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大誤算
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『で、何? キスしたら拒絶でもされたんか?』
音芽のくせに贅沢なやつめ、とぶつぶつ聞こえてきて、俺は思わず「お前な、音芽はモテるんだぞ? どんだけ俺が今までヤキモキしたと……」と愚痴まじりに彼女を弁護せずにはいられない。
俺の好きな女のことを悪く言うのは、実兄と言えどもやめてもらいたい。
『まぁなぁー。腐っても俺の妹だしぃ~、確かに見た目は悪くねぇのよなぁ、アイツ。……中身はお子ちゃまだけどさぁ~、黙ってれば男好きするタイプだしぃ~? まぁモテるのは当然っちゃー当然だよな。いやもう、何せ血を分けた俺の妹だし?』
音芽が可愛いのは、自分と血が繋がった兄妹なのだから当然だと、2度も“俺の妹”を強調して、奏芽が笑った。
奏芽の言動を聞いていると、彼にとって音芽は純粋に“妹”なのだと実感させられる。
音芽から“兄”と呼ばれたくない俺とは、根本的に彼女に対する思いが違う。
それなのに、だ。
『ぶっちゃけアイツって結構ドM気質だと思うぜ? 小さい頃から泣かせても泣かせても俺についてきてたし。絶対仕込み甲斐あると思うんだよなぁ~。ホント、妹じゃなけりゃーなー』
とか。
奏芽、お前音芽をどんな目で見てんだよ?
思うのに、あまりに呆れ果てて言葉にできずにいたら、『だからさ、ハル。お前が何かしてアイツが泣いたんだとしても、そんな気にすることねぇんじゃね?と俺は思うわけ。――どうよ?』
どうよ?って聞かれても……知るかっ!
「――なぁ奏芽。真面目な話なんだけどな、お前音芽をフォローしてやってくれないか? 俺が関わったら余計こじれそうで嫌なんだよ。その点、お前なら腐っても兄貴だし、音芽の扱いも慣れてるだろ?」
そこまで言ったら『ハンサムな幼なじみ捕まえて“腐っても”って何よ! ハルくんったら失礼しちゃうわっ!』って突然のおネエ言葉。
就職してから時々こんな感じなんだよな、コイツ。
本人曰く、「小児科医として子供らをあやすテクニックのひとつだよ」らしいけど……絶対逆効果だと思うんだ。
『冗談はさておき、俺が電話したら音芽、嫌がって裏目に出るだろ?』
意外だ。嫌がられてる自覚はあったのか。
「だから、だよ。お前と言い合いしたら元気になりそうな気がすんだよ」
ついでに奏芽なら頼まなくても俺のフォローもうまいことしてくれそうな気がする、とか期待していたりもして。
『あー、そういうことね。了解。っていうかお前と喧嘩したならアイツ、泣いてるかも知んねぇよな。久々に音芽の泣き声聞けるのは俺的にもメリットだわ。ってなわけで任せとけ! ハル、お前も気にしすぎずテキトーに寝ろよ? じゃーな。また連絡する』
音芽のくせに贅沢なやつめ、とぶつぶつ聞こえてきて、俺は思わず「お前な、音芽はモテるんだぞ? どんだけ俺が今までヤキモキしたと……」と愚痴まじりに彼女を弁護せずにはいられない。
俺の好きな女のことを悪く言うのは、実兄と言えどもやめてもらいたい。
『まぁなぁー。腐っても俺の妹だしぃ~、確かに見た目は悪くねぇのよなぁ、アイツ。……中身はお子ちゃまだけどさぁ~、黙ってれば男好きするタイプだしぃ~? まぁモテるのは当然っちゃー当然だよな。いやもう、何せ血を分けた俺の妹だし?』
音芽が可愛いのは、自分と血が繋がった兄妹なのだから当然だと、2度も“俺の妹”を強調して、奏芽が笑った。
奏芽の言動を聞いていると、彼にとって音芽は純粋に“妹”なのだと実感させられる。
音芽から“兄”と呼ばれたくない俺とは、根本的に彼女に対する思いが違う。
それなのに、だ。
『ぶっちゃけアイツって結構ドM気質だと思うぜ? 小さい頃から泣かせても泣かせても俺についてきてたし。絶対仕込み甲斐あると思うんだよなぁ~。ホント、妹じゃなけりゃーなー』
とか。
奏芽、お前音芽をどんな目で見てんだよ?
思うのに、あまりに呆れ果てて言葉にできずにいたら、『だからさ、ハル。お前が何かしてアイツが泣いたんだとしても、そんな気にすることねぇんじゃね?と俺は思うわけ。――どうよ?』
どうよ?って聞かれても……知るかっ!
「――なぁ奏芽。真面目な話なんだけどな、お前音芽をフォローしてやってくれないか? 俺が関わったら余計こじれそうで嫌なんだよ。その点、お前なら腐っても兄貴だし、音芽の扱いも慣れてるだろ?」
そこまで言ったら『ハンサムな幼なじみ捕まえて“腐っても”って何よ! ハルくんったら失礼しちゃうわっ!』って突然のおネエ言葉。
就職してから時々こんな感じなんだよな、コイツ。
本人曰く、「小児科医として子供らをあやすテクニックのひとつだよ」らしいけど……絶対逆効果だと思うんだ。
『冗談はさておき、俺が電話したら音芽、嫌がって裏目に出るだろ?』
意外だ。嫌がられてる自覚はあったのか。
「だから、だよ。お前と言い合いしたら元気になりそうな気がすんだよ」
ついでに奏芽なら頼まなくても俺のフォローもうまいことしてくれそうな気がする、とか期待していたりもして。
『あー、そういうことね。了解。っていうかお前と喧嘩したならアイツ、泣いてるかも知んねぇよな。久々に音芽の泣き声聞けるのは俺的にもメリットだわ。ってなわけで任せとけ! ハル、お前も気にしすぎずテキトーに寝ろよ? じゃーな。また連絡する』
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