかけてくれていたのだ。休日などは大抵ほとんど一日中一緒にいた。それも、彼が望んでそういうことになっていたのだ。私が一緒にいたいと言ったから、ではない。

 けれども彼は私のところへ来なくなった。否、時折は来てくれる。が、以前のように積極的にやって来ることはない。
 のみならず、よく外出するようになった。

 しかも、半日以上の、長時間の外出である。

 彼の心は私から離れてしまったの? 私にはもう興味がないの? もしかして、私以外の誰かに惚れているの?

 私は不安の中にいた。

 そんなある日、私は偶然、知らない女性と一緒に歩いているアセインを目撃。近場の本屋へ本を買いに行こうとしている最中のことであった。

「アセインさん! ……どうしてここに?」
「あっ……いや、君、人違いだよ。アセイン、なんて知らないよ」

 アセインは必死になって誤魔化そうとしていたが、誤魔化せていなかった。

 彼の隣にいる女性は、彼に寄りかかるようにしながら、「この地味娘、誰?」などと甘い声で尋ねている。しかも、時折馬鹿にするような視線をこちらへ向けてくるから、たちが悪い。
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