94 / 198
音芽の本心
6
しおりを挟む
これだからこいつは野放しにしておくと危ねぇんだと再認識させられる。
ずっと傍にいて、変な男が下心剥き出しで近寄ってきたら、俺が追い払ってやんねぇと絶対すぐ食われちまう。
ここまで苦労して守ってきたんだ。
他所の男に掻っ攫われてたまるか!
俺は音芽の頬を挟んでいた手を緩めると、片手で彼女のあごを軽く持ち上げるようにして、その愛らしい顔を上向かせた。
そのまま、音芽の柔らかくて滑らかな唇に、優しく食むように触れる。
緊張してガチガチに強張っていた音芽の身体から力が抜けていくようにほぐしてやるんだ。
ついばむように軽い口付けを何度かして唇を離すと、俺は音芽の顔をじっと見つめた。
「音芽、俺のこと本当に好きなんだったら、俺と付き合えよ。彼女にはなりたくないけど俺のこと好きとか……そんなわけ分かんねぇ主張、俺は認めないから」
本音はな、音芽。
俺のこと好きだって言ってくれたの、マジ? 俺の勘違いじゃねぇなら頼むから俺と付き合ってくれ。
彼女になりたくないとかわけ分かんねぇこと言って、俺を不安にさせんなよ?
なんだけどな――。
せめて一言、「俺のこと本当に好きなんだったら、俺と付き合って欲しい」くらい言えない俺は、お前を睨みつけるように不機嫌そうな態度しか取れなくて、鈍感なお前を戸惑わせるんだ。
分かってはいるんだぜ?
素直に言わなきゃ伝わるモンも伝わんねぇし、下手したら拗れちまうってことだって。
でも、長い付き合いだ。俺のそんなところも含めて……お前なら受け留めてくれるだろ?
「で、でも温和……」
俺的にはこれでも結構はっきり意思表示したつもりなんだがな。音芽はまだ何か問いたげに、「でも」とか言ってくるんだ。
これ以上何か言われたら全部リセットされてしまいそうで怖くなる。
「うるさい、少し黙れ」
俺は音芽が何も言えなくなるように、彼女を抱きしめてその先の言葉を奪った。
――つもりだった。
「あ、あのっ、温、和……?」
なのにまだ何か言おうとしてくるとか……こいつ、本当基本的には従順なくせに時々どうしようもなく強情になるんだよな。
正面からギュッと抱きしめた音芽の身体はとてもやわらかくて、どこか甘く感じられるいいにおいがする。
「――なぁ、音芽」
その体勢のまま、俺は熱に浮かされたように音芽に語りかける。
「俺、お前のこと……その……嫌いじゃ、ないから」
あー、何でまたこういう言い方しかできねぇんだよ、俺!
頭の中では「俺、お前のこと、すげぇ好きだ」とか、何なら「好き」なんて通り越して「愛してる」とまで嫌になるくらい何度も何度も叫んでるのに、口に出したらコレ。
どういう変換だよ。他にもっと言いようがあんだろ。
腹立たしいことに、この素直じゃない口は思っていることをその通り出せないみたいなんだ。
ずっと傍にいて、変な男が下心剥き出しで近寄ってきたら、俺が追い払ってやんねぇと絶対すぐ食われちまう。
ここまで苦労して守ってきたんだ。
他所の男に掻っ攫われてたまるか!
俺は音芽の頬を挟んでいた手を緩めると、片手で彼女のあごを軽く持ち上げるようにして、その愛らしい顔を上向かせた。
そのまま、音芽の柔らかくて滑らかな唇に、優しく食むように触れる。
緊張してガチガチに強張っていた音芽の身体から力が抜けていくようにほぐしてやるんだ。
ついばむように軽い口付けを何度かして唇を離すと、俺は音芽の顔をじっと見つめた。
「音芽、俺のこと本当に好きなんだったら、俺と付き合えよ。彼女にはなりたくないけど俺のこと好きとか……そんなわけ分かんねぇ主張、俺は認めないから」
本音はな、音芽。
俺のこと好きだって言ってくれたの、マジ? 俺の勘違いじゃねぇなら頼むから俺と付き合ってくれ。
彼女になりたくないとかわけ分かんねぇこと言って、俺を不安にさせんなよ?
なんだけどな――。
せめて一言、「俺のこと本当に好きなんだったら、俺と付き合って欲しい」くらい言えない俺は、お前を睨みつけるように不機嫌そうな態度しか取れなくて、鈍感なお前を戸惑わせるんだ。
分かってはいるんだぜ?
素直に言わなきゃ伝わるモンも伝わんねぇし、下手したら拗れちまうってことだって。
でも、長い付き合いだ。俺のそんなところも含めて……お前なら受け留めてくれるだろ?
「で、でも温和……」
俺的にはこれでも結構はっきり意思表示したつもりなんだがな。音芽はまだ何か問いたげに、「でも」とか言ってくるんだ。
これ以上何か言われたら全部リセットされてしまいそうで怖くなる。
「うるさい、少し黙れ」
俺は音芽が何も言えなくなるように、彼女を抱きしめてその先の言葉を奪った。
――つもりだった。
「あ、あのっ、温、和……?」
なのにまだ何か言おうとしてくるとか……こいつ、本当基本的には従順なくせに時々どうしようもなく強情になるんだよな。
正面からギュッと抱きしめた音芽の身体はとてもやわらかくて、どこか甘く感じられるいいにおいがする。
「――なぁ、音芽」
その体勢のまま、俺は熱に浮かされたように音芽に語りかける。
「俺、お前のこと……その……嫌いじゃ、ないから」
あー、何でまたこういう言い方しかできねぇんだよ、俺!
頭の中では「俺、お前のこと、すげぇ好きだ」とか、何なら「好き」なんて通り越して「愛してる」とまで嫌になるくらい何度も何度も叫んでるのに、口に出したらコレ。
どういう変換だよ。他にもっと言いようがあんだろ。
腹立たしいことに、この素直じゃない口は思っていることをその通り出せないみたいなんだ。
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる