119 / 148
第119話 エリート営業マン
しおりを挟む
メアリーからの突拍子もない提案に戸惑っていると、
「正式な義妹とかじゃないけど、チャンスキー男爵が、今後クリスに手を出さないようにした方が良いかもしれないわよ」
「なるほど、メアリーもなんだかんだ言って、ちゃんとクリスの事を考えているんだな」
「何を言ってるのよ!? 私はそんなんじゃないから! このば~かぁ!」
メアリーは僕の言葉に耳を真っ赤にさせ、慌てた様子で否定していた。まさかのツンデレちゃんである。
「クリスの事は任せておいてくれ。すまないが、クリスのフォローを頼む」
「「「了解!」」」
――なんだろ、この人たち? こういう時だけ妙に息があってるんだよな?
「ところでアレク様、日本に帰れるって話なんですが」
クリスの話が終わり、ルナールが本題に戻ろうと話を変えてきた。
「そうだったね。話が途中になっちゃってごめんね。それじゃあ続きを説明するよ」
「はい。お願いします」
ルナールが返事をすると、ヒロインたちはコクコクと頭を上下に動かし、『何を勿体振っているんだよ。とっととは吐けやコリャー!』と言わんばかりの目で、僕を見ていた。
「――正直に言います。君達には死んでもらいます!」
「「「――!?」」」
僕の言葉にヒロインたちは、いつもの大きな瞳がさらに大きくなり、口をポカーンと開けていた。アゴでも外れたのだろうか。心配になってしまう。
「アレク様、私たち…… 死ぬの?」
ミレーユがワナワナさせながら口を開いた。
「うん、そうだよ」
僕はみんなを不安にさせないように、満面の笑みで答えて差し上げた。
「私たち…… もう一回、死ぬってこと?」
ルナールとマリアはお互いの顔を見合っていた。
「正確には、身体と魂を切り離して、魂を異世界に送る感じになるのかな? 今の身体のまま強制送還させたら日本に居た頃と姿形が全然違うと思うから色々と不便じゃない? 『あんた、誰? コスプレ? 顔まで整形したの? クッ殺ろ女騎士の転生か?』とかになっちゃうと後々面倒だしね。だから魂と身体を切り離す必要があるんだよ。あと安心してれ。魂の抜けた身体は僕が責任を持って、森の奥にある古井戸にちゃんと投げ捨てておくから。きっとくる~♪ きっとくる~♪とか歌いながら、1週間後に絶対死ぬ呪いをかけないでね」
「「「――!?」」」
ヒロインたちは一言も発することなく、顔を下に向けてしまった。
――!? しまった! 言い方をもう少しオブラートに包めば良かった。
「失礼。脱け殻になった死骸にはイタズラなんてしないから安心してくれってことを言いたかったんだ」
自分の失言をリカバリー出来るなんて、なんて出来た王子様なんでしょう。自分の能力の高さに惚れ惚れしてしまう。
「アレク様…… どうやって私たちを殺すの?」
ミレーユ・デストロイヤーが久しぶりに口を開いた。
「ミレーユ君。キミは良い質問をしてくれるね。どうやって殺すかってことだよね。キミたちの希望を聞いて、その通りにしようと考えているよ。ギロチン、絞首刑、火刑、水刑、拷問処刑等々何でも言ってよ。相談に乗るからさぁ」
ヒロインたちは青白い顔になり白目を向いていた。
「あと串刺し刑、八裂き刑、毒殺もあるからね。あっ、ごめん。皮剥ぎの刑も希望があれば何とかするよ。それと、当社はアフターサービスも万全を喫してるので大丈夫。処刑からお見送り、火葬、通夜、葬儀、お別れの会までしっかりと務めさせて頂きますので、安心して逝って下さい」
「「「……………………」」」
誰からも返事がない。どこかセールストークが不味かったのかな? いや、僕のセールストークは完璧なはず。もしかしたら逆に処刑方法がありすぎて選べないんじゃないのか? 少し情報量がすぎたからもしれない。反省。
「アレク様…… もう少し穏やかに逝ける方法は無いのでしょうか?」
フローラお姉様が唇を青くし、僕に質問をしてきた。これ以上の処刑を望むとは、ワガママが過ぎると思ったが、お客様の為に何でも要望を聞くのが、僕のエリート営業マンとしての矜持だ。しっかりとお客様の要望を聞こうじゃないか!
