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虹色市誕生
3話 亡国の姫リリス
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南海岸近くの港では、大型の帆船が一隻、停泊しており、船の前ではフリーダ団長が、隊員を集合させています。
フリーダ団長は身長140センチほどで、長い栗色の髪を二本の三つ編みにしている様は、少女のようですが、彼女は二十八歳の立派なドワーフ族の大人で、鎧を着て、身長ほどもある戦斧を抱えている姿は、迫力十分です。
「よし、そろったな!まずは護衛班のすぐるとリリス!」
「はい!」
「うむ!」
「よし、次は医療班のカインとテイル!」
「はい」
「います!」
その後も兵士やメイドたちの点呼がおわり、いよいよ探検隊は船に乗り込んでいきました。錨が巻き上げられ、帆が張られると、間もなく船は海面をすべるように進んでいきます。
「空は晴れ渡り、波も穏やかだな、アタイらの航海を祝福しているみたいだぜ!」フリーダ団長は舳先で上機嫌に言います。
船の周りをカモメが飛び交い、船は特に問題なく海の上を進んでいきます。そして、10分ほどで、幻の島の近海にたどり着くと、そこにはかつて人が住んでいた名残である桟橋があったのです。船は錨を下ろし、上陸するためのタラップがかけられると、探検隊はぞろぞろと船を降りていきます。
そこは石をくみ上げて造られた港で、そばには灯台の役目をしていたであろう古い石の塔が建っていますが、周りに人がいる気配はなく、荒れ地ばかりが広がっていました。
「・・・かつては人が住んでいたみたいだ」
「だが、誰もいないみたいじゃな」
すぐるとリリスはあたりを見回しながら言います。気を取り直して、二人は他の隊員と共に、拠点となるテントの設営を始めました。
テントの設営が終わると、改めて島の探索を始めることにしました。すぐるとリリスは南の山のふもとにある城らしき石の建物を目指しました。荒れ果てた城の中を進んでいくと、玉座の間と思われし場所に、黒いドレスを着た一人の黒髪ロングヘアーの女性が座っていたのです。
「おや、こんな滅びた国に客人が訪ねてくるなんて、久しぶりですね」
「あなたは?」
「私はヘル、かつてこの島にあった魔族の国『デーモンド国』の女王だった者です」それを聞いた二人は驚きました。
「えっ?魔族の国!?」
「あったって・・・過去形じゃな?」ヘルは一息ついてから話始めました。
「そう、かつてはあったのです。もう何百年も前、このデモニック島には、行き場をなくした魔族たちの国がありました。知っての通り、魔族は他の種族から蔑まされてきた種族。
そこで、この島の長はこの地に魔族だけの独立国を作り、自らが王となりました。そして、島全体に結界を張り、外からは見えなくなるようにして、同族たちを迫害から守ろうとしたのです」それを聞いたすぐるはハッとします。
「そうか、この島が幻の島と呼ばれるようになったのはそのためなんですね」ヘルはうなずいて言います。
「そうして、この島の平和は保たれたのですが、ある時の王が、もうかくれんぼにはうんざりだと、島を飛び出し、外の世界の征服に乗り出そうとしましたが、それを反対する分家の一族との内戦状態になり、私の兄である分家の当主は内戦から逃れるために、妻と幼い娘を連れて海に脱出したのです。
そして、私が分家を率いて本家との内戦に勝利したのですが、それが国中を巻き込む争いになり、国民のほとんどが、国の外へ散り散りになってしまい、この国は滅び、結界も時と共に消えてしまいました。私はこの国と運命を共にしようと、ここで暮らすことにしたのです」
それを聞いた二人は唖然とします。
「この島にそんな歴史があったなんて・・・!」
「余談ですが、私の兄は南海の島々に移り住んだと聞いております」それに、リリスはハッとします。
「・・・もしかして、その者は妾の父上ではないのか!?」
「・・・そういえば、あなたは?」
「妾の名は『リリス・マルコシアス・クリムゾン』じゃ!」ヘルは唖然として体を震えさせます。
「・・・間違いありません!あなたは紛れもなく兄の娘!クリムゾン家は、分家であるファイア種のデビルの一族です!その兄の名がマルコシアスでした・・・!」これにリリスはうなずきました。
「・・・確かに、今は亡き妾の両親はとある国の王族だったと聞いたことがあったの!このミドルネームは父上の名からもらったのじゃ!」
「そんな!まさかリリスがこの国のお姫様だったなんて・・・そうか、リリスのその高貴な口調は王族由来の物だったんだ・・・!」
「・・・確かに、母上はこういうしゃべり方じゃった!」これに、ヘルは言いました。
「・・・我が姪リリスよ、よくぞ故郷に戻られた・・・!」これにリリスは残念そうに言います。
「じゃが、妾の国はもう、滅んでおったのだな・・・!故郷のために、何かできることはないかの?」
「私はもう、ここを国として立て直すつもりはありません。ですが、あなたが故郷のためにできることはあります。それは、ここに様々な種族が暮らす新しい街を造ることです」
「新しい町じゃと!?」
「はい、国が滅んだ理由の一つが、狭い島に閉じこもったことで、子孫の血が濃くなってしまったことなのです。今や、ここに新しい街を造ることが私の夢なのです」これに、リリスはうなずきました。
