女子にモテる極上のイケメンな幼馴染(男)は、ずっと俺に片思いしてたらしいです。

山法師

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33 煽んな ※

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「あっ、けぇ、すけっ、ぁっ、やば、もぅ……!」

 緩く与えられ続ける快感に耐えかねた奏夜は、必死に訴えた。

「……やめたほうがいい?」

 慎重に問いかけてくる圭介の、自分の中にある指の動きが止まりかけたのを感じ取った奏夜の首が、ぶんぶんと横に振られる。

「ちがっ、うぅっ……! もっ、すごくっ、気持ち、いぃ、からっ! 早っく、挿れろっ……て言ってる!」

 ベッドに背中を預けている自分の足の間にいる圭介へ、奏夜は叫ぶように言い、ギッ! と睨みつけてやる気分で、灰色がかった黒い瞳を向けた。

「煽んなって言ったよな? それに、まだ指、三本目挿れたばっかだから、ダメ」

 窘めるように言う圭介は、けれど、眉間にしわを寄せていて、怒る、というより、堪えると言ったほうが正しい気がする表情をしていた。

(お前だって挿れたいんだろが!)

 そんなことを言いたくなった奏夜だが、また、中で動き出した圭介の指によって、身をよじらせて喘ぐ羽目になる。
 前と違って、嫌味に思えるほど丁寧な動きをする指は、奏夜の尻穴をゆっくりと解し続ける。
 前に知った『気持ちいい場所』を掠めるように刺激される度、奏夜の理性は溶けていく。

「あっ、もっと……けぇすけぇ……もっとぉ……」

 気持ちいいの、もっと、欲しい。
 平常時なら言わないことが、蕩けた声となって口から漏れる。

「……あぁーもう……煽んなって言ってんのに……」

 苛立っている様子の圭介に、もとはと言えばお前のせいだろ、と言いたくなった奏夜だった。

 ◇

 圭介のあとに続いてシャワーを終え、まだ慣れない『そういうこと』への覚悟のようなものを胸に寝室へ向かった奏夜に、間接照明とカーテン越しの薄明かりの中、圭介はこう言った。

「そーちゃんに負担かけたくないからさ。俺、頑張るよ」

 なるべく優しくする、そーちゃんに気持ちいいって思ってもらえるように、と。
 優しく微笑みながらそんなことを言われて、赤い顔で頷くのが精一杯の奏夜をベッドに座らせた圭介から、いつも以上に優しいキスをもらった。
 本当に優しくて、これだけで溶けてしまうようなキスに酔いしれ、くらくらしてしまう奏夜なのに。
 そこからまた、気遣うように服を脱がされ、キスをされる。体に触れてくる圭介の手は、どこまでも優しく思えて。
 ゆったりとした快感が体に蓄積されていって、奏夜の理性が溶けていく。
 ベッドに背を預けた奏夜の体を舐めるようにキスを落としていく圭介に、気づけば「もっと」とねだっていた。

「煽るんじゃねぇよ、そーちゃん。負担かけたくないんだってば」
「そ、んな、こと……言われ、ても……ゃあっ、あぁっ……」

 開かされた左の太もも、その付け根を圭介の舌が下から上へと這うように舐めていく。舐められている、ただそれだけなのに、熱くなる体の震えが抑え込めない。
 勃ち上がってきたものがピクピクと動くのがわかって、奏夜は余計に恥ずかしくなった。
 さっき、抜いてもらったのに。

「……もう、始めて大丈夫かな」

 尋ねる、というより、独り言めいた声で言った圭介の指が尻の割れ目に入ってきて、奏夜はホッとしてしまう。
 これで、指で慣らされてから、圭介のものが入ってきて気持ち良くなって、快感が終了する。
 ちょっと寂しい気もするけど、と思った自分を、このあとの奏夜は「考えが甘い」と叩きたくなった。
「指、挿れるよ?」という言葉に「わ、かった」と答えたけれど。
 ローションとともに入ってきた指は、ゆっくりやんわり動くだけ。それも、手前のほうで少しずつ。

