ざまぁにはざまぁでお返し致します ~ラスボス王子はヒロインたちと悪役令嬢にざまぁしたいと思います~

陸奥 霧風

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第95話 秘匿兵器の威力

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敵主力軍8000人の重装備歩兵は数の暴力で我が第1軍に襲いかかる。

「ついに主力のお出ましだ! これからが本番だ! 気を抜くなよ。チェスト―!」

「「「チェストーー!!」」」

『『『ドォーーン!!!!』』』

密集した隊列にアームストロング砲の砲弾の雨が降り注ぐ、

『『『ドォガァァーーン! ドォガァァーーン!!』』』

木端微塵こっぱみじんに吹き飛ぶ敵軍に哀れな気持ちになるが、いくら砲撃の雨を降らせようが敵軍は足を止める事は無かった。

「アイツら退却しませんねぇ」

カルイ副司令官が、憐れみの目で呟いた。

「しょうがないよ。それがヤツらの騎士道なのだろう。こちらもその騎士道精神とやらに答えるとしよう。秘匿兵器を使用する。すぐに準備は出来るか?」

僕は彼らの心意気に感銘を受け、こちらも全力の半分を出すことにした。

「すぐに準備されます」

参謀がそう告げると後方にはいる、秘匿兵器部隊に『トランシバー』を使って連絡を取った。前世、現代日本に言い換えれば、トランシーバーのような物である。こちらの商品も僕の錬成魔法で作り上げた至高の一品である。

「○〆▲%□@#$¥◆」

「了解! 10分ほど時間を頂ければ砲撃出来るそうです」

「わかった。準備出来しだい教えてくれ!」

「了解しました!」

急遽ではあるが、砲兵には頑張ってもらおう。



「敵軍も凄いね?」

僕が敵軍の突貫ぶりに驚嘆していると、カルイ副司令官は、

「あれは異常ですよ。上層部が何も考えて無いのでは無いでしょうか…… 兵士を消耗品としか見てないかも知れませんね」

敵軍の兵士が可哀想になってしまう。しかし、ここで敵に同情して手を緩めるわけには行かない。

「「司令官! 秘匿兵器の準備が出来ました。いつでもどうぞ」

「準備出来たか。アームストロング110ポンド砲 打てっーー!!」


『『『ドォーーン!!!!』』』


海軍に採用されているアームストロング砲110ポンドを陸軍でも攻城戦に使おうと30門程持って来ていたが、まさか使用することになるとは…… 予想通りである。
予想出来たからこそ配備していたのだ。

『『『ドゥオォォガァァーーン!!』』』

着弾の瞬間、辺り一面は爆風と黒煙に包まれた。暫しの間、静寂な時間が流れた。

あの黒煙の下はどうなっているのだろうと敵兵の心配をしていたが、徐々に黒煙が晴れるにつれ、その全貌が明らかとなる。大地にクレーターが出来、大量に散らばった死骸。その中でも、あの爆風の中を生き残った重装備歩兵達がいた。その勇敢にも生き残った重装備歩兵達は恐れも知らず前進していたのである。

我が軍から自然に拍手と歓声が沸き上がった。

そりゃそうだろう。あの爆風と黒煙の中を生き残っただけではなく、退却するどころか逆に前進しているのである。あの勇敢なる兵士達を称賛しない馬鹿はいないだろう。もし、いたとしたら彼らの名誉ために僕はソイツを容赦なくブッ殺す。

アームストロング110ポンド砲は次の砲弾を装填するまで魔法を使っているとは言え、多少の時間が掛かる。それをカバーするのが秀逸の品……

フロンガスター王国、みんな大好き憧れの武器ベスト10。スナイドル銃、スペンサー銃、ガトリング砲の出番である。

主にスナイドル銃主体で攻撃し、接近戦では連射可能なスペンサー銃に切り替える。スナイドル銃とスペンサー銃との繋ぎにガトリング砲で敵兵を薙ぎ払う。

射手が敵兵に狙いを定める。対する敵兵はアームストロング砲の攻撃で壊滅状態となり、前進するだけのゾンビと化していた。


――トドメを刺してさしあげるのも鎌倉武士団の狂喜魂を受け継ぐ者(自称)としての優しさなのだ!


「司令官! 射程距離に入りました」

参謀が僕に告げる。

「もっと引き寄せてから攻撃だ。ここで退却でもされたら一網打尽に出来ない。もう少しの我慢だ」

それこれここで、主力部隊を全滅させないとあとが大変だ。ケーリンネガー軍の残りの兵力を考えたら一気にケリをつけたい……

「そろそろ攻撃しますか?」

「まだまだ……」

参謀はゆっくりと前進してくる敵兵に恐怖を覚えたのか、まだ射つのは早すぎる。

「そろそろ良いのでは……」

敵までの距離約100m。

「まだまだ、あともう少しだ。我慢しろ!」

慌てるな。もっともっと敵を引き付けるんだ! 二度とフロンガスター王国と戦いたくないと思うくらいに、恐怖トラウマを植え付けるんだ!
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