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第66話 総ツッコミを喰らう
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性格が歪んでいるとルブランに鋭いツッコミを喰らい、動揺し動けなくなった僕をサンペータ達はズルズルと引きづりながら教室へと戻った。
授業中にもかかわらず、僕はどこでこんなに性格が歪んでしまったのか悩んでいると、教壇に立っていた教師が僕の所までやって来た。
「アレク君。元気が無さそうだね? 悩みがあるなら先生が特別に相談にのるよ。条件付きで(笑)」
さっき僕から人気キャラクターのプレミアムチケットの約束を取り付けたクズ教師…… 失礼、子供思いの教師が耳元で満面の笑みを浮かべながら囁いた。
「いえ、大丈夫です」
と答えると、子供思いの教師は、
「そうか、それは残念だ。何かあったらいつでも良いから先生に相談しなさい」
とまで言ってくれ、何だかんだ言っても先生は優しいなぁと感心していると、最後に
「相談料は1時間55,000ギルから受け付けてるからな」
と、言いやがった! 1ギルが日本円で1円になるから、1時間で55,000円! なんて教師だ。弁護士の相談料より随分と高いじゃねぇーか!! ボッタクリか? ホントにお前は教師なのか?
「冗談だ(笑)条件付きは本当だけどな」
「……………………」
その教師は顔をニコニコさせながら教壇へと戻った。
そして授業も終わり、次の授業でも教師はニコニコしながら上機嫌で僕に絡んでくる。
そんなに僕からの贈り物が嬉しかったのだろう。僕は自分と先生達の間で、より良い信頼関係を築けたことが良かったと思う。
◇
そうこうしているうちに放課後となった。
ルナール達にフォローとシン・ジャージを手渡す為に奴らのいる教室へと足を運んだ。
教室に着くと昨日のファンメンバーが揃っていた。昨日のこともあり、恐る恐る教室に入り、
「あ、あ、あのさぁ、シン・ジャージ出来上がったから持って来たよ」
と声を掛けたが、ファンメンバーは僕を見つけた瞬間。汚物を見るような蔑んだ目で僕を見ていた。
開口一番に口を開いたのは、ファンクラブ特別攻撃隊。通称『特攻隊』隊長のマリアだった。
「どうしたんですか? 草食動物代表のヘタレ・アレク様」
さすがは特攻隊隊長マリア。毒舌に些かの躊躇も見られない切れ味鋭い毒舌だった。
「シン・ジャージが出来たから持って来たんだけど……」
「ありがとうございます。こちらで預かりますね」
ルナールは席を立ち、僕の所まで近付いてお礼の言葉を言っていたが、ルナールの目がマジで笑っていない…… ガチギレじゃねえーか!
「では、頼まれていた品はこちらになります。どうぞお納め下さい」
僕はビクビクしながら収納魔法から圧縮袋に入ったシン・ジャージを取り出した。かなりの量のジャージなので、かさばると思い圧縮袋に入れ真空状態にした物を渡した。
ルナールが収納魔法を使えるとのことで、持ち運びには苦労しないようだ。
「とりあえず、出来上がった物を見てもらいたいんだけど……」
「……………………」
ファンメンバーの冷酷無比な目の中で、勇気を振り絞り声を掛けたが返事は無かった。仕方がないので、僕はシン・ジャージを一着だけ取り出して、その場にいたファンメンバーに見せた。
「あっ!? ちゃんとデザイン通りに作ってある!? 余計なことしてないみたいだよ」
ミレーユは僕を何だと思っているのか、失礼極まりないことを言いやがった。
「当然よ。私達が考えたデザインだもの。もしシンプルだとか可愛くないとか言って、手を加えていたら制裁するところだったわ」
無表情で語るメアリーが鬼に見える…… しかし、コイツに僕が考えていたことをズバリ言われ、コイツはエスパーかと疑いたくなってしまった。
「デモンドキル・フューエルもアレクが何かしてると言ってる」
『ドキッ!?』
クリスの一言に動揺する。
「何か隠してるみたいね。怒らないからお姉様に話してみて?」
フローラはお姉様オーラを全開に出しながら僕に詰め寄ってきた。
「あの~ ちょっとしたオプションを考えてみたんだが……」
収納魔法から天使の羽根と小悪魔の羽根を出して見せた。
「機動性と可愛らしさを出してみたんだ」
あの全開のお姉様オーラを出されては従うしかなかった。
「これのどこが機動性なのよ!」
メアリーは天使の羽根を指さして聞いてきた。
「一応、身体強化の魔法を掛けてあるから魔導具としても使えるよ」
「魔導具? どうして、そんな特殊能力を無駄なことに使うんですか?……」
ルナールはワナワナしながら聞いてきた。
このプリストの世界では魔導具は貴重な物なのだ。道具に魔法を付与し、魔導具が出来上がる。魔法制御が難しく、敢えて言うのならば生まれ持った魔法属性にも関係してくる。付与属性の魔法を持って生まれる者は超レア! つまりはチート持ちと言うことになるのだ。
「ピクニックって結構歩くだろ? その為に身体強化の魔導具にしたんだよ。通常の3倍は早く歩いても疲れないと思う。個人的な趣味もあると思うから、色は純白と黒のどちらも選べるようにしたよ。どうかな気に入ってくれた?」
「「「ジャージに羽根のぬいぐるみを付けるとか考えられねぇ!!」」」
僕の自信満々の言葉に即行でファンメンバーから総ツッコミを喰らってしまった……
授業中にもかかわらず、僕はどこでこんなに性格が歪んでしまったのか悩んでいると、教壇に立っていた教師が僕の所までやって来た。
「アレク君。元気が無さそうだね? 悩みがあるなら先生が特別に相談にのるよ。条件付きで(笑)」
さっき僕から人気キャラクターのプレミアムチケットの約束を取り付けたクズ教師…… 失礼、子供思いの教師が耳元で満面の笑みを浮かべながら囁いた。
「いえ、大丈夫です」
と答えると、子供思いの教師は、
「そうか、それは残念だ。何かあったらいつでも良いから先生に相談しなさい」
とまで言ってくれ、何だかんだ言っても先生は優しいなぁと感心していると、最後に
「相談料は1時間55,000ギルから受け付けてるからな」
と、言いやがった! 1ギルが日本円で1円になるから、1時間で55,000円! なんて教師だ。弁護士の相談料より随分と高いじゃねぇーか!! ボッタクリか? ホントにお前は教師なのか?
「冗談だ(笑)条件付きは本当だけどな」
「……………………」
その教師は顔をニコニコさせながら教壇へと戻った。
そして授業も終わり、次の授業でも教師はニコニコしながら上機嫌で僕に絡んでくる。
そんなに僕からの贈り物が嬉しかったのだろう。僕は自分と先生達の間で、より良い信頼関係を築けたことが良かったと思う。
◇
そうこうしているうちに放課後となった。
ルナール達にフォローとシン・ジャージを手渡す為に奴らのいる教室へと足を運んだ。
教室に着くと昨日のファンメンバーが揃っていた。昨日のこともあり、恐る恐る教室に入り、
「あ、あ、あのさぁ、シン・ジャージ出来上がったから持って来たよ」
と声を掛けたが、ファンメンバーは僕を見つけた瞬間。汚物を見るような蔑んだ目で僕を見ていた。
開口一番に口を開いたのは、ファンクラブ特別攻撃隊。通称『特攻隊』隊長のマリアだった。
「どうしたんですか? 草食動物代表のヘタレ・アレク様」
さすがは特攻隊隊長マリア。毒舌に些かの躊躇も見られない切れ味鋭い毒舌だった。
「シン・ジャージが出来たから持って来たんだけど……」
「ありがとうございます。こちらで預かりますね」
ルナールは席を立ち、僕の所まで近付いてお礼の言葉を言っていたが、ルナールの目がマジで笑っていない…… ガチギレじゃねえーか!
「では、頼まれていた品はこちらになります。どうぞお納め下さい」
僕はビクビクしながら収納魔法から圧縮袋に入ったシン・ジャージを取り出した。かなりの量のジャージなので、かさばると思い圧縮袋に入れ真空状態にした物を渡した。
ルナールが収納魔法を使えるとのことで、持ち運びには苦労しないようだ。
「とりあえず、出来上がった物を見てもらいたいんだけど……」
「……………………」
ファンメンバーの冷酷無比な目の中で、勇気を振り絞り声を掛けたが返事は無かった。仕方がないので、僕はシン・ジャージを一着だけ取り出して、その場にいたファンメンバーに見せた。
「あっ!? ちゃんとデザイン通りに作ってある!? 余計なことしてないみたいだよ」
ミレーユは僕を何だと思っているのか、失礼極まりないことを言いやがった。
「当然よ。私達が考えたデザインだもの。もしシンプルだとか可愛くないとか言って、手を加えていたら制裁するところだったわ」
無表情で語るメアリーが鬼に見える…… しかし、コイツに僕が考えていたことをズバリ言われ、コイツはエスパーかと疑いたくなってしまった。
「デモンドキル・フューエルもアレクが何かしてると言ってる」
『ドキッ!?』
クリスの一言に動揺する。
「何か隠してるみたいね。怒らないからお姉様に話してみて?」
フローラはお姉様オーラを全開に出しながら僕に詰め寄ってきた。
「あの~ ちょっとしたオプションを考えてみたんだが……」
収納魔法から天使の羽根と小悪魔の羽根を出して見せた。
「機動性と可愛らしさを出してみたんだ」
あの全開のお姉様オーラを出されては従うしかなかった。
「これのどこが機動性なのよ!」
メアリーは天使の羽根を指さして聞いてきた。
「一応、身体強化の魔法を掛けてあるから魔導具としても使えるよ」
「魔導具? どうして、そんな特殊能力を無駄なことに使うんですか?……」
ルナールはワナワナしながら聞いてきた。
このプリストの世界では魔導具は貴重な物なのだ。道具に魔法を付与し、魔導具が出来上がる。魔法制御が難しく、敢えて言うのならば生まれ持った魔法属性にも関係してくる。付与属性の魔法を持って生まれる者は超レア! つまりはチート持ちと言うことになるのだ。
「ピクニックって結構歩くだろ? その為に身体強化の魔導具にしたんだよ。通常の3倍は早く歩いても疲れないと思う。個人的な趣味もあると思うから、色は純白と黒のどちらも選べるようにしたよ。どうかな気に入ってくれた?」
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僕の自信満々の言葉に即行でファンメンバーから総ツッコミを喰らってしまった……
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