【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう

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第35話 賢者(2)

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緊急事態に俺達は、全速力で里を目指している。
賢者の道案内により近道を通りながら、
最短距離でエルフの里に到着した。

そして里に広がる地獄絵図を見て、
俺は怒りが抑えきれない……
魔族達がワイバーンに乗り、里を蹂躙している。
力の弱いエルフ達は抵抗出来ないでいた。


辺りを見渡すと、
公爵が魔族に殺されそうになっている……


俺は即座に身体強化を施して、
ワイバーンを思い切り蹴飛ばした。
吹き飛ばされたワイバーンと魔族は墜落する。
落下速度からして、無事では済まないだろう。


「クリス君!」


公爵は俺を見て、歓喜の声をあげて喜ぶ。
もう駄目かと諦めたところだったのか、
泣きながら感謝された……


更に、残りの魔族も逃げ出そうとするが、
フィリアが魔法で追撃する。


水魔法の弾丸を複数呼び出し連射する魔法。
レベル3、バブルバレットを発射した。


「フィリア殿!」


背後から発動したフィリアの魔法により、
ワイバーンは、蜂の巣のように穴だらけになった。
そして魔族も墜落して生き絶える。


俺達は、エルフの集落にそびえ立つ木や、
家屋を足場に飛び立った。


公爵は、涙を流しながら感謝する。
よほど嬉しかったのだろう、鼻水も出ていた。


「喜ぶのは早い!
 早くこの場から逃げるのだ!」


「あ、貴方は?」


「公爵、実はこの方は賢者様です」


「な、なんだと!!」


「まあ出会いを喜ぶのも生きて帰った後だ!
 今ならまだ間に合う!」



戦力が揃ったこの瞬間に、
公爵は生き残る兵士達に声をかける。



「皆の者……早く逃げ……」



そして、皆を逃がすために必死に声を張り上げるが、
かき消すような飛行音が、エルフの里に鳴り響いた。


飛行音の正体、ワイバーンが通過し、
その上に一人、強力な魔力を纏う者が見える……



「来てしまったか……
 お前だけは来てくれるなと思ったよ……」



甲冑に身を包む騎士。
全身を包む鎧は漆黒の色をしている。




「久しぶりだな、時の賢者ロゼ……
 いや、魔界の裏切り者よ」



「ふふ、ほざけ!
 お前達が私を裏切ったんだよ!
 四天王最強の男、黒騎士セト」



賢者は、その人物を黒騎士と言った……
その呼び名にふさわしい装いから、
ただ者ならない風格を感じる。



「クリス、絶対に奴には手を出すな!
 お前ではまだ勝てない!」



「賢明だな!
 だが俺が生きて返すと思っているのか?」



突然言い出す賢者に、
俺は全く意味が理解できない。
里をこんなにした奴を許せるはずがない……



「ところでセト
 お前、あの魔剣はどうした?
 大切な剣だったろ」


「勇者に封印されて以来、使えなくてな……
 まあ使えずとも苦戦する輩もいない」


その瞬間、賢者はニヤリと笑みを浮かべる……
そして、時の魔法を発動した。


「クリス、すまないね」


すると俺の周りに時空魔法の結界が生まれた。
まるで何もかもを遮断された感覚を受ける……



「賢者様!何をするんだ!」



「こうしないとお前は、
 セトに向かっていくだろう?」



「フィリア!ここからは、私が戦う!
 私に全てを賭けてくれるね?」



「賢者様……」



真剣な眼差しの賢者を見た瞬間、フィリアは悟る。
目の前にいる黒騎士に自分では勝てないと……



「分かりました……
 賢者様、私は何をすれば?」



「流石、私の子孫だよ!
 私の、とっておきの魔法を発動してもらう!」


「け、賢者様、それは?」


賢者は、フィリアの耳に近づき魔法を告げた。
その意味を理解した時、頬から涙が流れる……


「分かりました!
 私は、クレア様の唯一の弟子。
 大切なものを守り抜く時、それが今です!」
 


「ふふふ、馬鹿弟子も良い弟子を持ったもんだね!
 いくよ!フィリア!」



「はい!」



賢者の周りに魔力のオーラが溢れ出す。
今まで見たことのない程の濃密な魔力が見えた……


「フィリア……
 私の魔法を受け取れ!」


賢者から魔法を受け取り、
フィリアは手筈通り詠唱を続けていく……



そして魔法を渡し終えた賢者は覚悟を決めて、
目の前にいる四天王最強の男、
黒騎士セトへ向かって歩き始めた。





「魔界の裏切り者も、
 ようやく始末できるわけだ」




黒騎士の周りに黒い魔力のオーラが溢れ出し、
今まで出会った者とは桁違いの波動を感じる。





「セト、随分と偉くなったじゃないか!
 私が、叩きのめしてやるよ!」




そして、時の賢者ロゼと、
四天王最強の黒騎士セトの戦いが幕を開けた……
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