【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう

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第81話 決戦前夜

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秘密の特訓は俺達の懸命な努力により、
賢者も納得できるレベルに達した。
そして決戦を控えた前日、賢者に呼び出されて最後の打ち合わせをしている。


「当日、お前達の居場所は、
 私だけしか知らないからな!」


過去に間者がマリアの居場所を特定していた為、
魔宝祭当日は、対策を徹底する必要がある。
城内の間者は一掃したが、万が一に備える算段だ。


「クリス、お前の水魔法を元に作った、
 魔道具を渡しておこう」


賢者から渡されたのは通話が出来る機械で、
耳に入れるイヤホンの構造をしている。
俺の水魔法の原理を研究者が解析して、
数日間で作り上げた。
この魔道具により距離が離れていても会話が出来る。


「す、凄い……」


とても数日間で作れる代物ではない為、
この通信機に感動していた。
来たる決戦に向けて国全体が一丸となり、
危機を乗り越えようとするのが伝わる。


「それとクリス!
 お前に頼んでいたものは?」


「これですよね?」


そう口にすると賢者に魔法の筒を渡す。
毎日、筒に魔力を貯め続けるよう言われて、
この五日間、筒に魔力を送り続けた。


「よし、これだけ貯まっていれば、
 仕掛けの発動には十分足りるだろう」


今回の侵攻に対して切り札とも言える仕掛け。
それはマリアとのすり替わりだけではない。
そしてその仕掛けが、敵の攻撃を無効化する重要な要素となる。


「問題はセシルだ……」


賢者は眉間に皺を寄せて口を開く。
この世界で、まだセシルは襲撃をしていない為、
俺が詳しい情報を共有した。


「間違いなく突破してくるだろう。
 奴はお前に任せるしかない」


その言葉に俺は無言で頷くと、
賢者が、ある物を渡す。


「賢者、この剣は?」


「昔、親しい奴が使っていた剣。
 だが、今はお前に使って欲しいのさ」


賢者の表情から、その剣が大切な遺品だと察して、
借りてしまって大丈夫なのか不安になった。


「剣は、覇王を発動した時、
 その瞬間に本当の姿に変化する!」


「え?」


覇王を発動する瞬間に効果を発揮する剣。
以前の持ち主は考えられるだけでも一人しかない。



「賢者、この剣の持ち主って……」


「あぁ、ルミナス初代国王の物だよ」



まさか預かった剣が、初代の遺品とは思いもせず、
驚愕してしまう。



「その剣は、人の意志に応える剣だ。
 意志が強ければ強いほど応えるだろう……
 お前の覇王の輝きと共にな」



「賢者、この剣の名前は?」



すると賢者は昔を懐かしむような顔をして、
その剣の名前を答えた……




「そうだね、
 その剣の名前は………」




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




気付けば辺りも暗く、祭の準備も終えていた。
賢者と別れてから屋敷に帰る途中で、
俺は、見慣れた人物を見つけた。
それは同居人であり、
もう一人の想い人のユーリだ。


「あ!クリス」



「ユーリ……
 お祭り、残念だけど……
 また次の機会に一緒に回ろう」



ユーリは十年間、俺を待ち続けたと言っていた。
その想いを考えると、
一緒に祭に行ける時間を作りたかった……



「ねぇ、クリス……」




「ん?」




突然、ユーリが後ろから俺を抱きしめた。




「お、おい……」


「良いじゃん……
 ちょっとくらい……」



ユーリの雰囲気はいつもと違って、
切実に願うように言葉を発した。



「クリス……
 死なないで……」


「え?」


「一番強敵と戦うのはクリスだから……
 セシル、そしてバルガスと……」


強敵を相手に出来る戦力は限られている。
俺が戦う敵は、一人でどうにかなる相手ではない。
ユーリは、それを心から心配していた。



「大丈夫……
 絶対、みんなを守ってみせるさ」



「危険な時は、必ず召喚して……
 飛んでいくから……」



危機が訪れた時、使い魔召喚で呼んで欲しいと、
ユーリが告げる。
そして、心配してくれるのは嬉しいが、
やはりユーリらしい笑顔が見たいと思い、
すぐに笑顔に変わる言葉を考えた。



「ユーリ、戦いが終わったら、
 俺が何でも奢ってやるよ」



「え!いいの?
 もう訂正できないよ!」



ユーリは、目を星のように輝かせながら喜ぶ。
美しく成長してもユーリらしさは変わらない。
そんな明るい笑顔を見て、俺も勇気が湧いた……




いよいよ明日にルミナス魔宝祭を控える。
魔王軍の大規模侵攻が予測されており、
間違いなくルミナスの存亡をかけた戦いが始まる。
しかし、俺はこの平和な日常を守り抜くと、
心に誓うのであった……
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