セプトクルール『すぐるとリリスの凸凹大進撃!』

マイマイン

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虹色市誕生

11話 市長選挙運動

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 捕まっていた獣人や魔族が住むようになると、さらに町のウワサを聞きつけて、人間のほか、エルフやドワーフ、ゴブリンの移民が増えていき、様々な種族が住む大きな町になり、いつしかこの町は『虹色市にじいろし』と呼ばれるようになりました。これに、ヘルは大いに喜んでいました。

 今、すぐるとリリスはヘルに呼ばれて城に来ていました。
「皆さんのおかげで、ここに様々な種族が暮らす街ができました、ありがとうございます」
「いえいえ」
「これで町は完成じゃな」これにヘルは首を横に振りました。

「いいえ、まだこの町のリーダーを決めていません。私は直接、市政しせいに口出ししないので、住人の中の誰がリーダーにふさわしいか、公平に選び出してください。今日からこの城は、町の今後を決める議会場ぎかいじょうとして開放かいほうします!」ヘルはそう言って、お触れのチラシを二人にたくしました。

「なるほど」
「それなら、町中にお触れを出すのじゃ!いくぞ、すぐる!」リリスはすぐるの手を引いて城の外へとけ出しました。
「わかったから、引っ張らないでよ!」

 すぐるとリリスは早速、市長しちょう選挙せんきょのチラシを市民に配ったり、町の目立つところに張ったりします。しばらくすると、二人の男性が市長の候補こうほとして名乗りを上げました。

 市長の候補として名乗りを上げたのは、ネクタイのないこんのスーツに身を包んだしろひげの紳士『スクルージ』氏と、貴族的な緑色の服を着て、上にはねた黒いひげを生やした『ジーモン』氏の二人でした。

まず、スクルージ氏が壇上だんじょうに上がり、集まっている市民の前で演説えんぜつをします。

親愛しんあいなる虹色市の皆さん、私は市長候補のスクルージです。様々な種族の者たちが調和しあっている虹色市は、皆が助け合うことで成り立っています。私が市長になったら、全ての市民たちが幸福に暮らしていける町を目指すべくちからくします。

 しかし、それは私だけでは実現できません。皆さまのお力があればこそです。どうかそのために、この私スクルージにきよ一票いっぴょうを!」

市民の中では、異種族の者たちや支持者の人間の間で歓声かんせいが上がります。続いてジーモン氏の演説が始まりました。

「市民の皆様方、私は市長候補の一人、ジーモンと申します。虹色市は様々な種族の者たちによってつくられてきました。しかし、それと同時に、異種族によるトラブルも少なくありません。例えば、エルフ族とドワーフ族の間では小り合いが絶えず、未だに魔族による事件も起こっています。

 残念ながら、全ての種族が分かりあうというきれいごとでは社会は成り立ちません。私が市長になれば、秩序ちつじょある町を完成させ、さらに発展はってんさせる事を約束いたします!そのためにこのジーモンに清き一票を!」

多くの人間の市民から歓声が上がりました。

 演説が終わった後、すぐるとリリスは塔へ戻って行きます。

「すぐる、スクルージ殿どのが市長になればいいのう」

「・・・そうだね、ジーモンさんは白人の貴族で、なんだか、自分たちがもうかればいいって感じで、えらそうな雰囲気ふんいきだしね。でも、熱狂的な支持者も多いし、最近、異種族による犯罪はんざいも増えて来たのも事実なんだよね・・・

 この前なんか、ゴブリンの男が空き巣に入ったね。ゴブリンも差別にあっているし、それでまともな仕事ができなくて盗みを・・・」

 すぐるはそんな事を思いながら町中を歩いていると、中央広場では白人の少年三人が、黒人のビルを小突いたりしていじめている場面に出くわし、リリスが真っ先に飛び出しました。

「これ!何をやっておるのじゃ!」リリスの問いにリーダー格の白人少年が言いました。
「こいつがジーモンさんの悪口を言ったんだよ!」
「やっぱり黒人は汚くて品がないよな!」そう言って白人少年たちはビルをいじり倒します。

「ここでも黒人に対する差別があるんだな・・・」すぐるはこう思っていると、リリスが声を荒(あら)げます。

「今すぐその口を閉じるがよい!」リリスはビルをかばうかのように白人少年たちの前に立ちはだかります。

「お、悪魔め!やる気か!?」げんこつでなぐりかかってくるリーダー格の少年のパンチを、リリスは軽くかわして足払いをかけて転ばせます。

「てめぇ!」もう二人の少年たちも棒を振りかざして来るのを、リリスは左腕でガードし、腹にパンチをねじりこんで倒し、後ろからくる少年にもひじを打ち込み返りちにします。

「わー逃げろー!」白人少年たちはたまらず逃げ出します。
「大丈夫か、お主」リリスはビルの元にけ寄ります。

「うん、ありがとうリリス姉ちゃん、やっぱりリリス姉ちゃん空手が強いんだね、よかったらぼくに武術ぶじゅつを教えてよ」
「うむ、任せるがよい!」

 リリスとビルが仲良くなっている一方で、すぐるはなんだか不安を覚えずにはいられませんでした。
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