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音芽の進学
――
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あの一件以来、音芽はほんの少し俺から距離を取るようになった。
でも、だからといって全く離れていかなかったのは、ある意味すごく有難かったし、心の中ではガッツポーズをしまくりだったんだけど――。
実際には自分で近付くな、と言った手前、俺は意地を張らざるを得なくて。
高校、大学……と俺の後をずっと追いかけてきてくれたのは、兄として俺のことを慕ってくれているからだろうな、と漠然と思っていた。
奏芽は高校までは一緒のところだったけれど、ああ見えてアイツ、頭はかなり良くて……。
大学は医学部のあるところに行くことにしたわぁーとアッサリ遠方のかなり偏差値の高い大学を選んでしまった。
俺は割と地元に近い、教育学部のある大学に進学して、音芽が女子高生をやっている間も、実家から大学へ通えるようにした。
実際、教師になりたかったし、だったら近場の大学でもいいじゃねぇか、その方が親への負担も少なくて済むだろ、と自分に言い訳をしていたっけ。
正直に言えば……どんどん可愛くなる音芽が変な男に引っかかるんじゃないかと思うと心配で離れられなかっただけなんだけどな。
本人にはあまり自覚がなかったんだけど、音芽は本当に可愛いかった。
背も、兄の奏芽が180近い長身なので伸びるのかと思いきや、150センチ代半ばとそんなに高くなくて小ぢんまりしたままで。
何なら178センチの俺とだって20センチちょいの差があるほどだ。
大学生になったらもっともっと綺麗になって、どんどん手の届かない女の子になってしまうだろう。
音芽が高3になって、彼女の受験が脳裏をちらつくようになった時、俺は正直俺の後を追ってきてくれないかと期待したんだ。
さんざん口では彼女のことを突き放しておきながら、これ。
俺がもっと素直な男だったら「家から通えるし、俺の通う大学にしたら?」とか言えたんだけど……そんなの言えたらこんなに色々こじらせてない。
下手したら付いてくるなとか言ってしまいそうだったから、俺はあの当時、極力音芽を避けるようにしていた。
音芽が遠方に行くかもしれないとか考えると、俺はやるせ無くて――。
結果、音芽を忘れられたらと、告白されるたびに片っ端から好きでもない女の子と付き合っては気を紛らわせようと頑張ってみた。
でもそんなの、到底無理で――。
奏芽じゃないけど、あの当時の俺、それこそ一人の女の子と1ヶ月以上続いたこと、なかったと思う。
一応付き合えば俺も男。やることはやるけど、頭ん中では俺の下にいる女の子が音芽だったなら、とか……そんな想像ばかりしていたんだから長続きするはずがない。
だから母親から、「音芽ちゃん、温和と同じ大学を受けるみたいよ? 色々教えてあげなさいね?」と聞かされた時は本当に嬉しかったんだ。
俺はそれを知った直後から、好きでもない女の子と付き合う生活を、スッパリやめた。
音芽は……基本的に寂しがり屋な末っ子気質のお兄ちゃんっ子だ。
恐らくは実兄の奏芽の通う大学に行きたかったんじゃないだろうか。けど、あっちは偏差値のものすごく高い難関校。音芽の成績では無理だったんだろう。
だから、諦めてそこそこのレベルの俺の方についてきただけなんだ、と頭ではちゃんと理解していたさ。
でも、それでもいい、と俺は思ったんだ。
それこそ結果オーライ。
俺の通う大学ならば、音芽の成績なら余裕で受かる。
でも、だからといって全く離れていかなかったのは、ある意味すごく有難かったし、心の中ではガッツポーズをしまくりだったんだけど――。
実際には自分で近付くな、と言った手前、俺は意地を張らざるを得なくて。
高校、大学……と俺の後をずっと追いかけてきてくれたのは、兄として俺のことを慕ってくれているからだろうな、と漠然と思っていた。
奏芽は高校までは一緒のところだったけれど、ああ見えてアイツ、頭はかなり良くて……。
大学は医学部のあるところに行くことにしたわぁーとアッサリ遠方のかなり偏差値の高い大学を選んでしまった。
俺は割と地元に近い、教育学部のある大学に進学して、音芽が女子高生をやっている間も、実家から大学へ通えるようにした。
実際、教師になりたかったし、だったら近場の大学でもいいじゃねぇか、その方が親への負担も少なくて済むだろ、と自分に言い訳をしていたっけ。
正直に言えば……どんどん可愛くなる音芽が変な男に引っかかるんじゃないかと思うと心配で離れられなかっただけなんだけどな。
本人にはあまり自覚がなかったんだけど、音芽は本当に可愛いかった。
背も、兄の奏芽が180近い長身なので伸びるのかと思いきや、150センチ代半ばとそんなに高くなくて小ぢんまりしたままで。
何なら178センチの俺とだって20センチちょいの差があるほどだ。
大学生になったらもっともっと綺麗になって、どんどん手の届かない女の子になってしまうだろう。
音芽が高3になって、彼女の受験が脳裏をちらつくようになった時、俺は正直俺の後を追ってきてくれないかと期待したんだ。
さんざん口では彼女のことを突き放しておきながら、これ。
俺がもっと素直な男だったら「家から通えるし、俺の通う大学にしたら?」とか言えたんだけど……そんなの言えたらこんなに色々こじらせてない。
下手したら付いてくるなとか言ってしまいそうだったから、俺はあの当時、極力音芽を避けるようにしていた。
音芽が遠方に行くかもしれないとか考えると、俺はやるせ無くて――。
結果、音芽を忘れられたらと、告白されるたびに片っ端から好きでもない女の子と付き合っては気を紛らわせようと頑張ってみた。
でもそんなの、到底無理で――。
奏芽じゃないけど、あの当時の俺、それこそ一人の女の子と1ヶ月以上続いたこと、なかったと思う。
一応付き合えば俺も男。やることはやるけど、頭ん中では俺の下にいる女の子が音芽だったなら、とか……そんな想像ばかりしていたんだから長続きするはずがない。
だから母親から、「音芽ちゃん、温和と同じ大学を受けるみたいよ? 色々教えてあげなさいね?」と聞かされた時は本当に嬉しかったんだ。
俺はそれを知った直後から、好きでもない女の子と付き合う生活を、スッパリやめた。
音芽は……基本的に寂しがり屋な末っ子気質のお兄ちゃんっ子だ。
恐らくは実兄の奏芽の通う大学に行きたかったんじゃないだろうか。けど、あっちは偏差値のものすごく高い難関校。音芽の成績では無理だったんだろう。
だから、諦めてそこそこのレベルの俺の方についてきただけなんだ、と頭ではちゃんと理解していたさ。
でも、それでもいい、と俺は思ったんだ。
それこそ結果オーライ。
俺の通う大学ならば、音芽の成績なら余裕で受かる。
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