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住処
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正直な話、奏芽にだけは、音芽への気持ちを勘付かれていると思うし、隠すつもりもない。
鈍感な音芽と違って、なにかと鋭いところがある奏芽だ。
顔は結構似ている兄妹だと思うんだけど、中身ははっきり言って全然違う。
奏芽の半分でも音芽の勘がよかったなら、俺がひねくれていてもある程度通じるところ、あると思うんだけど。
まぁでも、そういう鈍いところも含めて俺は音芽のことを可愛いと思っているのだから仕方ない。
「うるさい、黙れ。奏芽、余計なこと言ったら俺もお前のあれこれ、お前の親にみんなバラすからな?」
一応口止めをして、電話を切った。
さて、奏芽じゃないが、俺も引っ越しを考えないといけないかもしれない。
***
俺は空室がふたつ続きの、職場まで徒歩でも通える範囲のアパートを、数ヶ月かけて探し当てた。実際に部屋を自分の目で確認して、女性の一人暮らしにも十分対応できると踏んでから、自分の住む部屋の契約と一緒に、隣のもう一部屋も仮押さえした。
うちの母親に、それとなく自分の部屋の隣が空いていることを伝えた俺は、程なくして予定通り音芽の親御さんにもそのことが伝わったことを知る。
不動産屋と大家には隣室を仮押さえした際に、鳥飼音芽が借りに来たら、何食わぬ顔で貸してやって欲しいと頼み込んだ。
もちろん仮押さえした際に見合うだけの対価は支払って、それはそちらに問題がなければ返してくれなくてもいいから、と話しておいた。
結局良心的な貸主だったらしく、音芽が契約したと同時に俺のほうに連絡が入って、余分に支払ってあるものに関しては返金もしくは、家賃と相殺できると言われ、俺は後者を選んだ。
音芽の方は俺に内緒で隣に引っ越してきたつもりだったと思うが、全て俺の目論見通りだ。
かくして俺は、実家同様音芽の隣人というポジションを手に入れた。
***
音芽が隣に越してきて、仕事場でも俺の近くで担任を受け持つことになった、新年度。
1学期が始まってすぐの頃は、俺も初めて学年主任を任されたこともあってバタバタの毎日で、余り音芽に構ってやれなかった。
それでも隣室の様子は極力気にするようにして、音芽が安全に暮らせているか、チェックは欠かさなかった。
本音を言えば広めの部屋を借りて一緒に住めたらよかったんだけど……さすがにそれは俺の理性が持ちそうにないし、音芽の親父さんだって、奏芽ならまだしも、俺との同居はさすがに認めてはくれなかっただろう。
だから、壁ひとつ向こうぐらいがちょうどいい距離感なのだ、と俺は自分に言い聞かせた。
鈍感な音芽と違って、なにかと鋭いところがある奏芽だ。
顔は結構似ている兄妹だと思うんだけど、中身ははっきり言って全然違う。
奏芽の半分でも音芽の勘がよかったなら、俺がひねくれていてもある程度通じるところ、あると思うんだけど。
まぁでも、そういう鈍いところも含めて俺は音芽のことを可愛いと思っているのだから仕方ない。
「うるさい、黙れ。奏芽、余計なこと言ったら俺もお前のあれこれ、お前の親にみんなバラすからな?」
一応口止めをして、電話を切った。
さて、奏芽じゃないが、俺も引っ越しを考えないといけないかもしれない。
***
俺は空室がふたつ続きの、職場まで徒歩でも通える範囲のアパートを、数ヶ月かけて探し当てた。実際に部屋を自分の目で確認して、女性の一人暮らしにも十分対応できると踏んでから、自分の住む部屋の契約と一緒に、隣のもう一部屋も仮押さえした。
うちの母親に、それとなく自分の部屋の隣が空いていることを伝えた俺は、程なくして予定通り音芽の親御さんにもそのことが伝わったことを知る。
不動産屋と大家には隣室を仮押さえした際に、鳥飼音芽が借りに来たら、何食わぬ顔で貸してやって欲しいと頼み込んだ。
もちろん仮押さえした際に見合うだけの対価は支払って、それはそちらに問題がなければ返してくれなくてもいいから、と話しておいた。
結局良心的な貸主だったらしく、音芽が契約したと同時に俺のほうに連絡が入って、余分に支払ってあるものに関しては返金もしくは、家賃と相殺できると言われ、俺は後者を選んだ。
音芽の方は俺に内緒で隣に引っ越してきたつもりだったと思うが、全て俺の目論見通りだ。
かくして俺は、実家同様音芽の隣人というポジションを手に入れた。
***
音芽が隣に越してきて、仕事場でも俺の近くで担任を受け持つことになった、新年度。
1学期が始まってすぐの頃は、俺も初めて学年主任を任されたこともあってバタバタの毎日で、余り音芽に構ってやれなかった。
それでも隣室の様子は極力気にするようにして、音芽が安全に暮らせているか、チェックは欠かさなかった。
本音を言えば広めの部屋を借りて一緒に住めたらよかったんだけど……さすがにそれは俺の理性が持ちそうにないし、音芽の親父さんだって、奏芽ならまだしも、俺との同居はさすがに認めてはくれなかっただろう。
だから、壁ひとつ向こうぐらいがちょうどいい距離感なのだ、と俺は自分に言い聞かせた。
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