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逢地先生と2人きり
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「なぁ、音芽。兄貴呼ばわりすんなって約束を破ったんだ。お仕置きされても文句言えねぇって分かるよな?」
本当はギュッと抱きしめて「好きだから俺を見て欲しい」と素直に言えたなら、どんなにかいいのに。
俺は音芽に「ごめんなさい。でも温和は私のお兄ちゃんだから」って言われるんじゃないかと、その言葉が言えない臆病者だ。
音芽の耳元に唇を寄せて、音芽にしか聞こえないぐらいの低く抑えた声音で、彼女の耳に吐息ごと言葉を吹き込むようにささやきかける。
俺の言動に、腕の中の音芽が小さく身体をすくませたのが分かった。
なんだよ、これ。堪らなく可愛いんだけど。
「音芽、さん?」
鶴見が俺の腕の中で震える音芽に恐る恐る呼びかけてきたけれど、音芽はそれどころじゃないらしく、ヤツの方を見ることも出来ないみたいだ。
音芽の塩対応に、所在なげに佇む鶴見を見て、俺はほんの少し溜飲が下がった。
音芽の部屋のドアノブを回すと、既に開錠されていたらしく、すんなり開いた。
開かなかったら音芽にその手の鍵を寄越せと要求しようと思っていたけれど、必要なかったらしい。
音芽がさっきからずっと手に握り締めている白黒のマスコット人形に、この部屋の鍵がついていることを俺は知っている。
音芽を抱いたまま鶴見に見せ付けるように彼女の部屋のドアを当然のように大きく開けると、はやる気持ちを抑えながら足元に置かれたままの彼女の荷物を乱暴に中へ蹴り入れる。
鶴見よ。お前だって俺が音芽の兄貴として音芽のそばにいるんじゃないことぐらい、分かってんだろ?
背中に痛いほどの視線を感じながら、俺は音芽を腕に抱いたまま扉を潜り抜ける。
瞬間、優越感に顔がにやけそうで、わざと振り返らずに「鶴見先生。俺、今から妹と二人きりで話がありますんで、これで失礼します。今日はコイツを送ってくださってどうもありがとうございました。後のことは俺に任せてお引き取りください」と言ったけれど、声が浮き足立っていたりしなかっただろうか。
何も言い返して来られない鶴見を残して、背後で玄関扉が乾いた音を立てて閉まる。
いまは茫然自失で動けないだけかもしれない鶴見がいつ邪魔してこないとも限らないので、すぐに後ろ手に施錠した。
その瞬間、音芽がおびえたように俺を見上げてきて。
その視線が、俺を男として認識してくれたようで、ゾクリするくらい心地よかった。
なぁ音芽。もっともっと俺を異性として意識しろよ。
本当はギュッと抱きしめて「好きだから俺を見て欲しい」と素直に言えたなら、どんなにかいいのに。
俺は音芽に「ごめんなさい。でも温和は私のお兄ちゃんだから」って言われるんじゃないかと、その言葉が言えない臆病者だ。
音芽の耳元に唇を寄せて、音芽にしか聞こえないぐらいの低く抑えた声音で、彼女の耳に吐息ごと言葉を吹き込むようにささやきかける。
俺の言動に、腕の中の音芽が小さく身体をすくませたのが分かった。
なんだよ、これ。堪らなく可愛いんだけど。
「音芽、さん?」
鶴見が俺の腕の中で震える音芽に恐る恐る呼びかけてきたけれど、音芽はそれどころじゃないらしく、ヤツの方を見ることも出来ないみたいだ。
音芽の塩対応に、所在なげに佇む鶴見を見て、俺はほんの少し溜飲が下がった。
音芽の部屋のドアノブを回すと、既に開錠されていたらしく、すんなり開いた。
開かなかったら音芽にその手の鍵を寄越せと要求しようと思っていたけれど、必要なかったらしい。
音芽がさっきからずっと手に握り締めている白黒のマスコット人形に、この部屋の鍵がついていることを俺は知っている。
音芽を抱いたまま鶴見に見せ付けるように彼女の部屋のドアを当然のように大きく開けると、はやる気持ちを抑えながら足元に置かれたままの彼女の荷物を乱暴に中へ蹴り入れる。
鶴見よ。お前だって俺が音芽の兄貴として音芽のそばにいるんじゃないことぐらい、分かってんだろ?
背中に痛いほどの視線を感じながら、俺は音芽を腕に抱いたまま扉を潜り抜ける。
瞬間、優越感に顔がにやけそうで、わざと振り返らずに「鶴見先生。俺、今から妹と二人きりで話がありますんで、これで失礼します。今日はコイツを送ってくださってどうもありがとうございました。後のことは俺に任せてお引き取りください」と言ったけれど、声が浮き足立っていたりしなかっただろうか。
何も言い返して来られない鶴見を残して、背後で玄関扉が乾いた音を立てて閉まる。
いまは茫然自失で動けないだけかもしれない鶴見がいつ邪魔してこないとも限らないので、すぐに後ろ手に施錠した。
その瞬間、音芽がおびえたように俺を見上げてきて。
その視線が、俺を男として認識してくれたようで、ゾクリするくらい心地よかった。
なぁ音芽。もっともっと俺を異性として意識しろよ。
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