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第79話 最悪な事態
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僕が恐る恐る後ろを振り返ると仁王門立ちしたユリアラ王女と目が合ってしまった。
「ユリアラ様! 今のあなたにアレク様を幸せにする事出来ない! 私ならアレク様を幸せにしてあげられる」
マリアはユリアラ王女に食ってかかった。
「……………………」
ユリアラ王女はマリアを無言で無視をしていた。
彼女の態度にブチギレしたのはマリアだけではなかった。ルナールをはじめ、フローラ、クリス、ミレーユも今にもユリアラ王女に食ってかかろうとした。メアリーだけは冷静に彼女達の暴走を眺めていた。
ユリアラ王女は僕の目の前に立ち、その瞬間
『パチンッ!』
――⁉ 僕はユリアラ王女から左頬を平手打ちをされていた。俗にいう、『修羅場ビンタ』である。しかも、ユリアラ王女自ら右肩から右肘と右手首、指先にまでスナップを利かせるという破壊力を追求し、追求つくされた渾身のビンタだった。
「「「――!?」」」
その場にいた者、全てが唖然としていた。そういう僕も今、何が起こっているのか脳が混乱している。
僕は左頬を押さえながら、
「えっ!? なに? どうして?」
と、呟くだけが精一杯だった。
「みなさん方の話を聞き、アレク王太子が婚約者の私を差し置いて、浮気していたと判断しました。これをもって、アレク王太子との婚約を破棄とさせていただきます! もう一度言います。アレク王太子とは婚約破棄と致します。それでは、私はケーリンネガー王国へ帰らせていただきます! あっ、もう一言だけ…… アレク王太子様ざまぁ…… では、みなさんごきげんよう」
ユリアラ王女はスカートを両手でつまみ上げ、お辞儀をした。カーテシーである。
彼女の顔は冷たい目をしていたが、口元だけは少し上がっていた。美人特有の『ニヤリ』である。
そして、彼女はカーテシーを終えると即座に食堂をあとにした。
本当にその場の空気はミレーユより放たれたの水素爆弾より威力が強力だった……
僕は『婚約破棄』の言葉に頭が理解出来ず、膝からヘナヘナと崩れ落ち、『ペタン』と床に座った。
ユリアラ王女を追いかけたかったが、足がプルプルと震えて動かない。事が事だったために声も出ない……
――情けない…… 本当に情けない…… 身体が言うことを利かない…… 今まで僕は何をやっていたんだ…… 悔しい…… 情けない…… ガチ泣きしてしまいそうだ……
「「「アレク様!!」」」
ルナール、マリア、フローラ、クリス、メアリー、ミレーユ達が僕の傍へやって来た。
「何なのよ。あの女。アレク様に辛く当たっておいて、あの態度」
マリアはブチギレて言葉使いがおかしくなっていた。
「いくら隣国の王女でもやって良いことと悪いこともわからないの!」
ルナールも自分の立場を忘れて憤慨しているようだった。
「アレクは悪くない。あの女の方がキチ○イ」
あのクリスが放送禁止用語まで持ち出して、僕を擁護してくれた。
「アレク様、あの女の事は忘れて私達と遊びましょ」
ミレーユもこの場に相応しくない言葉だったが、それなりの事は考えていると信じたい。
「お姉様が慰めてあげるから、何でも言ってちょうだい」
フローラお姉様は出来の悪い弟を慰めるように気を遣っていた。
「ユリアラ王女様の最後の言葉のざまぁが気になるわね。アレク様、次の手を考えた方が良いかも知れないわ」
さすが、軍師メアリーはユリアラ王女の言動を注意深く観察しているようだった。
「……………………」
僕はみんなの言葉に僕の言葉で返さなきゃいけないのに、言葉を発する事が出来なかった。
「アレク! 俺達は何をすれば良い? 指示を出してくれ!」
サンペータ達も僕の傍にやって来た。
「――すまない…… 誰でも良い、ち、父上に、この事を報告してくれ……」
「わかった。陛下の所へは俺が報告に行ってくる。お前は少し休んでろ」
サンペータは勢いよく食堂から出て行った。
「俺はユリアラ王女様のあとを追ってみる」
ルブランとドールはユリアラ王女を追って、食堂を出て行った。
「アレク、俺の肩に掴まれ。一度、部屋に戻るぞ」
