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言えない言葉
お前、誰だよ!?
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帰宅してみると音芽の部屋に電気がついてない。
(あいつ、どこ行ったんだ?)
自分が音芽のことを蔑ろにしておいて腹立たしく思うのはお門違いだと分かっている。
分かっていても、そう感じてしまうのだから仕方がないではないか。
携帯を取り出して、音芽の番号を呼び出してコールしてみるが、なかなか応答がない。そんな些細なことにもイラッとしてしまう。
しかも、やっと出たと思ったら……。
『もしもし?』
なんで男の声がするんだよ!
「すみません、この携帯、鳥飼音芽さんのものだと思うんですけど」
一応相手が誰だか分からない以上、喧嘩腰というわけにはいかない。
感情を押し殺して単調な声音で言ったら『あー、はい。音芽の携帯で合ってます』とか。
――ちょっ、俺が〝鳥飼音芽さん〟っ言ってんのに呼び捨てとか!
――お前、誰だよ!?
そう食ってかかりたいのを必死に堪えて、「すみません、わたくし、彼女の恋人の霧島と言います。失礼ですがそちらは?」と、ことさら〝恋人〟に力を込めて問いかけたら『――え? あ、僕ですか? 覚えてないですかね? 高校ん時、先輩と同じテニス部だった三岳一路です』とか。
三岳一路!
確か音芽とは同級で、朝日佳乃花さん同様、いわゆる腐れ縁というやつだ。
そんなことを考えていたら、電話の向こうで音芽が騒ぐ声が微かに聞こえてきて、三岳のヤロー、わざとだろうか? 電話口を手で押さえもせず、『ほら、音芽、霧島先輩。お前に代われって』と、あっけらかんと言いやがんの。
しかも相当わざとらしく声を低めて、『男の僕が出たから先輩、カンカンだかんな?』とか。
絶対確信犯だろ!
音芽をいじめていいのは俺だけだ。
勝手に意地の悪いことすんなよ! 殴ってやりてぇ!
自然、携帯を持つ手に力がこもったのは仕方ないよな?
と、電話の向こうで三岳が叩かれたと思しきバシッという乾いた音がして、『こじれさせてどうすんのよ!』と女性の声がした。
(お。これは……おそらく朝日さんに叱られたな)
その気配を感じて、俺はなんとなくいい気味だと思ってしまった。
(あいつ、どこ行ったんだ?)
自分が音芽のことを蔑ろにしておいて腹立たしく思うのはお門違いだと分かっている。
分かっていても、そう感じてしまうのだから仕方がないではないか。
携帯を取り出して、音芽の番号を呼び出してコールしてみるが、なかなか応答がない。そんな些細なことにもイラッとしてしまう。
しかも、やっと出たと思ったら……。
『もしもし?』
なんで男の声がするんだよ!
「すみません、この携帯、鳥飼音芽さんのものだと思うんですけど」
一応相手が誰だか分からない以上、喧嘩腰というわけにはいかない。
感情を押し殺して単調な声音で言ったら『あー、はい。音芽の携帯で合ってます』とか。
――ちょっ、俺が〝鳥飼音芽さん〟っ言ってんのに呼び捨てとか!
――お前、誰だよ!?
そう食ってかかりたいのを必死に堪えて、「すみません、わたくし、彼女の恋人の霧島と言います。失礼ですがそちらは?」と、ことさら〝恋人〟に力を込めて問いかけたら『――え? あ、僕ですか? 覚えてないですかね? 高校ん時、先輩と同じテニス部だった三岳一路です』とか。
三岳一路!
確か音芽とは同級で、朝日佳乃花さん同様、いわゆる腐れ縁というやつだ。
そんなことを考えていたら、電話の向こうで音芽が騒ぐ声が微かに聞こえてきて、三岳のヤロー、わざとだろうか? 電話口を手で押さえもせず、『ほら、音芽、霧島先輩。お前に代われって』と、あっけらかんと言いやがんの。
しかも相当わざとらしく声を低めて、『男の僕が出たから先輩、カンカンだかんな?』とか。
絶対確信犯だろ!
音芽をいじめていいのは俺だけだ。
勝手に意地の悪いことすんなよ! 殴ってやりてぇ!
自然、携帯を持つ手に力がこもったのは仕方ないよな?
と、電話の向こうで三岳が叩かれたと思しきバシッという乾いた音がして、『こじれさせてどうすんのよ!』と女性の声がした。
(お。これは……おそらく朝日さんに叱られたな)
その気配を感じて、俺はなんとなくいい気味だと思ってしまった。
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