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目障りな男
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音芽を支えるようにして職員室に入ると、すぐさま2年3組担任の鶴見大我が駆け寄ってきた。
「と、と、とっ、鳥飼先生っ、どうなさったんですかっ」
おい、鶴見。俺のことは完全無視かよ。
いい度胸してんじゃねぇか。
思いはしたが、口には出さない。もちろん態度にも。
俺は、すらりと背の高い長身のこの男が大嫌いだ。顔もそこそこ整ってるのが油断ならないし、何より音芽がコイツに甘い。
図体は一丁前にデカイくせに、オロオロと心配性の子犬みたいな雰囲気を漂わせるのも狙ってる感じがして気に食わねぇ。
絶対コイツ、策士だろ。っていうか音芽のこと狙ってんだろ。
なのに何で気付かねぇんだよ、バカ音芽。
そもそも俺と違ってこの鶴見という男、音芽と同期というポジションを持っているのがまたイケスカねぇんだよな。
同期ってだけで俺の音芽に馴れ馴れしくするのがホントむかつく。
年も確か俺のひとつ下で、俺より音芽との年齢差が少ないのも不安要素だったりするし。
おい音芽、無視してサッサと席に行くぞ。そう思うのに、音芽のやつ、何で立ち止まるんだよ。
「昨日転んでしまいまして……膝、思いっきりやっちゃいました。もぉー、ドジでホントすみませんっ!」
へらりと笑って俺の腕から手を離した音芽に、俺はイラッとする。
「はる、……霧島先生、御迷惑をおかけしましたっ」
今、お前、俺のことハル兄……もしくは温和って言いかけたよな?
何でポロッと間違ってくれねぇかな。
その方が俺にとっては好都合だったのに。
変なところで気ぃきかせやがって、バカ音芽。
ヤバイ。イライラし過ぎて朝から頭に血が昇りそうだ。
俺は、不本意ながら音芽から一旦離れることを選択する。
このまま一緒にいたら、学年主任としての立場がなくなりそうな発言をしそうだったから。
社会人として……さすがにそれはマズイ。
鶴見に隙を見せるみたいになるのもごめんだ。
「あ、あの荷物……」
音芽が、俺が持っている自分のカバンを受け取ろうと手を伸ばしてきたので、目一杯よそ行きの口調で、
「どうせ隣の席ですし、鳥飼先生のデスクまで運んでおきますよ」
とかわしてやった。
さっき鶴見にかまけて俺をないがしろにした仕返しだ。
だが音芽は俺のそれを、仕事と割り切って素早く態度を切り替えたと判断したらしい。
彼女が至極感心したようなキラキラした目で俺を見てくるのが気まずくて、俺はくるりと踵を返した。
「鳥飼先生、ホントに大丈夫ですか? ……ぼ、僕に掴まりませんか?」
俺が音芽から離れたと見るや、鶴見が彼女にそう声をかけたのが聞こえて、俺は気が気じゃなかった。
でも自尊心が邪魔をして、今更音芽たちのほうへ戻ることも出来なくて、ただただヤキモキさせられる。
音芽の席に鞄を置いた俺は、ちらちらと二人の様子を気にする情けない男と化した。
「と、と、とっ、鳥飼先生っ、どうなさったんですかっ」
おい、鶴見。俺のことは完全無視かよ。
いい度胸してんじゃねぇか。
思いはしたが、口には出さない。もちろん態度にも。
俺は、すらりと背の高い長身のこの男が大嫌いだ。顔もそこそこ整ってるのが油断ならないし、何より音芽がコイツに甘い。
図体は一丁前にデカイくせに、オロオロと心配性の子犬みたいな雰囲気を漂わせるのも狙ってる感じがして気に食わねぇ。
絶対コイツ、策士だろ。っていうか音芽のこと狙ってんだろ。
なのに何で気付かねぇんだよ、バカ音芽。
そもそも俺と違ってこの鶴見という男、音芽と同期というポジションを持っているのがまたイケスカねぇんだよな。
同期ってだけで俺の音芽に馴れ馴れしくするのがホントむかつく。
年も確か俺のひとつ下で、俺より音芽との年齢差が少ないのも不安要素だったりするし。
おい音芽、無視してサッサと席に行くぞ。そう思うのに、音芽のやつ、何で立ち止まるんだよ。
「昨日転んでしまいまして……膝、思いっきりやっちゃいました。もぉー、ドジでホントすみませんっ!」
へらりと笑って俺の腕から手を離した音芽に、俺はイラッとする。
「はる、……霧島先生、御迷惑をおかけしましたっ」
今、お前、俺のことハル兄……もしくは温和って言いかけたよな?
何でポロッと間違ってくれねぇかな。
その方が俺にとっては好都合だったのに。
変なところで気ぃきかせやがって、バカ音芽。
ヤバイ。イライラし過ぎて朝から頭に血が昇りそうだ。
俺は、不本意ながら音芽から一旦離れることを選択する。
このまま一緒にいたら、学年主任としての立場がなくなりそうな発言をしそうだったから。
社会人として……さすがにそれはマズイ。
鶴見に隙を見せるみたいになるのもごめんだ。
「あ、あの荷物……」
音芽が、俺が持っている自分のカバンを受け取ろうと手を伸ばしてきたので、目一杯よそ行きの口調で、
「どうせ隣の席ですし、鳥飼先生のデスクまで運んでおきますよ」
とかわしてやった。
さっき鶴見にかまけて俺をないがしろにした仕返しだ。
だが音芽は俺のそれを、仕事と割り切って素早く態度を切り替えたと判断したらしい。
彼女が至極感心したようなキラキラした目で俺を見てくるのが気まずくて、俺はくるりと踵を返した。
「鳥飼先生、ホントに大丈夫ですか? ……ぼ、僕に掴まりませんか?」
俺が音芽から離れたと見るや、鶴見が彼女にそう声をかけたのが聞こえて、俺は気が気じゃなかった。
でも自尊心が邪魔をして、今更音芽たちのほうへ戻ることも出来なくて、ただただヤキモキさせられる。
音芽の席に鞄を置いた俺は、ちらちらと二人の様子を気にする情けない男と化した。
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