「ああ、悪い…… 助かるよ」
マリックから肩を借りて、やっと立ち上がる事が出来た。
「ユリアラ様! 今のあなたにアレク様を幸せにする事出来ない! 私ならアレク様を幸せにしてあげられる」
マリアはユリアラ王女に食ってかかった。
「……………………」
ユリアラ王女はマリアを無言で無視をしていた。
彼女の態度にブチギレしたのはマリアだけではなかった。ルナールをはじめ、フローラ、クリス、ミレーユも今にもユリアラ王女に食ってかかろうとした。メアリーだけは冷静に彼女達の暴走を眺めていた。
ユリアラ王女は僕の目の前に立ち、その瞬間
『パチンッ!』
――⁉ 僕はユリアラ王女から左頬を平手打ちをされていた。俗にいう、『修羅場ビンタ』である。しかも、ユリアラ王女自ら右肩から右肘と右手首、指先にまでスナップを利かせるという破壊力を追求し、追求つくされた渾身のビンタだった。
「「「――!?」」」
その場にいた者、全てが唖然としていた。そういう僕も今、何が起こっているのか脳が混乱している。
僕は左頬を押さえながら、
「えっ!? なに? どうして?」
と、呟くだけが精一杯だった。
「みなさん方の話を聞き、アレク王太子が婚約者の私を差し置いて、浮気していたと判断しました。これをもって、アレク王太子との婚約を破棄とさせていただきます! もう一度言います。アレク王太子とは婚約破棄と致します。それでは、私はケーリンネガー王国へ帰らせていただきます! あっ、もう一言だけ…… アレク王太子様ざまぁ…… では、みなさんごきげんよう」
ユリアラ王女はスカートを両手でつまみ上げ、お辞儀をした。カーテシーである。
彼女の顔は冷たい目をしていたが、口元だけは少し上がっていた。美人特有の『ニヤリ』である。
そして、彼女はカーテシーを終えると即座に食堂をあとにした。
本当にその場の空気はミレーユより放たれたの水素爆弾より威力が強力だった……
僕は『婚約破棄』の言葉に頭が理解出来ず、膝からヘナヘナと崩れ落ち、『ペタン』と床に座った。
ユリアラ王女を追いかけたかったが、足がプルプルと震えて動かない。事が事だったために声も出ない……
――情けない…… 本当に情けない…… 身体が言うことを利かない…… 今まで僕は何をやっていたんだ…… 悔しい…… 情けない…… ガチ泣きしてしまいそうだ……
「「「アレク様!!」」」
ルナール、マリア、フローラ、クリス、メアリー、ミレーユ達が僕の傍へやって来た。
「何なのよ。あの女。アレク様に辛く当たっておいて、あの態度」
マリアはブチギレて言葉使いがおかしくなっていた。
「いくら隣国の王女でもやって良いことと悪いこともわからないの!」
ルナールも自分の立場を忘れて憤慨しているようだった。
「アレクは悪くない。あの女の方がキチ○イ」
あのクリスが放送禁止用語まで持ち出して、僕を擁護してくれた。
「アレク様、あの女の事は忘れて私達と遊びましょ」
ミレーユもこの場に相応しくない言葉だったが、それなりの事は考えていると信じたい。
「お姉様が慰めてあげるから、何でも言ってちょうだい」
フローラお姉様は出来の悪い弟を慰めるように気を遣っていた。
「ユリアラ王女様の最後の言葉のざまぁが気になるわね。アレク様、次の手を考えた方が良いかも知れないわ」
さすが、軍師メアリーはユリアラ王女の言動を注意深く観察しているようだった。
「……………………」
僕はみんなの言葉に僕の言葉で返さなきゃいけないのに、言葉を発する事が出来なかった。
「アレク! 俺達は何をすれば良い? 指示を出してくれ!」
サンペータ達も僕の傍にやって来た。
「――すまない…… 誰でも良い、ち、父上に、この事を報告してくれ……」
「わかった。陛下の所へは俺が報告に行ってくる。お前は少し休んでろ」
サンペータは勢いよく食堂から出て行った。
「俺はユリアラ王女様のあとを追ってみる」
ルブランとドールはユリアラ王女を追って、食堂を出て行った。
「アレク、俺の肩に掴まれ。一度、部屋に戻るぞ」
「ああ、悪い…… 助かるよ」
マリックから肩を借りて、やっと立ち上がる事が出来た。
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