「決めた!妾はここに町を造る!早速、テントの者たちに報告するのじゃ!」
「わかったから、引っ張らないでよ!」
フリーダ団長は身長140センチほどで、長い栗色の髪を二本の三つ編みにしている様は、少女のようですが、彼女は二十八歳の立派なドワーフ族の大人で、鎧を着て、身長ほどもある戦斧を抱えている姿は、迫力十分です。
「よし、そろったな!まずは護衛班のすぐるとリリス!」
「はい!」
「うむ!」
「よし、次は医療班のカインとテイル!」
「はい」
「います!」
その後も兵士やメイドたちの点呼がおわり、いよいよ探検隊は船に乗り込んでいきました。錨が巻き上げられ、帆が張られると、間もなく船は海面をすべるように進んでいきます。
「空は晴れ渡り、波も穏やかだな、アタイらの航海を祝福しているみたいだぜ!」フリーダ団長は舳先で上機嫌に言います。
船の周りをカモメが飛び交い、船は特に問題なく海の上を進んでいきます。そして、10分ほどで、幻の島の近海にたどり着くと、そこにはかつて人が住んでいた名残である桟橋があったのです。船は錨を下ろし、上陸するためのタラップがかけられると、探検隊はぞろぞろと船を降りていきます。
そこは石をくみ上げて造られた港で、そばには灯台の役目をしていたであろう古い石の塔が建っていますが、周りに人がいる気配はなく、荒れ地ばかりが広がっていました。
「・・・かつては人が住んでいたみたいだ」
「だが、誰もいないみたいじゃな」
すぐるとリリスはあたりを見回しながら言います。気を取り直して、二人は他の隊員と共に、拠点となるテントの設営を始めました。
テントの設営が終わると、改めて島の探索を始めることにしました。すぐるとリリスは南の山のふもとにある城らしき石の建物を目指しました。荒れ果てた城の中を進んでいくと、玉座の間と思われし場所に、黒いドレスを着た一人の黒髪ロングヘアーの女性が座っていたのです。
「おや、こんな滅びた国に客人が訪ねてくるなんて、久しぶりですね」
「あなたは?」
「私はヘル、かつてこの島にあった魔族の国『デーモンド国』の女王だった者です」それを聞いた二人は驚きました。
「えっ?魔族の国!?」
「あったって・・・過去形じゃな?」ヘルは一息ついてから話始めました。
「そう、かつてはあったのです。もう何百年も前、このデモニック島には、行き場をなくした魔族たちの国がありました。知っての通り、魔族は他の種族から蔑まされてきた種族。
そこで、この島の長はこの地に魔族だけの独立国を作り、自らが王となりました。そして、島全体に結界を張り、外からは見えなくなるようにして、同族たちを迫害から守ろうとしたのです」それを聞いたすぐるはハッとします。
「そうか、この島が幻の島と呼ばれるようになったのはそのためなんですね」ヘルはうなずいて言います。
「そうして、この島の平和は保たれたのですが、ある時の王が、もうかくれんぼにはうんざりだと、島を飛び出し、外の世界の征服に乗り出そうとしましたが、それを反対する分家の一族との内戦状態になり、私の兄である分家の当主は内戦から逃れるために、妻と幼い娘を連れて海に脱出したのです。
そして、私が分家を率いて本家との内戦に勝利したのですが、それが国中を巻き込む争いになり、国民のほとんどが、国の外へ散り散りになってしまい、この国は滅び、結界も時と共に消えてしまいました。私はこの国と運命を共にしようと、ここで暮らすことにしたのです」
それを聞いた二人は唖然とします。
「この島にそんな歴史があったなんて・・・!」
「余談ですが、私の兄は南海の島々に移り住んだと聞いております」それに、リリスはハッとします。
「・・・もしかして、その者は妾の父上ではないのか!?」
「・・・そういえば、あなたは?」
「妾の名は『リリス・マルコシアス・クリムゾン』じゃ!」ヘルは唖然として体を震えさせます。
「・・・間違いありません!あなたは紛れもなく兄の娘!クリムゾン家は、分家であるファイア種のデビルの一族です!その兄の名がマルコシアスでした・・・!」これにリリスはうなずきました。
「・・・確かに、今は亡き妾の両親はとある国の王族だったと聞いたことがあったの!このミドルネームは父上の名からもらったのじゃ!」
「そんな!まさかリリスがこの国のお姫様だったなんて・・・そうか、リリスのその高貴な口調は王族由来の物だったんだ・・・!」
「・・・確かに、母上はこういうしゃべり方じゃった!」これに、ヘルは言いました。
「・・・我が姪リリスよ、よくぞ故郷に戻られた・・・!」これにリリスは残念そうに言います。
「じゃが、妾の国はもう、滅んでおったのだな・・・!故郷のために、何かできることはないかの?」
「私はもう、ここを国として立て直すつもりはありません。ですが、あなたが故郷のためにできることはあります。それは、ここに様々な種族が暮らす新しい街を造ることです」
「新しい町じゃと!?」
「はい、国が滅んだ理由の一つが、狭い島に閉じこもったことで、子孫の血が濃くなってしまったことなのです。今や、ここに新しい街を造ることが私の夢なのです」これに、リリスはうなずきました。
「決めた!妾はここに町を造る!早速、テントの者たちに報告するのじゃ!」
「わかったから、引っ張らないでよ!」
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