「お客様のご要望に沿ったご商品ですと……」
僕は暫し考え込んでから、
「お客様にあったご商品がございました! サクッと逝けるご商品。大好評、心臓麻痺のご紹介です!」
「「「――!? 心臓麻痺!? 大好評?」」」
「最初だけ『ウッ』と来るけど、あとは死を待つだけ! なんと素敵で、お手軽な商品なんでしょう!」
「イヤだ! なんか苦しそうでイヤ!」
マリアは心臓麻痺を拒絶をした。なんとワガママなお客様たちなんでしょう!(怒)
「正式な義妹とかじゃないけど、チャンスキー男爵が、今後クリスに手を出さないようにした方が良いかもしれないわよ」
「なるほど、メアリーもなんだかんだ言って、ちゃんとクリスの事を考えているんだな」
「何を言ってるのよ!? 私はそんなんじゃないから! このば~かぁ!」
メアリーは僕の言葉に耳を真っ赤にさせ、慌てた様子で否定していた。まさかのツンデレちゃんである。
「クリスの事は任せておいてくれ。すまないが、クリスのフォローを頼む」
「「「了解!」」」
――なんだろ、この人たち? こういう時だけ妙に息があってるんだよな?
「ところでアレク様、日本に帰れるって話なんですが」
クリスの話が終わり、ルナールが本題に戻ろうと話を変えてきた。
「そうだったね。話が途中になっちゃってごめんね。それじゃあ続きを説明するよ」
「はい。お願いします」
ルナールが返事をすると、ヒロインたちはコクコクと頭を上下に動かし、『何を勿体振っているんだよ。とっととは吐けやコリャー!』と言わんばかりの目で、僕を見ていた。
「――正直に言います。君達には死んでもらいます!」
「「「――!?」」」
僕の言葉にヒロインたちは、いつもの大きな瞳がさらに大きくなり、口をポカーンと開けていた。アゴでも外れたのだろうか。心配になってしまう。
「アレク様、私たち…… 死ぬの?」
ミレーユがワナワナさせながら口を開いた。
「うん、そうだよ」
僕はみんなを不安にさせないように、満面の笑みで答えて差し上げた。
「私たち…… もう一回、死ぬってこと?」
ルナールとマリアはお互いの顔を見合っていた。
「正確には、身体と魂を切り離して、魂を異世界に送る感じになるのかな? 今の身体のまま強制送還させたら日本に居た頃と姿形が全然違うと思うから色々と不便じゃない? 『あんた、誰? コスプレ? 顔まで整形したの? クッ殺ろ女騎士の転生か?』とかになっちゃうと後々面倒だしね。だから魂と身体を切り離す必要があるんだよ。あと安心してれ。魂の抜けた身体は僕が責任を持って、森の奥にある古井戸にちゃんと投げ捨てておくから。きっとくる~♪ きっとくる~♪とか歌いながら、1週間後に絶対死ぬ呪いをかけないでね」
「「「――!?」」」
ヒロインたちは一言も発することなく、顔を下に向けてしまった。
――!? しまった! 言い方をもう少しオブラートに包めば良かった。
「失礼。脱け殻になった死骸にはイタズラなんてしないから安心してくれってことを言いたかったんだ」
自分の失言をリカバリー出来るなんて、なんて出来た王子様なんでしょう。自分の能力の高さに惚れ惚れしてしまう。
「アレク様…… どうやって私たちを殺すの?」
ミレーユ・デストロイヤーが久しぶりに口を開いた。
「ミレーユ君。キミは良い質問をしてくれるね。どうやって殺すかってことだよね。キミたちの希望を聞いて、その通りにしようと考えているよ。ギロチン、絞首刑、火刑、水刑、拷問処刑等々何でも言ってよ。相談に乗るからさぁ」
ヒロインたちは青白い顔になり白目を向いていた。
「あと串刺し刑、八裂き刑、毒殺もあるからね。あっ、ごめん。皮剥ぎの刑も希望があれば何とかするよ。それと、当社はアフターサービスも万全を喫してるので大丈夫。処刑からお見送り、火葬、通夜、葬儀、お別れの会までしっかりと務めさせて頂きますので、安心して逝って下さい」
「「「……………………」」」
誰からも返事がない。どこかセールストークが不味かったのかな? いや、僕のセールストークは完璧なはず。もしかしたら逆に処刑方法がありすぎて選べないんじゃないのか? 少し情報量がすぎたからもしれない。反省。
「アレク様…… もう少し穏やかに逝ける方法は無いのでしょうか?」
