【R18】温和はオトメをもっと上手に愛したい

鷹槻れん

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逢地先生と2人きり

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 終業時刻の16時40分を過ぎて、ちらりと隣席の音芽おとめの様子を見ると、残務処理に追われている様子で。

 俺の方もやることがないわけじゃなかったので音芽が終わるまで仕事をしながら付き合うか、と思う。

 17時半を回ったら声を掛けて「帰るぞ」と促そうと思っていたんだが……あと10分足らずで半という頃になって、逢地おおち先生に呼ばれた。

 養護教諭が俺に何の用だろう?

 思いはしたが、音芽と鶴見つるみをチラッと見遣って、2人の前では話しづらいという空気を醸し出されたので仕方なく席を立つ。

 離席の際に音芽に声を掛けようと思ったんだが、パソコン画面を睨みつけて、頭を抱えて悩んでいる風だったので邪魔をするのもはばかられてやめておいた。

 あとで思えば変に気なんて回さずに「連れて帰ってやるから支度しとけ」って言っておけば良かったんだ。

 鶴見と音芽を残して職員室を後にするのは後ろ髪を引かれるような気がした俺だったが、まぁ他にも残ってる先生方が大勢おられるし大丈夫だろう、と思い直す。

 逢地おおち先生、何の用があるのかは知らねぇけど、さっさと終わらせて解放してもらおう。

「すみません、霧島きりしま先生、終業時刻はとっくに過ぎているのに」

 俺のソワソワした様子が気になったんだろう。

 俺の斜め前を歩く逢地おおち先生が申し訳なさそうに俺を振り返ってくる。

 あー、プライベートなことで同僚に気を遣わせるとか社会人としてアウトだな、俺。

 軽く反省して俺は頭を切り替える。

「いや、大丈夫です。どうせ帰っても用事あるわけじゃないですし」

 ニコッと笑うと、逢地おおち先生がホッとしたように肩の力を抜いた。

 保健室の扉を開けて中に入ると、逢地おおち先生が俺を振り返って棚の上の箱を指さす。

「あそこの箱が取りたくて頑張ってみたんですけど……」
 椅子に上がって手を伸ばしてみたけれど存外重くて下ろせそうになかったらしい。

霧島きりしま先生、身長お高いし……お若いから頼っちゃおうって思って。――すみません」

 席も近いので、他の先生より頼みやすかったのだと逢地おおち先生が申し訳なさそうにはにかんだ。

 若くて高身長なら鶴見つるみもだし、向かいの席の俺より隣の席のアイツの方が頼みやすかったんじゃね?と思ったが、言わずにおいた。

 逢地おおち先生はスタイルも良いし、物腰も柔らかくて女性らしい人だ。
 誰にでも分け隔てなく優しく出来るところも高ポイントだと思う。

 彼女に頼まれたら誰も――それこそ鶴見だってイヤとは言わなかったと思うんだけど。

 実際俺も断れなかったわけだし。

 そこまで考えて、ま、俺には音芽おとめしか見えてないから逢地おおち先生の色香に惑わされるとかそういうことはないと断言できるんだけどな、と思う。

 そこまで考えて、もしかしたら俺のそういう無害そうな空気を敏感に察して白羽の矢が立ったのかも、と思い至る。

 もしそうだとしたら逢地おおち先生、なかなか目利きじゃねぇかと感心してしまった。
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