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川越筑紫
何で俺は可愛い音芽にこんな顔させなきゃいけねぇんだよ!
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「……わかり、ました……」
声を震わせながら、音芽がか細い声音でやっと了承してくれて――。
その瞬間、俺は心臓をギューッと握りつぶされたみたいに苦しくなって、音芽を守るという名目で彼女のことを傷付けている自分のことが心底嫌になった。
そうして俺の横に平然と立ってそんな俺たちの様子を観察している川越のことを、殺してやりたいくらい憎いと思った。
「でも……私、まだ仕事があるので……。その……少しだけ職員室で片付けてから帰ります。そのぐらいは……いいです……よね?」
本当なら俺にそんな了解を取る必要なんてない。
学年主任だからって、音芽が抱えた仕事にまで口出しする権利はないからだ。
だが、あえて俺にそう告げてきた音芽の今にも泣き出しそうな表情からは、拒絶されてもなお俺を待つわけじゃないのだと……。正当な理由があって残るのだと……。そんな意思表示をしておきたいといういじらしい想いが伝わってきて、切ない気持ちにさせられる。
(くそっ。何で俺は可愛い音芽にこんな顔させなきゃいけねぇんだよ!)
俺は音芽の言葉に「それは構いません。でも……19時までには帰るようにしてください。いいですね?」と念押しすることしか出来なかった。
段々日が長くなってきているとはいえ、19時を過ぎると暗くなる。
音芽はめちゃくちゃ可愛い女だ。よもや悪い男に目を付けられて、なにかあってからじゃ遅いじゃねぇか。
今すぐにでも『やっぱり一緒に帰ろう』と言いたくなるのをグッとこらえて、俺は努めて冷静に、無表情を装った。
そんな俺からの注意に、音芽がキュッと唇を噛んで顔を上げる。それと同時、俺の横に佇む川越と目が合ったらしい。
川越が音芽を見てニコッと笑いかけるのが目の端に見えて、……川越に微笑みかけられた音芽がますます泣きそうな顔をするから。
俺はそれを見ていられなくて、卑怯だと思いながらもこの場から逃げることを選択してしまう。
「じゃあ鳥飼先生、そういうことで。――川越先生、行きますよ?」
ひとり立ち尽くす最愛の音芽を残して、俺は川越にそう呼びかけた。
それに、川越が「はぁーい」とわざとらしく弾んだ声で応えるのが忌々しくてたまらない。
(マジでこのクソ女を、この場から消し去ってやりてぇ!)
音芽を守るためとはいえ、川越と行動をともにしなければならない現状にも、今すぐこの女を排除出来ないことにも、歯痒さしか感じない。
声を震わせながら、音芽がか細い声音でやっと了承してくれて――。
その瞬間、俺は心臓をギューッと握りつぶされたみたいに苦しくなって、音芽を守るという名目で彼女のことを傷付けている自分のことが心底嫌になった。
そうして俺の横に平然と立ってそんな俺たちの様子を観察している川越のことを、殺してやりたいくらい憎いと思った。
「でも……私、まだ仕事があるので……。その……少しだけ職員室で片付けてから帰ります。そのぐらいは……いいです……よね?」
本当なら俺にそんな了解を取る必要なんてない。
学年主任だからって、音芽が抱えた仕事にまで口出しする権利はないからだ。
だが、あえて俺にそう告げてきた音芽の今にも泣き出しそうな表情からは、拒絶されてもなお俺を待つわけじゃないのだと……。正当な理由があって残るのだと……。そんな意思表示をしておきたいといういじらしい想いが伝わってきて、切ない気持ちにさせられる。
(くそっ。何で俺は可愛い音芽にこんな顔させなきゃいけねぇんだよ!)
俺は音芽の言葉に「それは構いません。でも……19時までには帰るようにしてください。いいですね?」と念押しすることしか出来なかった。
段々日が長くなってきているとはいえ、19時を過ぎると暗くなる。
音芽はめちゃくちゃ可愛い女だ。よもや悪い男に目を付けられて、なにかあってからじゃ遅いじゃねぇか。
今すぐにでも『やっぱり一緒に帰ろう』と言いたくなるのをグッとこらえて、俺は努めて冷静に、無表情を装った。
そんな俺からの注意に、音芽がキュッと唇を噛んで顔を上げる。それと同時、俺の横に佇む川越と目が合ったらしい。
川越が音芽を見てニコッと笑いかけるのが目の端に見えて、……川越に微笑みかけられた音芽がますます泣きそうな顔をするから。
俺はそれを見ていられなくて、卑怯だと思いながらもこの場から逃げることを選択してしまう。
「じゃあ鳥飼先生、そういうことで。――川越先生、行きますよ?」
ひとり立ち尽くす最愛の音芽を残して、俺は川越にそう呼びかけた。
それに、川越が「はぁーい」とわざとらしく弾んだ声で応えるのが忌々しくてたまらない。
(マジでこのクソ女を、この場から消し去ってやりてぇ!)
音芽を守るためとはいえ、川越と行動をともにしなければならない現状にも、今すぐこの女を排除出来ないことにも、歯痒さしか感じない。
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