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逢地先生と2人きり
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「鶴見先生に俺たちの関係のこと、なんて説明した?」
俺のその言葉に、音芽がビクッと肩を震わせたのが分かった。
素直で可愛い音芽は、嘘をついて誤魔化すことも考えられなかったんだろう。
オロオロと躊躇いがちに、
「あ、あのっ、ち、小さい頃から一緒に育った……お、お兄ちゃんみたいな……存在だと」
は? “お兄ちゃん”? 誰が誰の、兄貴だって言うんだ、バカ音芽。
如何にも恐る恐ると言った具合にそう答えてきた音芽を、苛立ちを隠しきれなくてギロッと睨み付けてしまう。
だってそうだろ?
俺は音芽の兄貴なんて立場、望んでねぇのに何でそういう説明したんだよ?
鶴見に口説かれるのに、俺の存在が邪魔だったからか?
そう思ったら、鈍感な音芽を責める言葉が堰を切ったように溢れて止められなくなりそうだった。
「あん? お前いま何《なん》つった? もう一回言ってみろ」
それを落ち着けるために音芽の前にしゃがみ込んで、可愛い音芽の柔らかい頬をギュッとつまんで、容赦なく引っ張る。
「痛い、痛いっ。温和、やめっ」
言いながら懇願するような涙目で俺を見返してくる音芽の姿に、自分勝手な支配欲がむくりと頭をもたげた。
普通ならこんな酷いことをされたら、俺の手を払いのけるなり、掴んでやめさせようとするなりしてくるはずだ。
けど、俺に従順な音芽はそんなことしない――。
そう思いたくて、俺のことを拒絶しないでいてくれると信じたくて。
痛がる音芽を、俺はじっと見つめた。
そんな俺と音芽の駆け引きに、何も知らない鶴見がオロオロと慌てた様子で
「ちょっ、霧島《きりしま》先生、いくらなんでもやりすぎでしょう!」
と至極まともな意見を言いながら割り込んできて。
俺は本気で苛立った。
何も知らないヤツが、俺と音芽の間に入ってくるな。
「部外者は黙っていてもらえますか? これはコイツと俺の問題なんで」
音芽の頬から手を離すと、座り込んだままの彼女を当然のように抱き上げてから、鶴見を睨みつける。
悪いけど――アンタ、お呼びじゃないから。
俺の腕の中、音芽は真っ赤になった顔を見られたくないのか、恥ずかしそうにうつむいていて。
それでも隠し切れない赤みが髪の毛から覗く耳にまで及んでいるのが本当に愛しくて堪らない。
でもその思いが強ければ強いほど。
音芽を異性として意識すればするほど。
俺はコイツに兄として認識されているという事実がどうしようもなく腹立たしく思えてしまう。
俺のその言葉に、音芽がビクッと肩を震わせたのが分かった。
素直で可愛い音芽は、嘘をついて誤魔化すことも考えられなかったんだろう。
オロオロと躊躇いがちに、
「あ、あのっ、ち、小さい頃から一緒に育った……お、お兄ちゃんみたいな……存在だと」
は? “お兄ちゃん”? 誰が誰の、兄貴だって言うんだ、バカ音芽。
如何にも恐る恐ると言った具合にそう答えてきた音芽を、苛立ちを隠しきれなくてギロッと睨み付けてしまう。
だってそうだろ?
俺は音芽の兄貴なんて立場、望んでねぇのに何でそういう説明したんだよ?
鶴見に口説かれるのに、俺の存在が邪魔だったからか?
そう思ったら、鈍感な音芽を責める言葉が堰を切ったように溢れて止められなくなりそうだった。
「あん? お前いま何《なん》つった? もう一回言ってみろ」
それを落ち着けるために音芽の前にしゃがみ込んで、可愛い音芽の柔らかい頬をギュッとつまんで、容赦なく引っ張る。
「痛い、痛いっ。温和、やめっ」
言いながら懇願するような涙目で俺を見返してくる音芽の姿に、自分勝手な支配欲がむくりと頭をもたげた。
普通ならこんな酷いことをされたら、俺の手を払いのけるなり、掴んでやめさせようとするなりしてくるはずだ。
けど、俺に従順な音芽はそんなことしない――。
そう思いたくて、俺のことを拒絶しないでいてくれると信じたくて。
痛がる音芽を、俺はじっと見つめた。
そんな俺と音芽の駆け引きに、何も知らない鶴見がオロオロと慌てた様子で
「ちょっ、霧島《きりしま》先生、いくらなんでもやりすぎでしょう!」
と至極まともな意見を言いながら割り込んできて。
俺は本気で苛立った。
何も知らないヤツが、俺と音芽の間に入ってくるな。
「部外者は黙っていてもらえますか? これはコイツと俺の問題なんで」
音芽の頬から手を離すと、座り込んだままの彼女を当然のように抱き上げてから、鶴見を睨みつける。
悪いけど――アンタ、お呼びじゃないから。
俺の腕の中、音芽は真っ赤になった顔を見られたくないのか、恥ずかしそうにうつむいていて。
それでも隠し切れない赤みが髪の毛から覗く耳にまで及んでいるのが本当に愛しくて堪らない。
でもその思いが強ければ強いほど。
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