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第37話 喰いつくす!
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壮大な国王の野望を聞き恐れおののいた。マジでコイツらはウシさんを指定絶滅危惧種にするつもりだ。
「父上! 牛の乱獲は絶滅を意味します。お考え下さい!」
「――!? 何で? 牛をたくさん食べちゃダメなの? おかわりはするなってこと? そんなの酷すぎるわ! ウワーーーーンッ」
僕が牛の絶滅計画中止を訴えたら母上が小さな子供がオモチャでも取られたかのようにギャン泣きし始めてしまった。
「アレク、母親を泣かせるとはなんと親不孝者なのだ! 我が息子と思えぬ所業…… 正真正銘のゲスヤロウ……」
父上は母親を泣かせてしまった僕をゲスい言葉で非難をした。
「い、いや、そんなつもりで発言したわけでは……」
僕は自分自身の保身に躍起になった。
「じゃあ、アレクは母たる私にカルビィを喰わせたくないとでも言うの」
「ち、違います…… あまり牛を食べてしまうと牛が絶滅して食べられなくなりますよ。と言いたかっただけです」
「それは困る…… じゃあ、どうすれば良いのだ? 何か策はあるのか?」
父上はやっと僕の話を聞いてくれるようだ。
「国営で大規模な牧場を作りましょう。牛や豚、鶏とか飼育して安定した供出が出来ればいつでも肉、玉子、牛乳とか思う存分食べれると思いますが」
「わかった。それで従業員はどうするのだ?」
「失業者とニートを牧場で働かせましょう。そして、自宅警備員を撲滅するのです」
僕は雇用拡充を力強く提案した。
「アレク、それは可能なのか? どうやってニートを部屋から出すんだ。実の親でも無理だと言うのに……」
父上は心配そうに僕をみていた。
「法律を作ります。ニート禁止法です。この法に触れた者は近衛騎士師団が強制的に逮捕拘束します。そして、即裁判。弁護士無し、上告無し、即判決。非公開の裁判になると考えています」
僕は胸を張って堂々と答える。
「そ、それで刑罰はどうなる?」
父上は顔を青白くしながら聞いてきた。
「牧場での強制労働です。勿論、法を犯した犯罪者ですから給金も出ませんし、休みもありません」
「それは酷くないか……」
「それは仕方がありません。法を犯さなければ良いのです。自ら働こうとする者は週に二日の休みと国からある一定の給金を出します。そして、ソイツらの給金から少額ですが税金を巻き上げるのです。安定した肉の供出、財源の確保、牧場経営と観光地化などの経済効果が見込まれます。特にニートに至っては給金も払わなくて良い。素晴らしいと思いませんか父上!」
言い切った充実感で僕は自分に酔いしれていた。
「お、お前は本当に私達の息子なのか? こんなに歪んだ性格になるとは…… 私達の教育が間違っていたのか……」
父上はワナワナと震えていた。
「えっ?」
僕は父上の言葉に驚いた。
「アレク! どうしちゃったの? ニートにだって人権があるのよ。自宅警備員に何か恨みでもあるの? 母に言ってごらんなさい」
母上はキョトンとした顔で僕を覗き込んだ。
「ニートに人権だって? 人が汗水働いているのに自宅警備員…… 羨ましい…… い、いや駄目でしょう! そりゃあ、僕だって自宅警備員として働きたいですよ。ええマジで就職第一希望ですよ。僕だって自宅警備員になれるものならなりたいですよ!! それでも働かないと世の中は回って行きません。誰かが働いてくれているからこそ僕も生活が出来ているんだと感じるのです」
「あら、アレクも自宅警備員に憧れていたのね」
母上は僕の話をうなずきながら聞いてくれた。
「そりゃあ、もう僕だって憧れますよ」
僕は肯定してみせたが、僕が自宅警備員になったら、王太子としての責務、未来の国王として国民の生活を護る義務を放棄してしまう事を意味している。
「私も憧れているわよ。でもね、私がそうなったらみんなが困るから出来ないのよね」
「母上もそうだったんですね?」
「国民一人ひとりの幸せが両肩にのし掛かって来るのよ。逃げたくなる時もあるけど、王妃になることを選んだのは私だからね」
「そうですね。母上ありがとうございます」
母上の話がよくわからんかったが、ついお礼を言ってしまった。
「アレクももう少しニートに優しくなるようにな。まあ、アレクの言う事も一理あるからな。強制労働の件は了承した。しかし、その労働に似合った給金は支払う。それで良いな?」
「はい、わかりました」
さすが父上! ニートにまで温情をお掛けになるとは、父上のニートに対する優しさが身に染みる。
「さあ、話も終わった事だし、残りのカルビィを食べよう」
