学年一の不良が図書館で勉強してた。

山法師

文字の大きさ
47 / 134

47 自己採点と

しおりを挟む
 涼に、小声で「アレは歌わねえぞ」と言われ、頷いた。分かってますって。
 そして、まだお腹の空いているらしい涼に注文を任せ、みんなで歌う。で、涼も歌う。
 マリアちゃんも桜ちゃんも、その上手さと点数に驚いていた。私も驚いたし、涼も驚いていた。
 だって、96点て。
 点数表示をしようと言ったのは私だけど、これほどとは。

「橋本ちゃん、上手いじゃん……」

 呆気にとられた感じの、桜ちゃんの言葉に、

「……こんなにとは、思わなかった」

 涼も驚いたまま、答えた。
 そこから、もう2周して。解散。

「……なんか、今更に疲れが来たな……試験の……」
「そんなもんです」

 電車の座席に座り、手を繋いだまま喋る。

「これからゆっくり休んで、それから自己採点したほうが、心の準備は出来ますよ」
「自己採点……」

 ぎゅう、と、握られる。

「一緒にします? ウチは大丈夫ですけど。涼の家のほうが良いなら、そっちでも」
「家、人、居るか?」
「祖父母のどちらかは居るかと。どちらかはマシュマロと散歩ですね」
「……なら、こっちで良いか」

 俯きがちに言われる。怖いのかな、テストを誰かに見られる可能性があるのが。

「はい。大丈夫ですよ。あ、大丈夫だよ」
「……ありがとう」

 で、涼の家の、涼の部屋に。

「あとで何か持ってくる。先に自己採点したい」

 と、言うので、分かりましたと、問題用紙を出した。
 そこから、自己採点をしてみての、結果。
 私のほうは、目標に入っているのではないか、と。

「………………」

 その横で、涼が、難しい顔をしている。

「……どうでしたか?」
「……や、……俺が採点したからかな……見てくれないか」

 渡されたものを、見る。全てに目を通して──

「……涼」
「……おう……」
「出来ていると、私は思います。それに全部、赤点を回避してる可能性がありますよ!」

 全部、全部だ! 自己採点だけど、でも、全部!

「マジか」
「マジです。涼、抱きしめても良いですか?」
「お? お、おう」

 私は涼に抱きついた。そしてぎゅうっと抱きしめる。

「大丈夫です。涼は全力で取り組みましたから。あとは、果報は寝て待てですよ」
「……そっか」

 涼からも、抱きしめてくれた。

「光海、ありがとう」
「涼が頑張ったんですが……こちらこそ」

 そのまましばらく、抱きしめ合っていた。

「それにするのか?」
「はい」

 カメリアにて、涼と一緒に、商品を選んでいる。
 私はパンナコッタ、涼はアップルパイ。
 会計を済ませ、それを持って、家のキッチンへ。紅茶を2つ用意して、全てを持って涼の部屋へ。

「じゃ……いいか?」
「はい」

 まだ少し緊張している涼へ、笑顔で。

「……。……いただきます」
「いただきます」

 で、パンナコッタを食べる。

「ん、美味しい」

 美味しーなー美味しー。滑らかで、爽やかだけど、深みとコクがあって。と、ぱくついて、すぐに食べ終わってしまった。コクコクと、紅茶を飲む。はあ、温かい。

「ごちそう様でした」

 紅茶を置き、ふぅ、と、息を吐く。隣を見れば、涼はまだ少し、食べていた。
 どうしよっかな。

「涼」
「ん」
「これからどうします? フランス語で話します? ゆっくりします?」

 テスト結果が分かるのは、来週の月曜だ。

「……一回、ゆっくりしたい」
「わかりま、分かった」
「ん゛ん゛っ」

 紅茶を飲んだ時に言い直したからか、涼はくぐもった声を上げた。
 紅茶を飲み終わった涼は、私に顔を向け、

「(……私はあなたが大好きです)」
「……すごいですね。まだ、それ、ちゃんと教えていないのに」
「うるせぇ」
「(あなたと居ると幸せです)これは、日常的に使われる、愛の言葉だそうですよ」
「……おっまえぇ……!」

 涼は、顔をしかめて、

「この、可愛い、この、バカ、この……!」
「涼も可愛いです」
「言ったなこのヤロウ。……するぞ」
「へ、あ、わ、あの、う、……」

 膝の上に乗せられて、頭を固定されて、唇を、ふにふにされる。

「ひょ、ひょう」
「あんだよ」
ほふえんわ、おほおひあふ突然は、驚きます
「するぞっつった」
「ふぇぇ……」

 ふにふにされて、なぞられて、抓まれて、そのまま軽く引っ張られる。
 あれから、時々されていたけど。動きが、どんどん、多彩になっていくんだこれが。
 あう、く、悔しい。悔しいぞ。この、

「?!」

 涼のほっぺを抓んだら、驚いた顔をされた。やーい。
 そのまま軽く引っ張って、両手で挟んで、こねていたら。

「……おい」

 唇から手が離れて、その手が、私の頬を撫でる。

「その気になるぞ」

 顔を寄せて、言われる。

「いいのか?」

 まっすぐ見つめられ、少しずつ近づいてくる顔から、目が、離せなくて。

「なら」

 吐息がかかる。甘いリンゴの香りと、ダージリンの香り。

「するからな」

 柔らかい、ものが、唇に触れて。
 少し押し付けられて、離れた。

「で、どうだ。嫌か」

 さっきよりは遠いけど、まだ近い、赤い顔が、私を睨んでいて。

「……ズルい」
「は?」
「なんか、ズルいです。そんな顔して言われて、嫌だなんて言えません。……嫌でも、なかったですし」
「なら、もう一回、する」
「え、んむっ」

 唇を塞がれて、まっすぐに見つめられて。

「……」

 目が、離せなくて。彷徨いそうになるんだけど、離せなくて。
 フ、て、顔だけで笑われたのが分かった。

「……可愛いな、お前は」

 唇が離れて、顔が離れて、頬に触れていた手で髪を梳かれながら、微笑まれながら、言われる。

「……浮かれてますか?」

 むくれながら言う。

「浮かれてる」
「むう……」
「……(あなタとイるとシアワせです)……また言えるようになったら言うよ」
「充分通じますぅ」
「ちゃんと言いたいから、光海に」
「倒置法ぅ」
「言い直せば良いのか?」
「違いますぅ」
「その言い方も可愛いな」
「んむぅ……」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

家から出ない女優の幼馴染を連れ出したら、いつの間にか伝説になっていた件。

Memu(メム)
恋愛
学校に行かない引きこもりの国民的女優――水宮小鞠。 女の子に間違われる地味男子――白雲凪。 俺に与えられた役目はひとつ。 彼女を、学校へ連れて行くこと。 騒動になれば退学。 体育祭までに通わせられなくても退学。 成功率ほぼゼロの無理ゲーだ。 距離は近い。 でも、心は遠い。 甘えてくるくせに、本音は隠す幼馴染。 それでも―― 俺は彼女の手を引く。 退学リミット付き登校ミッションから始まる、 国民的スター幼馴染とのドタバタ青春ラブコメ、ここに開幕。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...