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逢地先生と2人きり
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「霧島……先生?」
音芽に拒絶されたショックでただ呆然と立ち尽くしていた俺を溶かしたのは、逢地先生だった。
「鳥飼先生と鶴見先生、やっぱり付き合って――」
……いらっしゃるんでしょうか?と続いたんであろう言葉を、俺は逢地先生を睨みつけて制してから、しまった、と思う。
逢地先生だって不安からか声が震えていたのに、俺、本当最低だ。
「――すみません。逢地先生は悪くないです。その……今のは完全に俺の八つ当たりです」
しゅんとする逢地先生に、なるべく落ち着いた声音で謝罪すると、俺はふたりが去っていった駐車場のほうを見るとはなしに見遣る。
音芽が俺にあんな風に反抗するなんて、思わなかった。
考えてみれば、アイツはいつも俺が強く言えば渋々ながらも従ってきたんだ。
彼女が俺の言うことを聞かなかったことがあるとしたら、あのときだけ――。
俺が……異性として音芽を意識してしまって、アイツににどう接したら良いか分からなくなって突き放そうとしたとき。
――金輪際俺に近づいてくるな。もし、守れないようなら俺、お前のこと徹底的にいじめるから。
俺のその言葉に、一旦は距離を置いたように見えた音芽が、実際には俺のそばを決して離れようとはせず、俺(と奏芽)を追いかけるように同じ高校にだって入ってきた。
今回ほどハッキリ自分の意思を伝えてきたわけじゃないけれど、俺は当時、薄っすらと「離れてなんてやるもんか」という音芽の意地みたいなのを感じてたんだ。
結局そのお陰で、俺はいま、音芽と同じ職場で働けている。
その音芽が俺を拒絶したのって……実は物凄い一大事なんじゃないか?
今更のようにそう気付いた俺は、居ても立ってもいられなくなる。
「逢地先生、すみませんっ。俺っ、急用が出来たんで帰りますっ!」
慌ててそう言ってから、“急用”とか見え見え過ぎんだろ、と思ったけど、じゃあ他にどう伝えたらいいのか俺には分からないんだ。
急用が出来たのはある意味事実だしな、と自分に言い聞かせて、さっさと踵を返した。
俺が逢地先生みたいに「好き」が素直に言える人間なら……「2人が気になるので追いかけます」って言えたんだろうか。
そんな風に思った。
音芽に拒絶されたショックでただ呆然と立ち尽くしていた俺を溶かしたのは、逢地先生だった。
「鳥飼先生と鶴見先生、やっぱり付き合って――」
……いらっしゃるんでしょうか?と続いたんであろう言葉を、俺は逢地先生を睨みつけて制してから、しまった、と思う。
逢地先生だって不安からか声が震えていたのに、俺、本当最低だ。
「――すみません。逢地先生は悪くないです。その……今のは完全に俺の八つ当たりです」
しゅんとする逢地先生に、なるべく落ち着いた声音で謝罪すると、俺はふたりが去っていった駐車場のほうを見るとはなしに見遣る。
音芽が俺にあんな風に反抗するなんて、思わなかった。
考えてみれば、アイツはいつも俺が強く言えば渋々ながらも従ってきたんだ。
彼女が俺の言うことを聞かなかったことがあるとしたら、あのときだけ――。
俺が……異性として音芽を意識してしまって、アイツににどう接したら良いか分からなくなって突き放そうとしたとき。
――金輪際俺に近づいてくるな。もし、守れないようなら俺、お前のこと徹底的にいじめるから。
俺のその言葉に、一旦は距離を置いたように見えた音芽が、実際には俺のそばを決して離れようとはせず、俺(と奏芽)を追いかけるように同じ高校にだって入ってきた。
今回ほどハッキリ自分の意思を伝えてきたわけじゃないけれど、俺は当時、薄っすらと「離れてなんてやるもんか」という音芽の意地みたいなのを感じてたんだ。
結局そのお陰で、俺はいま、音芽と同じ職場で働けている。
その音芽が俺を拒絶したのって……実は物凄い一大事なんじゃないか?
今更のようにそう気付いた俺は、居ても立ってもいられなくなる。
「逢地先生、すみませんっ。俺っ、急用が出来たんで帰りますっ!」
慌ててそう言ってから、“急用”とか見え見え過ぎんだろ、と思ったけど、じゃあ他にどう伝えたらいいのか俺には分からないんだ。
急用が出来たのはある意味事実だしな、と自分に言い聞かせて、さっさと踵を返した。
俺が逢地先生みたいに「好き」が素直に言える人間なら……「2人が気になるので追いかけます」って言えたんだろうか。
そんな風に思った。
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