そう言って、父上達はカルビィを食べ始めた。結局、父上は六人前、母上は驚異の八人前を喰い尽くした。
「父上! 牛の乱獲は絶滅を意味します。お考え下さい!」
「――!? 何で? 牛をたくさん食べちゃダメなの? おかわりはするなってこと? そんなの酷すぎるわ! ウワーーーーンッ」
僕が牛の絶滅計画中止を訴えたら母上が小さな子供がオモチャでも取られたかのようにギャン泣きし始めてしまった。
「アレク、母親を泣かせるとはなんと親不孝者なのだ! 我が息子と思えぬ所業…… 正真正銘のゲスヤロウ……」
父上は母親を泣かせてしまった僕をゲスい言葉で非難をした。
「い、いや、そんなつもりで発言したわけでは……」
僕は自分自身の保身に躍起になった。
「じゃあ、アレクは母たる私にカルビィを喰わせたくないとでも言うの」
「ち、違います…… あまり牛を食べてしまうと牛が絶滅して食べられなくなりますよ。と言いたかっただけです」
「それは困る…… じゃあ、どうすれば良いのだ? 何か策はあるのか?」
父上はやっと僕の話を聞いてくれるようだ。
「国営で大規模な牧場を作りましょう。牛や豚、鶏とか飼育して安定した供出が出来ればいつでも肉、玉子、牛乳とか思う存分食べれると思いますが」
「わかった。それで従業員はどうするのだ?」
「失業者とニートを牧場で働かせましょう。そして、自宅警備員を撲滅するのです」
僕は雇用拡充を力強く提案した。
「アレク、それは可能なのか? どうやってニートを部屋から出すんだ。実の親でも無理だと言うのに……」
父上は心配そうに僕をみていた。
「法律を作ります。ニート禁止法です。この法に触れた者は近衛騎士師団が強制的に逮捕拘束します。そして、即裁判。弁護士無し、上告無し、即判決。非公開の裁判になると考えています」
僕は胸を張って堂々と答える。
「そ、それで刑罰はどうなる?」
父上は顔を青白くしながら聞いてきた。
「牧場での強制労働です。勿論、法を犯した犯罪者ですから給金も出ませんし、休みもありません」
「それは酷くないか……」
「それは仕方がありません。法を犯さなければ良いのです。自ら働こうとする者は週に二日の休みと国からある一定の給金を出します。そして、ソイツらの給金から少額ですが税金を巻き上げるのです。安定した肉の供出、財源の確保、牧場経営と観光地化などの経済効果が見込まれます。特にニートに至っては給金も払わなくて良い。素晴らしいと思いませんか父上!」
言い切った充実感で僕は自分に酔いしれていた。
「お、お前は本当に私達の息子なのか? こんなに歪んだ性格になるとは…… 私達の教育が間違っていたのか……」
父上はワナワナと震えていた。
「えっ?」
僕は父上の言葉に驚いた。
「アレク! どうしちゃったの? ニートにだって人権があるのよ。自宅警備員に何か恨みでもあるの? 母に言ってごらんなさい」
母上はキョトンとした顔で僕を覗き込んだ。
「ニートに人権だって? 人が汗水働いているのに自宅警備員…… 羨ましい…… い、いや駄目でしょう! そりゃあ、僕だって自宅警備員として働きたいですよ。ええマジで就職第一希望ですよ。僕だって自宅警備員になれるものならなりたいですよ!! それでも働かないと世の中は回って行きません。誰かが働いてくれているからこそ僕も生活が出来ているんだと感じるのです」
「あら、アレクも自宅警備員に憧れていたのね」
母上は僕の話をうなずきながら聞いてくれた。
「そりゃあ、もう僕だって憧れますよ」
僕は肯定してみせたが、僕が自宅警備員になったら、王太子としての責務、未来の国王として国民の生活を護る義務を放棄してしまう事を意味している。
「私も憧れているわよ。でもね、私がそうなったらみんなが困るから出来ないのよね」
「母上もそうだったんですね?」
「国民一人ひとりの幸せが両肩にのし掛かって来るのよ。逃げたくなる時もあるけど、王妃になることを選んだのは私だからね」
「そうですね。母上ありがとうございます」
母上の話がよくわからんかったが、ついお礼を言ってしまった。
「アレクももう少しニートに優しくなるようにな。まあ、アレクの言う事も一理あるからな。強制労働の件は了承した。しかし、その労働に似合った給金は支払う。それで良いな?」
「はい、わかりました」
さすが父上! ニートにまで温情をお掛けになるとは、父上のニートに対する優しさが身に染みる。
「さあ、話も終わった事だし、残りのカルビィを食べよう」
そう言って、父上達はカルビィを食べ始めた。結局、父上は六人前、母上は驚異の八人前を喰い尽くした。
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