【R18】温和はオトメをもっと上手に愛したい

鷹槻れん

文字の大きさ
150 / 198
音芽と撫子

7

しおりを挟む
 冷蔵庫から飲むヨーグルトを取り出すなり腰に手を当てて一気に煽ってから「くぅーっ! 生き返るぅー!」とか……。

 オッサンかよ!

 けどそんな言動ですら可愛い!って思っちまう俺も大概だよな。

 あんな無防備で幸せそうな声を聞かされたら、こっちまで顔が緩んじまいそうだ。


 ふぅ、っと恍惚の溜め息を落とす音芽おとめに、俺は我慢できなくなって「オッサンかよ」って声をかけた。

 ちょっとでも気を抜いたらニヤけちまいそうで、わざと揶揄からかうように意地の悪い笑みを含ませた声音で言ったら、音芽のやつ、ビクッと身体を跳ねさせやがんの。

 その様が、ホントちっこい生き物みたいでキュン、とさせられる。


 弾かれたようにこちらを振り返った顔を見たら、上唇の周りに白いのを付けていて、

「バカ音芽おとめ。くち……」

 つぶやくなり、俺は我慢出来ずに手を伸ばしていた。

 上唇をなぞるように軽く親指の腹でヨーグルトを拭ってやったら、そこでやっと

「はっ、温和はるまさっ!?」

 とか。

 おーい、音芽。
 〝霧島きりしま先生〟じゃなくなってますよ?

 無意識に俺の名を叫んじまったらしい音芽が、慌てたように口に手を当てて、

「きっ、霧島きりしま先生……何かご用ですか?」

 って……今更だし、声も上ずってますよ?


 ――マジで可愛過ぎんだろ!


 職場でなきゃ恐らくヨーグルト味の、あの魅惑の唇を奥の方まで味わい尽くすんだけどな。



「別に用はねぇけど――お前、今から逢地おおち先生んトコ、行くんだろ?」

 用はないと言いながらしっかり〝音芽おとめ揶揄からかう〟という目的はあんだけど、それはまぁこの際どうでもいい。


 けど、俺にやましいことがあると決めつけているらしい音芽は、俺の煮え切らない態度が気に入らなかったみたいで、小さく溜め息を落とすと、

「知られてマズイことがあるんなら今のうちに弁解どうぞ? 過去のことだし、先に話してくれるなら……私、水に流してあげてもいいですよ?」

 と、珍しく強気な発言で俺を挑発してくるんだ。

 何だこいつ。
 朝挨拶をした時に揶揄からかった仕返しのつもりか?
 もぉ、ホント可愛いやつだな。

 そう思ったら、悪いと思いながらも自然と笑いが込み上げてきてしまった。

鳥飼とりかい先生。残念ながら俺にはそんなの、1つもありませんから」

 ――清廉潔白せいれんけっぱくです。

 自信満々に学年主任モードで言い切ってやったら、音芽が明らかにムッとして。

 不機嫌に小さく唇がとんがるの、すっげぇそそられるんだけど。

 ――ヤベェな。めちゃくちゃキスしてぇ。



 どうせアレコレ勝手に思いを巡らせて有り得ない杞憂きゆうを募らせてるんだろうけど、俺としてはお前に妬かれるの、悪くねぇんだと気付けないのかな?


「何にもやましいことがないんなら、私が逢地おおち先生のところに行くの、なぜ気にしてくるんですか?」

 言って、まるで「チェックメイトよ!」と言わんばかりに俺を見上げる音芽を抱きしめたくて堪らないんだけど、とりあえず今は我慢だ。

 逢地おおち先生のところから戻ってきた時の、誤解がすっかり解けた音芽を想像して、俺はひとりほくそ笑む。


 そう言う諸々もろもろを表に出さないよう極力何でもない風を装うと、俺は後ろ暗いところなんて何1つないのだという恋人の顔をして、

「ああ、そうそうそれなんだけどな。俺、お前の用が終わるまで職員室で仕事しながら待っててやるから……。帰り、一緒に飯食いに行こうぜ?」

 そう言ってニヤリとした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...