「ん……圭介……もっと……奥……」

 奥に挿れて、とねだってしまう。そこに気持ちいい場所があると知ってしまっているせいで。

「煽んなってば。ちょっとずつ挿れてくから。一気に挿れると負担になるだろ」

 不満そうな圭介に言われて、その通りなんだろうと、奏夜も思うけれど。

(でも、もう、さっきから)

 体も心も、欲しくて堪らないと叫ぶようだ。緩い快感ではなく、体が痺れるほど、高揚する快感を求めている。
 思考が蕩けて理性の薄くなった奏夜は、体と心が求めるままに、思いを口にしてしまう。

「あっ……もっと……ちゃんと、挿れろよぉ……気持ちいい、の……あぁッ……けぇすけぇ……」

 ベッドのシーツを握りしめ、快感に身をよじらせ、嬌声を上げ、圭介の指を締め付けるように後ろに力を入れてしまう。

「っ……煽んなって……言ってるのに……」

 堪えるような物言いになった圭介は、それでも丁寧な手つきをやめてくれない。
 少しずつ指が入ってきて、本数が増やされる。
 けれど、もたらされる快感はやんわりとしたもので、奏夜は「もっと」とねだってしまう。

 体がどろどろに溶けて崩れてしまいそうなのに、崩壊までのあと一歩が遠い。

 もっと、と、ねだる奏夜と、煽るな、と返す圭介のやり取りは、いつからか言い合いのようになっていた。

「もうっ……挿れろよっ……バカぁ……! けぇすけぇ……気持ちいいってばぁ……!」
「っあー、クソッ……煽んなって……言ってるだろが……!」

 腰を小刻みに動かし、泣きかけている声でねだる奏夜へ、苛立ち混じりの、どこか懇願するような圭介の声が返される。

「けぇすけっ、あっ、アッ!」

 気持ちいい場所を擦られて、奏夜の体が快感に打ち震えた。

「あぁッ、けぇすけぇっ、そこぉ……!」

 そこ、もっと。気持ちいいから。
 体をよじらせ、うわ言のように「もっと」とねだる。

「あークソ可愛い可愛い可愛いなぁ……! 理性が擦り切れそうなんだけど……?!」
(擦り切れる、て)

 やっぱお前もシたいんじゃん、という思いで顔を見れば、怒っているような言い方をしている圭介は、やっぱりというか、飢えに耐えかねた獣、といった表現がぴったりの表情をしている。
 足の間のものも硬く勃ち上がっていて、血管が浮き出て先走りに濡れているそれは、以前の時より張り詰めているように思えた。
 ハッ、ハッ、と短く荒く呼吸をしている圭介は辛そうに眉をひそめていて、欲にギラついている瞳と相まって、余計に獣じみて見える。
 その光景を目にして、蕩けていた奏夜の理性が少し戻ってきた。

(なんか、怖い……けど)

 同時に、心配になってしまう。
 なんでそんなになるまで耐えてんだ、お前。

「……圭介、んっ、……俺、ホントに、大丈夫、だ、から、んぅっ……」

 中への刺激に反応してしまいながらも、なんとか言う。
 奏夜の声質が先ほどまでと違うことに気づいたらしい圭介の動きが止まって、その瞳が奏夜の視線と交わった。
 欲を抑え込んだ、明るい茶色の虹彩。

「……ホントに、大丈夫?」
「大丈夫、だって」

 快感を逃がすように息を吐きながら応えると、圭介の指がゆっくりと抜かれていく。

「ぁ、んっ……」

 やっとか、と思いながら、体を震わせる奏夜の耳に。

「……俺、大事にしたいんだよ」

 艶めいているのに、気持ちを抑えたような掠れ気味の声が、圭介から聞こえてきた。


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