フローラお姉様が唇を青くし、僕に質問をしてきた。これ以上の処刑を望むとは、ワガママが過ぎると思ったが、お客様の為に何でも要望を聞くのが、僕のエリート営業マンとしての矜持だ。しっかりとお客様の要望を聞こうじゃないか!
「お客様のご要望に沿ったご商品ですと……」
僕は暫し考え込んでから、
「お客様にあったご商品がございました! サクッと逝けるご商品。大好評、心臓麻痺のご紹介です!」
「「「――!? 心臓麻痺!? 大好評?」」」
「最初だけ『ウッ』と来るけど、あとは死を待つだけ! なんと素敵で、お手軽な商品なんでしょう!」
「イヤだ! なんか苦しそうでイヤ!」
マリアは心臓麻痺を拒絶をした。なんとワガママなお客様たちなんでしょう!(怒)
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?
ラララキヲ
ファンタジー
わたくしは出来損ない。
誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。
それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。
水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。
そんなわたくしでも期待されている事がある。
それは『子を生むこと』。
血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……
政略結婚で決められた婚約者。
そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。
婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……
しかし……──
そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。
前世の記憶、前世の知識……
わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……
水魔法しか使えない出来損ない……
でも水は使える……
水……水分……液体…………
あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?
そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──
【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】
【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】
【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!
MEIKO
ファンタジー
最近まで死の病に冒されていたランドン伯爵家令嬢のアリシア。十六歳になったのを機に、胸をときめかせながら帝都学園にやって来た。「病も克服したし、今日からドキドキワクワクの学園生活が始まるんだわ!」そう思いながら一歩踏み入れた瞬間浮かれ過ぎてコケた。その時、突然奇妙な記憶が呼び醒まされる。見たこともない子爵家の令嬢ルーシーが、学園に通う見目麗しい男性達との恋模様を繰り広げる乙女ゲームの場面が、次から次へと思い浮かぶ。この記憶って、もしかして前世?かつての自分は、日本人の女子高生だったことを思い出す。そして目の前で転んでしまった私を心配そうに見つめる美しい令嬢キャロラインは、断罪される側の人間なのだと気付く…。「こんな見た目も心も綺麗な方が、そんな目に遭っていいいわけ!?」おまけに婚約者までもがヒロインに懸想していて、自分に見向きもしない。そう愕然としたアリシアは、自らキャロライン嬢の取り巻きAとなり、断罪を阻止し婚約者の目を覚まさせようと暗躍することを決める。ヒロインのヤロウ…赦すまじ!
笑って泣けるコメディです。この作品のアイデアが浮かんだ時、男女の恋愛以外には考えられず、BLじゃない物語は初挑戦です。貴族的表現を取り入れていますが、あくまで違う世界です。おかしいところもあるかと思いますが、ご了承下さいね。
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる