ざまぁにはざまぁでお返し致します ~ラスボス王子はヒロインたちと悪役令嬢にざまぁしたいと思います~

陸奥 霧風

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第120話 注文の多いお客様

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僕が自信をもって紹介する商品に次々とブーたれるヒロインたちにイラつき始めた時、ミレーユが

「アレク様。死神と言われた黒いお医者様みたいに安楽死とか出来ないんですか? もしかして、安楽死させたくても出来ないんですよね? アレク様ともあろうお方が、安楽死を出来ないなんて…… なんと嘆かわしいことだわ」


――な、な、なに!? 僕にあの伝説の医療漫画の条件さえ満たせば安楽死を請負う。死神に呼ばれた白いお医者様にでもなれとでもいうのか?


ミレーユの煽りに対抗すべく、新たな商品を提供する。

「ミレーユ様。あなた様は私の力を見くびっておいでのようですね。では、私から最後に提供させていただきます。ご商品は……」 


『『『ゴクリ』』』

下品にもヒロイン達が唾を飲み込む音が辺りに響く。

「ジャン! 『寝てる間にポックリポックル』!」

「何ですか、その『寝てる間にポックリポックル』というのは?」

フローラお姉様が僕のセールストークに乗ってきた。

「まず、寝てる間にポックリポックルというのは。その言葉の通り、眠っている間に脊髄に微弱な電撃魔法を流し、徐々に心臓の機能を停止させる。気が付いた時は…… ハイッ! 天国でした! というご商品です! 苦痛も恐怖もございません。夢心地のまま、ってらっしゃいです! ハイ!」


「――なんか寝るのが怖いわね」

メアリーがボソリと呟いた。

「そ、そうね。そう言われるとメアリーの言う通りだわ」

ルナールがメアリーの波に乗っかる。


――なんて営業マン泣かせの事しか言わないのだ! よし! 最後の手段だ。


「お客様、ご安心下さい。眠る恐怖を一切感じませんよう。当店オリジナルの魔法で強制的に眠らせていただきます。普段であれば、料金が発生するところですが、今回はお客様が2度目のご体験他界と言うことで、こちらはサービスとさせていただきます。これでどうでしょうか? お買得感は満足して頂けると思うのですが?」

こちらのカードは全部晒した。あとはヒロインたちが判断する番だ。

「ルナール、私はこれで良いかと思うけど」

マリアがルナールに耳打ちをしていた。

「うん、私もこれで良いかと。フローラさんはどうかしら?」

ルナールはフローラお姉様に話を振った。

「そうね。私も異存はないわ」

「ミレーユさんはどうかしら?」

次にルナールはミレーユに声を掛けた。

「担当さん。もう少しサービス出来ないのかしら?」

「――!? もう少しですか? わかりました。では、お眠りの際にお使いになれるアロマをサービスさせていただくのはどうでしょうか?  こちらの商品は安眠確定を謳いうた文句に売り出し中の我が社自信作の商品となっております。但し、お客様のご不満によるクーリング・オフは出来かねます。それだけ、お客様にはご満足いただけるとの自信の表れです。こちらの商品で如何でしょうか?」

「それで良いわ。店長さんありがとうね」

ミレーユ・デストロイヤーもご満足いただけたようだ。

「とりあえず、今のところは4名でお願いします」

ルナールがそう言うと、僕は難しい商談から解き放たれ晴れやかな気持ちで答える。

「お客様。お買い上げありがとうございます」

深々とお辞儀をした。

「ところで担当さん。納品はいつ頃になりそうかしら?」

「ハイ、私も究極魔法を使用したばかりですので、この銀髪が金髪に戻った頃とお考え下さい」

「具体的にはいつ頃になりそうなのかしら」

ルナールもノリノリでノッて来た。

「そうですね~ あと半年程はお時間を頂きたいかと。その頃ですと、ちょうど卒業を迎えた時期かと……」

僕はちょっと申し訳なさそうに話した。

「そうですの? それでは仕方がないですわね。卒業式までのお楽しみと言うことにしておきましょう」

ルナールは上品な振る舞いで了承してくれた。


「あれ? 担当さん。その髪が戻ったらと言いましたけど、髪に魔力でもあるのかしら? もし髪に魔力があるのでしたら、ハゲたら究極魔法は使えないってことになるのかしら?」


――やはり、最後はコイツが来たか。ミレーユ・デストロイヤー! 良い雰囲気をぶち壊すクラッシャーめ!


「お客様(怒)! 髪には魔力はありません。私自身の身体に魔力が戻った時に、髪の色が元に戻るのです。ですからても究極魔法は使えますのでご安心下さい」

「あらっそ~ それは本当に残念ね」

ミレーユは何故か本当に残念そう顔で『残念』と言いやがった。本当に何が残念なんだよ!
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