【R18】温和はオトメをもっと上手に愛したい

鷹槻れん

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逢地先生と2人きり

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 音芽は俺の不機嫌な表情に気圧けおされたのか、慌てたように鶴見の腕を引っ張っていて。
 あまつさえ「かっ、帰りましょうっ、鶴見先生っ」とか聞かされたら怒り心頭だろ?

 何で俺がほんのちょっと目を離しただけでそうなるんだよ。

 そこまで考えて、離席の際に音芽に「連れて帰ってやるからそのつもりでいろ」と言えなかったことを思い出した俺は、自分のバカさ加減に嫌気がさす。

 だがな、音芽。
 どんな理由があろうとも、お前を鶴見そいつと帰らせるわけには行かねぇんだよ。

 大股で歩み寄ってはいるけれど、本音を言うと全速力で走って音芽の腕を掴みたい。

 でもそんなのカッコ悪くて出来るか。

 あとちょっとで音芽に手が届くという段になって、鶴見から離れて下駄箱に寄り掛かった音芽がよろめくのが見えて。

 鶴見が「危ないっ」と音芽に腕を伸ばしたのが腹立たしくて、俺は二人の間に割り込む形で音芽を抱きとめた。
 ギュッと抱きしめた瞬間に、音芽の甘い香りに混ざって、ふわりと鶴見のコロンの香りがして、イラッとしてしまう。

 何、俺に無断で他の男にマーキングされてんだよ、バカ音芽!

 その苛立ちのままに、音芽を睨みつけて低い声で
鳥飼とりかい先生。俺、今日は不用意に歩き回ったりせず、安静にしてるようにって言いませんでしたか?」

 淡々とそう問い詰めてみたけれど、音芽は俺の方を見ようとしなくて……。

 それがまた、俺を一層モヤモヤさせた。


「――聞いて、ますか?」
 思わず音芽おとめを支える手指に力が入る。
 いつもならすぐ「ごめんなさい」ってしゅんとするはずの音芽が、ギュッと唇を引き結んで、俺の方を見ようともしない。

「……聞きたく、ないですっ」

 ばかりか、ややして怒気をにじませた声で音芽から言われた言葉に、俺は一瞬意味が分からなくて息を飲んだ。

「は……?」

 何言ってんだよ、お前。

 心臓がバクバク言って、喉の奥がひりつくような違和感を覚える。

「終業後に私がどう動こうと、霧島きりしま先生には関係ないはずです。――助けていただいて有難うございました。あの、私もう帰りますので……腕、離していただけますか?」

 とどめのようにキッ!と睨まれてそう重ねられて、音芽が俺の手を振り解いた。

 こんな音芽、俺は知らない。

 茫然自失の俺を尻目に、鶴見つるみに視線を移した音芽が、
「すみません、鶴見先生。お待たせしました。――帰りましょう?」

 言って、ヤツに手を伸ばして――。
 鶴見も俺を気にしつつも、差し出された音芽の手を取りやがった。
 俺が睨んでること、気付いてるくせにホント食えない男だ。

「じゃあ、お先に失礼します。――逢地おおち先生にもよろしくお伝えください」

 音芽は俺の方を向かずに、後方で固まったままの逢地おおち先生をチラリと見て会釈すると、そう言って鶴見とともに俺の前から遠ざかっていってしまう。

 俺は今すぐにでも2人を止めないと!と思うのに、頭と身体がなかなかリンクしてくれなくて、音芽を抱きとめたときのポーズを崩すことさえ出来ずにその場に立ち尽くしていた。

 ヤバイ。
 早く……2人を追わねぇと――。

 そう思ってはいるんだけど。
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